見出し画像

【小説】田舎暮らし案内人奮闘記 第18話

こんにちは、移住専門FP「移住プランナー」の仲西といいます。
ここでは、これまでの17年間の活動、2500組以上の移住相談対応から
皆さんに役立つ情報を書いています。
今回は、これまで受けた移住相談を小説風に書いてみました。
気に入った方は、フォローをしていただけると嬉しいです。


第18話 大切なことを思い出した移住希望者!


私の朝の日課。

5㎞のジョギングとシャワー、梅干しと卵かけご飯、そしてスマホで為替相場をチェック。
やがて、遠くから小学校のベルが聞こえてくると、私も子供たちと同じ様に、書斎に向かいデスクに向き合う。
そして、教科書の代わりに、PCを開けて電源を入れる。

まずは、メールチェックが仕事のスタート。
本日も受信トレイには50件の未読メッセージ。
移住に夢見る人からの熱いメッセージが届いている。

相談メールをフォルダー移動し、着信の古いものから内容を確認。
子供のようにワクワクした気分でメールを開く。

本日の相談

東京に住む坪井と言います。
50歳の夫婦です。
子どもはいません。
田舎への移住を考えており、いろいろな町を見たいと思っています。
〇月〇日にそちらの町に行きますので、移住体験「1Dayツアーに」申し込みをしたいです。
お願いできますでしょうか。

私は1日の案内ツアーを実施していた。
各自治体では有料、無料など様々な移住体験ツアーを実施している。
私の実施する「1Dayツアー」は、観光のついでに申し込む人も多く、このときは深くも考えておらなかった。

坪井様
こんにちは。
〇月〇日の1Dayツアーにお申し込みをいただき有難うございます。
駅に到着したらご連絡ください。お迎えに行きますので宜しくお願いします。
なお、1Dayツアーで訪問したいところはありますか。ご希望に沿いますので、気軽にお申し出ください。

〇月〇日
私は駅で坪井夫妻を迎えた。
ごく普通の50歳のご夫婦であった。

私はご夫婦を車に乗せると、市街地の案内からスタートした。
昼食をともにし、午後は景観の綺麗な展望台の方に向かった。
そして、山の中腹にある教会に到着した。
私は、教会の管理人と顔見知りで会ったことから、坪井夫妻を教会の内覧へと誘導した。

その時、坪井夫妻が突然、慌てだした。

ご主人)この教会見たことないか?
奥様)そう言えば見たことあるかなあ?
ご主人)俺たちの結婚式を挙げたのも、こんな教会ではなかったか?
奥様)教会を挙げた町の名前を憶えていないの?
ご主人)旅行会社の結婚式パックだったから、町の名前は覚えてないなあ
奥様)間違いないわ。この教会よ!

どうやら、坪井ご夫妻は、結婚式をこの町で挙げていたことを思い出したのである。
もう20年以上前のこと。
旅行会社の結婚パックに依頼をしていたので、町の名前まで詳しく覚えていなかったようである。

それからのご夫婦のテンションは上がりっぱなしであった。

その半年後、ご夫婦はこの町に移住をしてきた。
自分たちが結婚式を挙げた町に移住をする喜びを胸に抱いて・・・・

一期一会

ご夫婦の素敵な縁に祝福をし、いつまでも幸せに暮らされることをお祈りして・・・・

(終わり)


#創作大賞2024 #お仕事小説部門


移住専門FP「移住プランナー」として活動をしています。これまで18年間2500組以上の移住相談に対応をしてきました。ここでは、私の経験からお役に立てる情報を日常的に綴っていきます。「移住」という夢の実現にお役に立てればうれしいです。大阪出身、北海道と鹿児島の3拠点生活中。