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【毒親連載小説#73】成人後も続く毒親からの呪縛⑧

私はいつからか父から
「車で送ってやる」と言われると
内心、ドキッとし緊張していた。

それが繰り返されると
私は父に対してだんだんと
嫌悪感を覚えていた。

また、
父の車に乗るのが
嫌でたまらない理由は
他にもあった。

それは、
父の運転はもともと荒く、
私と一緒に車に乗っていると
いつも何かトラブルを起こす。

雪道を無理に運転して
一度は事故に巻き込まれた
こともあった。

父はタクシー運転手のくせに
スピード違反でよく捕まっていたし、
スピード違反をしたのに
警察に出頭拒否したりと
ルールを守らない父のことも
ものすごく嫌だった。

そんな社会のルールも守らないし
あまりにも粘着質な性格で
徹底的に母を
悪者にしようとする父に
私は心底うんざりしていた。

だから、だんだんと私は
冷たい言葉で
あしらうようになった。

すると急に表情を変える。

そして、
強い口調と決まり文句。

「お前の母親だろ」
「お前、娘なのに冷たいな」
「いいから黙って聞きなさいよ!」

(お前は大人しく俺の言うことだけ聞け)

私はこの父の
力でねじ伏せるかのような
弾圧的な命令口調が
死ぬほど嫌いだった。

私は次第に
父と距離を置きたくなり、
父の電話を取らないことも
増えた。

すると、父は
そんな私の態度に激昂し、
何十件もの着信を私の携帯に残す。

とにかく私が取るまで
しつこく、そして執念深く
電話をかけ続けてくるのだった。

その無数の着信を見た瞬間、
私はまるで借金の取り立てに
あっているかのようにゾッとした。

こんなに堂々とあからさまに
脅してくる父の言動をみて、
私は何か父に申し訳ないことを
しているのか?
悪いことをているのだろうか?
という罪悪感を
うっすら感じたりもしたが、
私はこれに反抗して
父の電話の着信拒否したことも
幾度もある。

すると、
そのことにまた父は腹を立て、
私が電話を取るまで、
日にちを空けてはまた
電話を繰り返すのだった。

それでも
電話を取らない私に対して
父が取る手段と言えば、
私の兄弟に探りを入れる
という方法。

家族という外堀を埋め、
兄弟を通して、私に連絡しろと
しつこく伝えてくる。

そして、
しぶしぶ私が連絡を取ると、
父は私が着信拒否したことを
ぐちぐちといつまでも
そのことを嫌味っぽく
言い続けるのだった。

また父は、
常に自分よりも
下に見る存在が必要だった。

それが母であり
私たち子供だったのだろう。

また、母もまた、父という
経済的にしがみつく相手が必要だった。

そして、
私たち子供はこの夫婦の茶番劇に
付き合わされるの繰り返し…。

一緒にいればいるほど
神経がすり減りるようで
私はいつも疲弊していた。

(つづく)


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