マガジンのカバー画像

【毒親連載私小説】ほどけない糸

78
運営しているクリエイター

2021年2月の記事一覧

【毒親連載小説 #27】気づけない父のモラハラ2

【毒親連載小説 #27】気づけない父のモラハラ2

父は昔も今も、
家庭内の問題が起きた時、
本人とは決して向き合わず、
とにかく逃げ回る。

この時も直接、
母と話し合うということから
ずっと目をそらしていた。

そして、父は母には何も言わず、
周辺にいる私たちにこそこそと
陰口のように本人の問題について
話しを始めるのだった。

それと同時に、
父は自分を正当化する「洗脳」を
私たちに始める。
私はこの今も昔も変わらぬ
父の卑怯な行動が
吐き気

もっとみる
【毒親連載小説 #26】気づけない父のモラハラ 1

【毒親連載小説 #26】気づけない父のモラハラ 1

母はストレートに
怒りをぶちまける人だったのに対し、
父は巧妙な手口で私や兄弟を洗脳し、
見えないところでコントロールする
ような人だった。

それは「皮肉や嘲笑」
という見えづらい一瞬の否定。

時折、言い放つ
緩やかな脅し文句。

そうやって、
相手の様子を見ながら
罪悪感を植え付け、
人の感情を巧妙に操り
コントロールする。

そんなある種の狡猾さを
持っていた。

私が高校ぐらいの頃から、

もっとみる
【毒親連載小説 #25】父とわたし 6

【毒親連載小説 #25】父とわたし 6

私が合格した大学は日本では
割と名の通った大学だった。

父は私の合格を知った途端、
普段はほとんど疎遠な親戚中に
電話をかけていた。

そして、さも自分が
合格したかのように親戚に
自慢するために触れ回っていた。

私は唖然とした。

父が電話口で私の大学合格の
話題を出していることを聞いた時、
怒りと悔しさで震え、
あまりの怒りで一晩中悔し涙を流した。

当時はなぜ、
こんなに腹が立ったのか

もっとみる
【毒親連載小説 #24】父とわたし 5

【毒親連載小説 #24】父とわたし 5

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

毒親育ちのあなたへ
自分の居場所は自分で作れる!

無料メルマガ
【インナースペース@パース】
発行中です。

スマホの方はこちら
PCの方はこちら

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

何よりもこの事実を認めた瞬間
私という人間はたった数万円の
お金も払ってもらえぬ
価値のない人間であることを
認めるような気がした。

もっとみる
【毒親連載小説 #23】父とわたし 4

【毒親連載小説 #23】父とわたし 4

私はこの頃、自分の進路を
親や兄弟、誰にも相談できず、
ひとり悶々と悩んでいた。

私が通っていたのは
民族学校だったので、
高校卒業後、
日本社会で就職をするのか?

それはどのような方法でするのか?

それとも、
日本の大学へ進学するのか?
いや、そもそも、私は
何をしたいのだろうか?

私はどうしたらよいのか
全くわからずにいた。

両親は学歴もなかったし、
毎日のように夫婦喧嘩ばかりして

もっとみる
【毒親連載小説 #22】父とわたし 3

【毒親連載小説 #22】父とわたし 3

父が私の元に突然やってきて
「今、経済状態がよくない」。
そう一言切り出し、
あれこれとごちゃごちゃと
言いくるめられた。

そして当時、貯めていた
アルバイト代20万円を全て
持って行かれてしまった。

私はこの家で世話になっている以上、
父の要求に応じるほかなかった。

また、拒絶できる理由も
拒絶するという選択肢もなかった。

私は黙ってそのお金を
差し出すほかなかったが、
なんだか釈然とし

もっとみる
【毒親連載小説 #21】父とわたし 2

【毒親連載小説 #21】父とわたし 2

家庭の経済状況は徐々に
苦しくなっているようだった。

それは当時、民族学校に通っていて
学費が私立並みに高かったのだが、
その支払いが度々遅れるようになったり、
中学から弟だけ日本の学校に通うことに
なったことから感じるようになった。

