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#短編小説
愛の学校のはじまりとおわり
男は愛を知らなかった。内陸の土地で生まれ育った人間が海を知らないように。残念ながら、男が産まれてこのかた、愛が男の身近にあったためしがなかったのだ。それを見たことも、それに触れたこともなければ、それの匂いを嗅いだことも、それを味わったこともなかったのだ。海を知らない人が、海の広さや、その冷たさや、波の感触や、その塩辛さを知らないように。あるいは、説明をされたことはあって、言葉としては知っていたと
もっとみる一度は手放してしまえばいい
その人にとって大切なものは
必ず別の形で再び手元に戻ってくるもの。
そう考えながら、
日々ものごとと向き合っている気がします。
ものに取り囲まれてばかりでは、
何が大切なものかなんて
本当はわからない。
だから、
一度は手放してしまったほうがいい時もある。
どれほど大切なものだと思っていても、
手放してしまうことで、
本当に自分にとって価値あるものだったは
その時にこそよくわかるものですか
意識の檻から放たれて
外からきこえてくる鳥のさえずりに、
穏やかな目覚めの朝を迎えました。
窓をあけて空を眺めると、その鳥の群れは、
孤島の上空をのびのびと旋回し、
やがて遥か彼方へと羽ばたいてゆくのでした。
思い思いに、伸びやかに、
自分の意思で羽ばたきながら、
一つの場所にとどまらず、世界に羽ばたいていく。
なんて自由で豊かな生き方だろう。
羽ばたいていく鳥の姿を眺めていると
いつも思うことがあるんです。