マガジンのカバー画像

短編小説

27
運営しているクリエイター

#140字小説

写真

「わ、珍しいね。写真嫌いのあなたが一緒に撮ろうなんて」「まあね、僕は自分のポテンシャルの高さにやっと気づいたから写真に収めときたいんだ」相変わらずふざけてとか言いながら君は笑う。ホントは君が好きだから一緒に写りたいだけなんだ。もうすぐ僕はいなくなるから。せめて君の記憶に残りたい。

後悔

「靴は履き替えたから僕は君の元へ行こうと思う」「はぁ?なに言ってんの?あの子が姿消してからおかしいよ」同じクラスの咲がいなくなってから楓は異世界転移の靴を見つけた。それを見つけたと言う楓はそれきり姿を消した。馬鹿だ。私は自分の気持ちに素直になれず後悔するなら伝えれば良かった。

「神絵師になるんだ」と結婚する前妻に息巻いていたけど、「紙絵師にしかなれなかったよ」と妻と結婚してから皮肉ったら妻は愛おしそうに「あなたの絵は好きだよ」と言ったからま、いっか。妻が抱きしめるのは僕が毎年プレゼントした絵で、妻の中で僕の世界が広がってるのかな?なんてね。

別れ

君と別れを切り出した。胸が引き裂かれそうな気持ちだけど君が、夢を追って留学する君が迷わないように。きっと日本に残るって言うから。
「好きな人が出来たんだ」君を傷つけてごめんね。それを聞いた時の君の表情は忘れられない。数年後、君が帰ってきてからも喧嘩すると、そのことを話題に出される。

コーヒーの薫り

コーヒーの薫り

「はい、どうぞ」「いつもありがと」君の淹れてくれたコーヒーはちょっぴり苦めで好きで。コーヒーの香りに包まれながら君と過ごす時間が好き……だったんだけどなぁ。別れてから君の淹れてくれたコーヒー以外は、何か違う。違和感があってさ。君が他の女性に淹れてるの想像するだけで嫉妬しちゃうよ。

雨の日も風の日も

出掛ける度飼い猫のミケが背中に飛び乗ってのスキンシップが日課だった。それは毎日雨の日も風の日も。大人になって僕が社会人になっても。一人暮らしをするようになって寂しく感じる。ミケはもういなくて。最後を悟ったのか、ある日姿を消した。だからいつも出掛ける時、背中の重みを懐かしく思う。

コーヒー

「はい、どうぞ」「いつもありがと」君の淹れてくれたコーヒーはちょっぴり苦めで好きで。コーヒーの香りに包まれながら君と過ごす時間が好き……だったんだけどなぁ。別れてから君の淹れてくれたコーヒー以外は、何か違う。違和感があってさ。君が他の女性に淹れてるの想像するだけで嫉妬しちゃうよ。

ぴょんぴょん

図書室で脚立を使い高いとこにある本を取ると少し切なくなる。届かないのを君がいつも取ってくれたから。密かな恋心を伝えられないまま転校したけど。時は流れて市の図書館でぴょんぴょん跳ねてると誰かが取ってくれた。「相変わらずちっさいな」からかうようなその懐かしい声に泣きそうだよ。

代筆屋

「代筆屋として働いてきて沢山の人に手紙を書いて届けたよ」過去を振り返りながら語れば君は静かに話を聞いてくれる。「でも、誰も僕に手紙を書いてくれる人はいなかったな」苦笑混じりに呟けば君はどこか緊張したように手紙を差し出した。「あなたへの手紙を書いてきた!」その手の震えは本気だった。

プロポーズ

プロポーズする日に君は来なかった。連絡も取れない。その君と再会した。「どうしてあの日来なかった?」「あなたには他に好きな人がいたでしょ?」全て見透かされていた。「最初はそうだったけど途中から君のことが好きだった」「もっと本音で話せばよかったね私達」そうだね。でも会えてよかった。

尊敬

君はアトピーの酷さで周りから馬鹿にされていた。私も心のどこかでそう思っていた。馬鹿にされてもでもその、ブレないまっすぐな生き方に目が離せなくなった。気づいたら君に恋してた。そして君を馬鹿にしていた私を恥じた。君は尊敬する人で初恋の人。

蛙化現象

蛙化現象?年下の部下の女性が休憩中に、ため息混じりに話してくれたが今一理解出来ない。そんなにすぐ人の気持ちは変わる?俺の彼女は、何年も片想いで三度目の告白で上手く行った。だから些細なことですぐ冷める部下の女性の話しを聞くと驚く。俺はこんなにも彼女の作る弁当に胃袋を掴まれてるのに。

あの頃のキミ

街中で君を見かけた。ベンチに座ってうつ向いている。あの頃と変わらず人を惹き付ける何かを持っているから気づいたのか。元カノ。声をかけるか?躊躇う。今の僕には別の彼女がいるしこれからデート。こっぴどく振られたのは僕だ。それでも気になって見てると男が慌てて君の側へ。もう二股すんなよ。

プロポーズ

プロポーズする日に君は来なかった。連絡も取れない。その君と再会した。

「どうしてあの日来なかった?」「あなたには他に好きな人がいたでしょ?」全て見透かされていた。

「最初はそうだったけど途中から君のことが好きだった」

「もっと本音で話せばよかったね私達」そうだね。でも会えてよかった。