蘭鋳-web zine

創作を愛する。情報の写像。

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記事一覧

読み出す前にその本が面白いのかは分からない

分かる、と思うかもしれない 帯があったり、その本の広告があったり 読ませる側は、読む前からいかにその本が面白いかを伝えようと一生懸命だ 映画のトレイラーも同じく…

蘭鋳-web zine
4週間前

現状に引き戻す手は引く手あまた
現状内は感情たっぷりで刺激的で魅力的

蘭鋳-web zine
1か月前

Web zine #11 手のひらから飛んでいったものは

みんなその小さな手の中に 大切なものをたくさん持っている 懸命に集めて落とさないように握っている けれど 集めることに必死で掴んだなにかを それが何か分からなくても…

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1か月前

Web zine #10 通り過ぎて行った愛達

愛というものは時に足が生えて通り過ぎていってしまう 恋はよくそうして足早にいなくなってしまうものだが 愛は足がなくていつまででもそこにいるだろうと、あぐらをかい…

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1か月前
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Web zine #10 背表紙興奮剤

図書館、本屋… 私は本が並んでいるところに行くのが好き。 背表紙の文字達は、 めいめいに興味を掻き立ててくる。 あれもこれも知りたくなって、 図書館だとあっという…

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1か月前

Web zine #9 ショコラショー

ショコラショー=ホットチョコレート 私にとってのショコラショーはパリのカフェだ。 学生の研修旅行で行ったパリの 道端のカフェでゼミの先生に奢ってもらった一杯。 (奢…

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1か月前

Web zine #8 透明に近づく命

おばちゃんが入院した。 おばちゃんといっても、祖母の妹、 御年89歳のおばあちゃんだ。 癌も患っており、もう先は長くないらしい。 私の祖母は4年前に他界したので、 そ…

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1か月前
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Web zine #7 午後8時のピロリの夜道

頭痛もするし食欲も湧かないし… みたいな状態でどろどろと 明日のためのヨーグルトを買うためだけに 午後8時の夜道を歩く なぜかというと、 今日内科でお腹にピロリ菌が…

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1か月前

Web zine #6 クリスタルの8

タロットカードを趣味で引く。 以前知人経由でタロットリーディングの練習台になった。 そのとき使われていたタロットカードの絵柄がなんだか気に入り、 その後自分で探し…

蘭鋳-web zine
1か月前

Web zine #5 透明な心

ときどき、すぅっと心が透き通る感覚がくる。 お気に入りの作家さんの言葉を読んでいるとき ただ目の前のちいさなものに惹かれて写真をとるとき ただただ心から湧く言葉を…

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1か月前

Web zine #4 本当の真っ暗

本当の真っ暗って、 実はなかなかない。 物理的な意味で。 夜電気を消して、「真っ暗だ」と思ったものも しばらく経てば見えてくるもの 砂漠の夜道を歩いたって、 星や月…

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1か月前
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web zine #3 将棋倒しのような食器入れ

大体、普段家事をしていない人間の家事には抜けがあるものなんです (タイトルは短く男、としたけど、 今のご時世、常に男がそちら側とも限らない。) 弟が洗ってくれた後の…

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1か月前

Web zine 金魚のタトゥー #2 グリーンピース

母がレンジから取り出した皿から蓋を取る。 するとその皿からむわっと立ち上る グリーンピースの匂い。 空豆のそれを少し薄めたような。 そう思うと、口にもさもさとした…

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1か月前

Web zine #1 金魚のタトゥーの女の子

雨の日はなぜか 自分が金魚鉢のなかにいるような そんな感覚に陥る このzineを書こうと思ったきっかけは 先日会った金魚のタトゥーの女の子 アメリカのB-girlのような ど…

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1か月前
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海砂浜磯遊び

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+6

昼下がりの公園写真

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読み出す前にその本が面白いのかは分からない

分かる、と思うかもしれない

帯があったり、その本の広告があったり

読ませる側は、読む前からいかにその本が面白いかを伝えようと一生懸命だ

映画のトレイラーも同じく

本編全てを観なくても、作品がいかに面白そうで観たいと思ってもらえるか

そう考えて尽力していることだと思う

それがいい悪いということではなく

やっぱり
それが実際面白いのかどうかは、観てみないことには、また、読んでみないことに

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現状に引き戻す手は引く手あまた
現状内は感情たっぷりで刺激的で魅力的

Web zine #11 手のひらから飛んでいったものは

Web zine #11 手のひらから飛んでいったものは

みんなその小さな手の中に
大切なものをたくさん持っている

懸命に集めて落とさないように握っている
けれど
集めることに必死で掴んだなにかを
それが何か分からなくても
失うこと自体が今度は恐ろしくなる

そうして
溢れそうな手の中を
なんとかバランスを保ちながら
ふらふら進んでいる

目線は手元に落ち
前はよく見ていない

失うことは怖いけど
怖いことはいけないことではないよ

こうして言葉を綴る

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Web zine #10 通り過ぎて行った愛達

Web zine #10 通り過ぎて行った愛達

愛というものは時に足が生えて通り過ぎていってしまう

恋はよくそうして足早にいなくなってしまうものだが

愛は足がなくていつまででもそこにいるだろうと、あぐらをかいてしまう人も多いものだが

恋に恋していても、その中には欠片でもその人なりの愛も入っていて

また、少しずつ大きさを増したりして

2人の間にお互いそれぞれに不器用なかたちの愛を持ち寄ろうとして

でも時には不意に愛が去ってしまう時もあ

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Web zine #10 背表紙興奮剤

Web zine #10 背表紙興奮剤

図書館、本屋…
私は本が並んでいるところに行くのが好き。

背表紙の文字達は、
めいめいに興味を掻き立ててくる。

あれもこれも知りたくなって、
図書館だとあっという間に6冊くらいを手にとってしまう。

たくさんの文字は私の脳に作用して
アドレナリンを放出させているようだ

私は目をちかちかさせながら
気になったものを手に取り立ち読みする…

それはまるで、収穫前の色んな果実を果樹園で味見している

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Web zine #9 ショコラショー

Web zine #9 ショコラショー

ショコラショー=ホットチョコレート
私にとってのショコラショーはパリのカフェだ。

学生の研修旅行で行ったパリの
道端のカフェでゼミの先生に奢ってもらった一杯。
(奢ってもらったものは格別美味しく感じる気がする)

