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短編・ショートショート

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とりとめもなく書いたお話とショートショートです。ほとんどが、一話完結のお話たちです。 【♯通り過ぎていく女たち】は基本的に1話完結ですが、何かのシリーズです。
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記事一覧

『猫城』

 三畳ほどの床面積、それでいて二階建ての、たったそれだけのサイズの建物が存在する。中国山…

カナヅチ猫
3か月前
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『ボヤニアイスクリーム』(2/2)※創作大賞2023

 結論から言えば、佐知子も僕もどちらも家を出なかった。別れ話の切れ目を不用意に作ったのは…

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『ボヤニアイスクリーム』(1/2)※創作大賞2023

『ボヤニアイスクリーム』  風呂から出ると、テレビの中で男女が別れ話をしていた。ほんの十…

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<雑記>風向きが変わろうが、髪の毛はまだ生えている

 はい。こんにちは。春の風が吹いています。  夏の風は嵐の中から、秋の風は僕のつむじに当…

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『待ち猫行列』

 ラーメン屋の行列は何人を超えてから行列と呼ぶのだろう。店舗前に用意された四つの椅子は埋…

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『誰がために薪を割る』

 混ざりきっていないカフェオレかと思った。 「猫は液体だ」などという言葉のとおり、離れの…

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『古書店における自由研究』

「自由研究よ」  深夜帯にだけ開店する古書店の一角、古びた本棚の脇に寄りかかり、彼女は小さく三角座りをしたまま顔を上げて答えた。日に焼けた本に人差し指を挟んで持ったあと、もう一方の手で黒髪を耳にかけて僕を見上げている。 「カポーティの短編集を読むのが君の自由研究?」 「そう。自由研究よ」  僕はヘミングウェイしか読んだことがなくて、彼女の言う“自由研究”がどのようなものなのか聞けるほどの知識がない。ゆるんだTシャツを着た彼女の首元に汗の雫は無いが、数本の黒髪が蛇行して貼り付い

『ある日の唐揚げについて』

※このお話は、男子中学生のお下品な様をただただ描いているだけのものです。過度な期待はしな…

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『分水嶺』

※このお話は、ただただ下品な妄想をするだけの高校生男子二人を描いたものです。ご了承いただ…

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『僕と彼女は猫と眠る』

 僕が彼女より先にダブルベッドに入ろうとしたら、先客がいた。  猫である。僕と彼女と一緒…

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(連作短編小説)『通り過ぎてゆく女たち』 #創作大賞2022

11月4日(初恋)  ジャングルジム。  大人になってしまえば、頂上まではそれ程高いとは…

21

『新しいこと』

※このお話には、一部、18禁かもしれない表現が含まれます。ご了承いただける方のみお進み下さ…

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『猫と耳とトイレと』

 食器洗いや洗濯などというのは単純な作業であって、ある一定まで習慣化してしまえば、巧妙に…

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『父ちゃんの』

 冬、年末年始でもないのに久々に実家に帰ると雪が降らない。年末年始に帰れば、狙ったように雪が降るくせに。まあ、天気の機嫌なんて僕にとって問題ではない。  問題なのは、つっかけが無いことだ。  当然、つっかけというのは家付近での行動を円滑にするための簡易的な靴なので、この家に生活の主を置いていない僕のつっかけが玄関にあるわけがない。  僕が見下ろす先にあるのは、運転に支障の無い機能性を持った僕のスニーカーが一足と、祖父母と父母の4人分のつっかけだけだ。  まあ、食後の煙草を