日本の学校に変わったことで弟は
とてもショックを受けていたことも
よく覚えている。

父はこの時期から、
お金のことになると表情を曇らせ、
苦虫を噛み潰すかのよ

もっとみる
【毒親連載小説 #20】父とわたし 1

【毒親連載小説 #20】父とわたし 1

あの頃の父…。

私が父との記憶をさかのぼると、
それは小学校に辿り着く。

あの頃の父の印象は、
怒りの塊だった母とは対照的で、
物静かで優しい印象だった。

そんなこともあってか、
もともと私にとって父の存在とは、
心の拠り所だった。

また、この頃、
父が営んでいた商売も
うまくいっていたようで、
私たち兄弟は私立の幼稚園に通い、
小中高と民族教育を受けさせてもらった。

幼い頃、私は母と二

もっとみる
【毒親連載小説 #19】母とわたし 17

【毒親連載小説 #19】母とわたし 17

ここまで、こうしてひとつひとつの
場面を思い出しながら執筆をしていると、
私はなぜだかたびたび強い眠気に襲われ
執筆を中断することが増えてきた。

他にも色んなシーンを
書き出そうとするたびに、
ずっと閉じ続けてきた「感情の扉」が
突然バーンと開いてしまい、
当時のリアルな感覚がよみがえり、
ただわけも分からず苦しくなり
真夜中に一人、むせび泣いていた。

このような状態に陥り、
執筆がなかなか進

もっとみる
【毒親連載小説 #18】母とわたし 16

【毒親連載小説 #18】母とわたし 16

他にもうっかり
お味噌汁をこぼした瞬間に
バチーンと平手打ちをされたり、
私が失敗すると
容赦ない体罰が待っていた。

それは痛みというムチ与えることで、
私をコントロールする方法だった。

こんな風に母は、
弱くて抵抗のできない幼い私を、
まるで虫けらや畜生かのように
扱われてきた。

密室で誰も見ていないからと
こんな仕打ちをしておきながら、
自分がやったことはまるで
何もなかったことにかき消

もっとみる
【毒親連載小説 #17】母とわたし 15

【毒親連載小説 #17】母とわたし 15

また、ある日の夜のことだった。

私はその日、母とお風呂に入っていた。

私は母とお風呂に入るのが本当に嫌だった。
なぜなら母は、いつも面倒くさそうに
そして、知ってか知らずか?
わざと乱暴に私の顔にめがけて
シャワーをかけ続けることがしばしばあった。

毎回、私はこの狭い浴室で
逃げることも抵抗することもできず、
この密室で、黙って母の陰湿ないじめも
されるがままにいた。

その日は特に母の機嫌

もっとみる
【毒親連載小説 #16】母とわたし 14

【毒親連載小説 #16】母とわたし 14

幼稚園の頃から私はうっすらと
母は自分と正反対の性格の私を
疎んじているように思えた。

また、小学校ぐらいからは
父が私をかわいがっていた
ということもあったのだろうか?

母の私に対する扱いは
より乱暴になっていった。

あれは小学校低学年の頃だった。

私はコタツのある部屋で母と二人きり
算数の宿題をするため
そろばんをはじいていた。

母が隣で見ているのが
何だか緊張していて
ちっとも集中

もっとみる
【毒親連載小説 #7】母とわたし⑤

【毒親連載小説 #7】母とわたし⑤

また、
ひとたび夫婦喧嘩が始まり
怒声・罵声だけでは
怒りの収まらない母は、
家にあるお皿を次々と割り、
怒りをあらわにする。

お皿の割れるその不快な音に
私はずっと耳を塞ぎ続ける…。

翌朝、
粉々になったお皿の破片が
床一面に飛び散っているのを見ると、
朝から最悪な気分だった。

そんな日は決まって
母は私たちのお弁当は用意しない。

その代わりに小銭を投げつけられる。

その小銭で朝ごはん

もっとみる
【毒親連載小説 #15】母とわたし 13

【毒親連載小説 #15】母とわたし 13

ここまで
母とわたしのエピソードを
読み続けてくれた人は
一体、今、何を感じているだろう…?

今の私が
この文章を読み返すと、
私はこの家庭で育ち、
人間としての尊厳を
幾度も踏みにじられ続けてきた。

そう強く感じている。

私はこの家庭にいると、
自分が虫けら以下のような
存在に感じてならなかった。

この家にいると
なぜだかいつも、
申し訳なさそうに、
そして、弱々しく振舞わないと
いけな

もっとみる