寒い外気とは反対に熱々の湯気を上げて
鈍く底の見えないゆっくりと渦を巻く濁り
カカオの苦味と生クリームの甘いコク
深い深い味わい…

どっしりと舌に安息を届ける…
特別に特別な時間の味

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Web zine #8 透明に近づく命

Web zine #8 透明に近づく命

おばちゃんが入院した。
おばちゃんといっても、祖母の妹、
御年89歳のおばあちゃんだ。
癌も患っており、もう先は長くないらしい。

私の祖母は4年前に他界したので、
その年齢と並んだようだ。

祖母とおばちゃんは仲が良く、
私が両親と帰省した時にはよく顔を出してくれ、
新鮮な魚をくれたり、
お年玉をくれたりしていた。

時間がある時には一緒に祖母宅で畳に座り、
みんなでゆるりと過ごした。

たまに

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Web zine #7 午後8時のピロリの夜道

Web zine #7 午後8時のピロリの夜道

頭痛もするし食欲も湧かないし…
みたいな状態でどろどろと
明日のためのヨーグルトを買うためだけに
午後8時の夜道を歩く

なぜかというと、
今日内科でお腹にピロリ菌がまだいると言われたからだ。
まだ、というのは、
1ヶ月ほど前に胃カメラをしてピロリ菌除去薬を飲んだ検査結果だからだ。

そして私は、なんちゃらというお腹によいというヨーグルトをピロリ菌除去薬のために摂るようにいわれ今に至るのだが、

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Web zine #6 クリスタルの8

Web zine #6 クリスタルの8

タロットカードを趣味で引く。

以前知人経由でタロットリーディングの練習台になった。
そのとき使われていたタロットカードの絵柄がなんだか気に入り、
その後自分で探して手に入れたのだ。

自分でしてみたこともなかったけど、
付属の本を読みながら見様見真似で引いてみる。

ただ引いてみたくて何か質問をしたり。
迷いがあるときに引いてみたり。

ある種の偶然で選ばれたカードのもつことばを、自分に置き換え

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Web zine #5 透明な心

Web zine #5 透明な心

ときどき、すぅっと心が透き通る感覚がくる。

お気に入りの作家さんの言葉を読んでいるとき
ただ目の前のちいさなものに惹かれて写真をとるとき
ただただ心から湧く言葉をそのまま口から出しているとき

そういう時に感じる、心が凪のように静かになって、感覚は研ぎ澄まされて、
感覚だけが世界にあるような感覚だ。

そういう時、どうやら意識は少し自分から離れて広がっているらしい。

宇宙もそんな風にして毎秒広

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Web zine #4 本当の真っ暗

Web zine #4 本当の真っ暗

本当の真っ暗って、
実はなかなかない。
物理的な意味で。

夜電気を消して、「真っ暗だ」と思ったものも
しばらく経てば見えてくるもの

砂漠の夜道を歩いたって、
星や月や、雲の反射がほんのりとある

昔遊びに行った
「養老天命反転地」という施設で
本当に一切の光をなくした空間を体験したことがある

本当の真っ暗。

目の前が完全に黒で塗りつぶされている。
目を開けても閉じても変わらない。
距離も空

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web zine #3 将棋倒しのような食器入れ

web zine #3 将棋倒しのような食器入れ

大体、普段家事をしていない人間の家事には抜けがあるものなんです
(タイトルは短く男、としたけど、
今のご時世、常に男がそちら側とも限らない。)

弟が洗ってくれた後の食器カゴはまるでプレイ前の将棋崩し。

ともかく、
食器を珍しく全部洗ってくれたと思ったら、
炊飯器のご飯は忘れ去られてた、なんてことはざらです。
ざらかもしれませんが、
それを気づいてしまうのはあなたが言わばベテランだから。

ここ

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Web zine 金魚のタトゥー #2 グリーンピース

Web zine 金魚のタトゥー #2 グリーンピース

母がレンジから取り出した皿から蓋を取る。
するとその皿からむわっと立ち上る
グリーンピースの匂い。

空豆のそれを少し薄めたような。
そう思うと、口にもさもさとした空豆の食感が浮かぶ。

青々しく、深蒸された、薫り。

母はそのグリーンピースの皿にふたたび蓋をする。
「鮮やかな緑色を愉しみたいから、炊いたお米にあとから足すのよ。」

炊き上がったお米にはトウモロコシもすでに混ざっていて、
そこに先

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Web zine #1 金魚のタトゥーの女の子

Web zine #1 金魚のタトゥーの女の子

雨の日はなぜか
自分が金魚鉢のなかにいるような
そんな感覚に陥る

このzineを書こうと思ったきっかけは
先日会った金魚のタトゥーの女の子

アメリカのB-girlのような
どっしりふてぶてしくも格好よさの感じる女の子…

話すと澱みなく色んな話を聞かせてくれた

その子のつくったzineをひとつ買って帰った

そのzineを読んでみる。

その子の文章は透き通ってて
ああ、この子の文章を読むと

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