『ボヤニアイスクリーム』(2/2)※創作大賞2023
結論から言えば、佐知子も僕もどちらも家を出なかった。別れ話の切れ目を不用意に作ったのは僕だ。にも関わらず、別れ話の再開の仕方が分からなくなったのだ。僕はあの夜、佐知子と意図的に口を利かなかった。
帰りしなに駅中の弁当屋に寄って「どれにする?」と僕は聞いた。別れ話の切れ目から最初の一言だった。すると、佐知子は指差しだけで応えた。確かに指差しのみで成立するやりとりなのは否定しない。しかし用件はただの用件でしあって、何もそんな不遜な態度をとらなくてもいいのに、といやに腹が立って