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その愛はベストで確実か?⑩フロイトの影響

シークレットガーデンの脚本には、精神分析の大家ジークムント・フロイトの考え方が色濃く反映されているように感じます。今回はフロイトの影響について書いてみます。
※ネタバレもあります、ご了承ください。

⑩ フロイトの影響
■夢

フロイトと言えば夢判断です。ドラマの中ではライムの親友アヨンが話す夢のストーリーが、展開を予言していきます。

「あなたと社長が車でどこかに行くのよ。空は真っ暗で社長が泣いててあなたは寝てた。おじさんがそれを見てるの、赤いバラをもって(第7話)」

「真っ白な雪景色の中にテーブルがあって、あなたと社長がお茶を飲んでたの。きれいな花茶よ。花茶を飲むと真っ赤なバラの花びらが空から降るの。うっとりしたわ(第17話)」

「黒くて背の高い門の前で白い服を着た3人の子供が泣いてるの。その横で社長も口を押さえて泣いてて、あなたは叫んでたの(第19話)」

フロイトは夢を願望充足だとしています。アヨンの見た夢は、どれもその時点では意味がよくわからず、不吉なイメージもありますが、結果的にはいい展開をもたらしたり、その結果であったりするイメージです。
ライムの幸せを願っているアヨンの無意識が見せた夢なのでしょうね。

無意識の考え方
ジュウォンが記憶を失ってから、台詞にも「無意識」という言葉が何度か出てきます。ジュウォンが、蹴られたことを覚えていないのに、無意識に足をひっこめたり、見たはずがないのにストッキングに入ったせっけんのことを覚えていたりする。意識が覚えていないことも無意識は覚えている、ということかなと思います。

そして物語の最初に戻れば、ジュウォンとライムの出会いも、無意識に支配されているように思うのです。

ジュウォンはパクチェリンと間違えてライムを連れ出しますが、そのとき、ジュウォンはライムに名前を聞きませんし、ライムも名乗りません。
名前を確認すれば、二人は出会わなかった。

つまりは、間違った相手のようにみえて、間違っていないから、
出会いたかったから、無意識に間違えた。

そんな気がするのです。

エディプス・コンプレックスの克服
本来エディプス・コンプレックスは、異性の親への性愛的願望と、同性の親に対する攻撃的願望から成るので、厳密には違うかもしれませんが)

ライムの場合は、父が事故によって突然亡くなってしまったため、またジュウォンの場合は、母の価値観から逸脱すると自分のアイデンティティが保てなくなるという不安から、エディプス・コンプレックスを克服できずにいるようにみえます。

しかし、二人が出会い、互いに影響を受け、変容していくことで、お互いを受け入れ、愛し愛されることを実感していく中で、この複合体を克服していきます。

■愛されることではなく、愛すること
ジュウォンがライムの代わりに魂を入れ替えるのはこの気持ちからですね。

自分の価値観にこだわり、愛してくれとライムに答えを求め続けていたジュウォンが、愛されることを知り、自分より相手を大事に思う、愛するという境地にたどりついたから、できたことだと思います。それは大人になったということなのでしょう。

ウヨンもこう言っています。
「どれだけ年上で、どれだけ大人になったら人のために死ねる?」(第18話)

ジュウォンの母プノンが、いつまで経っても自分の幸せを優先してしまうのと対照的です。



見出し画像はみんなのフォトギャラリーよりお借りしています。
kyo_shakumotoさん、ありがとうございます。

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