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【毒親連載私小説】ほどけない糸

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#アダルトチルドレン

【毒親連載小説#75】成人後も続く毒親からの呪縛⑩ 父の許しがたい行動①

【毒親連載小説#75】成人後も続く毒親からの呪縛⑩ 父の許しがたい行動①

そんな感じで両親は
お互いに何十年間も険悪で
関係は冷え切っていたし、
私自身も両親の間に挟まれ続け
心底うんざりだった。

そんな時、
私が中国で暮らしていた時、
父からある一本の電話を受け
「ある事件」が起きたことを
聞かされた。

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【毒親連載小説#73】成人後も続く毒親からの呪縛⑧

【毒親連載小説#73】成人後も続く毒親からの呪縛⑧

私はいつからか父から
「車で送ってやる」と言われると
内心、ドキッとし緊張していた。

それが繰り返されると
私は父に対してだんだんと
嫌悪感を覚えていた。

また、
父の車に乗るのが
嫌でたまらない理由は
他にもあった。

それは、
父の運転はもともと荒く、
私と一緒に車に乗っていると
いつも何かトラブルを起こす。

雪道を無理に運転して
一度は事故に巻き込まれた
こともあった。

父はタクシー

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【毒親連載小説#70】成人後も続く毒親からの呪縛⑤

【毒親連載小説#70】成人後も続く毒親からの呪縛⑤

両親には私という
「心のゴミ箱」が必要だった。

そして、私は私で
両親に愛してもらいたい
という潜在的欲求が
この共依存関係を
強く結びつけていた。

それはまるで、
もつれた糸のようだった。

この「もつれた糸」は
たとえ家出をして
一人暮らしをしていようが、
遠くの海外で生活をしようが
程度の差はあれど、
もつれていることに
なんら変わりはなかった。

私は命からがら家出をして
物理的な距離

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【毒親連載小説#69】成人後も続く毒親からの呪縛④

【毒親連載小説#69】成人後も続く毒親からの呪縛④

私はこの正体不明なモヤを
必死で振り払うかのように、
大学の時から覚えたタバコを
くゆらせる毎日だった。

家に一人でいると、
一体、何をどうしたら
良いのか分からず、
いてもたってもいられなかった。

そんな時はすぐに
まずはキッチンに立ち、
換気扇のスイッチを入れる。

そして、
タバコを一本取り出し、
ライターに火をつける。

そして、そのタバコが
吸い終わりそうになると、
また次のタバコを

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【毒親連載小説#68】成人後も続く毒親からの呪縛③

【毒親連載小説#68】成人後も続く毒親からの呪縛③

大学3年の頃、
私は家出をした。

家出したばかりの時は
幸せだったような気がした。

しかし、それは単に
長年に渡る苦痛から解放された
というだけであって
「ニセモノの幸せ」だった。

もっとも、
そのことに気づいたのは
私が家出をしてから数年後の
20代後半のことだった。

当初は、自分で
家賃や水道光熱費を払い、
自活できるようにもなり
親から物理的に離れたことで
解放され、私はもうこれで

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【毒親連載小説 #7】母とわたし⑤

【毒親連載小説 #7】母とわたし⑤

また、
ひとたび夫婦喧嘩が始まり
怒声・罵声だけでは
怒りの収まらない母は、
家にあるお皿を次々と割り、
怒りをあらわにする。

お皿の割れるその不快な音に
私はずっと耳を塞ぎ続ける…。

翌朝、
粉々になったお皿の破片が
床一面に飛び散っているのを見ると、
朝から最悪な気分だった。

そんな日は決まって
母は私たちのお弁当は用意しない。

その代わりに小銭を投げつけられる。

その小銭で朝ごはん

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【毒親連載小説 #12】母とわたし⑩

【毒親連載小説 #12】母とわたし⑩

両親の夫婦喧嘩が
日常的に行われると同時に、
母の酒量もどんどんと増え、
完全にお酒に呑まれることが増えた。

ある時は母は完全に目が据わり、
取り憑かれたように激しく怒鳴り続け、
わけのわからないことをわめき続けていた。

そして、突然、
吐き気をもよおしたのか
倒れこむかのようにトイレに駆け込み、
トイレで呻きながら吐き続ける。

吐き続けているあいだ、
ずっと聞こえてくる母の不気味な呻き声。

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【毒親連載小説 #10】母とわたし⑧

【毒親連載小説 #10】母とわたし⑧

毎日、いつ起こるか分からない
修羅場のような夫婦喧嘩。

私はこの家庭が恐ろしく、
かといってこの状況を
どうすれば良いのかも
全く分からなかった。

そして、何よりもこの苦痛を
誰にも言えないことが
また私をさらに苦しめるのだった。

あの頃のわたしは、
自分ではこの両親のことを
どうすることもできず、
ただ黙って泣くことしかできず、
それでも、
この家に居続けなくてはならない…。

この現状を

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【毒親連載小説 #9】母とわたし⑦

【毒親連載小説 #9】母とわたし⑦

また、これは
小学校低学年ぐらいのこと
だったのだろうか。

これは本当に最悪な出来事だった。

また、あのいつもの夫婦喧嘩で、
母はお酒も入り、いつもに増して
感情的に暴れ続けていた。

酒の勢いもあったのだろう。
母は泣き叫びながらなんと
私たちの目の前で
首を吊ろうとしていた。

あのシーンは今でも脳裏に
こびりついて離れてくれない。

母は突然、椅子によじ登り、
リビングの天井にタオルか

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【毒親連載小説 #5 】母とわたし③

【毒親連載小説 #5 】母とわたし③

両親の激しい夫婦喧嘩は
いつも突然だった。

なぜ、
両親は毎日のように
喧嘩をしているのか?

あの頃の私は
両親のことが全く
理解することができなかった。

しかし、幼い私にも唯一、
分かっていたことがあった。

それは、
父の帰りが遅い時だった。

料理上手な母は夕方にになると
忙しそうに台所に立ち、
毎日、手際よく何品も
おかずを準備していく。

そして、
夕飯どきにはできたての
料理を食

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【毒親連載小説 #4 】母とわたし②

【毒親連載小説 #4 】母とわたし②

私の家庭は4人兄弟で、
家庭での母と言えば、
家事に子育てに忙しそうで
いつも眉間にしわを寄せながら
イライラ、ピリピリとした雰囲気を
四六時中漂わせていた。

母は私たち兄弟が遊んで
うるさくしていたり、
夜遅くまで寝ない
といったことですぐに、
大声で怒鳴り散らす。
それが日常的にあった。

ある時は弟とテレビ番組を
見て笑っていただけで
「笑うんじゃない!!!」
と大声で怒鳴りつけられた

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【毒親連載小説 #3】母とわたし①

【毒親連載小説 #3】母とわたし①

若い頃の母は、容姿端麗で
当時の写真を見ると、
女優の黒木瞳似の美人だった。

また、
自分自身をどのように
美しく見せるのかを
よく心得ていて、
出かける時はいつも
バッチリと化粧をし、
綺麗に着飾る。

見た瞬間に
パッと目を引く美しさ
だったと思う。

また、母は外では、
社交的でハキハキと
モノを言う
とても快活な人に見えた。

母のクローゼットには
たくさんの洋服や
ブランド物のバッグが

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【毒親連載小説 #1】今、オーストラリアで想うこと

【毒親連載小説 #1】今、オーストラリアで想うこと

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西側に位置する都市・パース。

自然と都市が調和したこの土地で
今、私は旦那と娘と3人、
とても平凡だけれども
人生で

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