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【毒親連載小説 #17】母とわたし 15

また、ある日の夜のことだった。

私はその日、母とお風呂に入っていた。

私は母とお風呂に入るのが本当に嫌だった。
なぜなら母は、いつも面倒くさそうに
そして、知ってか知らずか?
わざと乱暴に私の顔にめがけて
シャワーをかけ続けることがしばしばあった。

毎回、私はこの狭い浴室で
逃げることも抵抗することもできず、
この密室で、黙って母の陰湿ないじめも
されるがままにいた。

その日は特に母の機嫌が悪く、
温度調整するのも面倒だったのだろうか?
それともまた
ストレス発散をしたかったのだろうか?

熱湯のように熱い湯船に
無理やり入らされたことがある。

全身の細胞がビリビリと
拒絶反応を起こすかのような、
身の危険を感じるほどのひどい感覚だった。

それでも私は拒否することもできず、
我慢してただその湯船に入り続けた。

私はこのトラウマから今でも、
うっかり蛇口をひねって
熱いお湯をかぶってしまった瞬間、
このビリビリした感覚とともに
この忌々しいシーンが甦ってくる。

(あぁ、これが
 フラッシュバックというものなのか)
…と最近、やっと分かった。

そして、その記憶を
かき消すかのように
冷水をいつまでもかけ続けるのだった。

(つづく)

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