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IDx | IDL magazine

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多様な背景を持つIDLメンバー(=IDLists)が、国内外のデザイントレンドや、仕事や生活するうえで日々感じているちょっとした「問い」や「気づき」を、わかりやすいストーリーとと… もっと読む
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記事一覧

[UX小話]サイゼリヤの新オーダーシステムの話

[UX小話]サイゼリヤの新オーダーシステムの話

あたしは自他ともに認めるサイゼリヤエンスージアストなんですが、昨夕、出先でWiFiが使いたくなって近くにあったサイゼリヤに立ち寄った際、なんとオーダーシステムが顧客自身のスマホを使ったセルフオーダーシステムに変わっていました。
(店員さんにお聞きしたところ、現時点では全国で数店舗だけの試験導入段階とのこと)

あたしが体験したオーダー手順は以下のとおりです。

1.席に設置してある電子棚札(※)に

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創造性は組織の至る所に存在する

創造性は組織の至る所に存在する

ドイツの社会学者であり文化理論家のAndreas Reckwitzというひとは、著書 ”The Invention of Creativity”で

だと言っています。

ここで言うエステティクスとは感性や感覚のことを指していて、必ずしも表面的・視覚的な美しさを意味しません。エステティクス概念の源流にはカントなどの西洋哲学があるのですが、かなりざっくり説明すると、既存の合理性や意味体制を疑って一旦

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アウトプットではなくプロセスから価値を生み出す、デザインリサーチの新規性とは - IDL/R Design Dialogue vol.17

アウトプットではなくプロセスから価値を生み出す、デザインリサーチの新規性とは - IDL/R Design Dialogue vol.17

IDLが様々な角度からデザイン実践をテーマに対話するPodcastコンテンツIDL/R Design Dialogue。第17回のテーマは「デザインリサーチ」。

5月27日に登壇するRESEARCH Conferenceに向け、改めてIDLのコアとなる「デザインリサーチ」という方法論をテーマに、辻村と遠藤のディスカッションを記録しました。

日本ではまだ、市民権を得ているとは言い難いデザインリサ

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「N=1発想」について考える

「N=1発想」について考える

先日、敬愛する木村石鹸工業株式会社の木村さんのツイートに(勝手に)とても共感というか、インスパイアされた点を感じたので脊髄反射的に反応して、考えが未だまとまらないうちに下記のようなツイートをしてしまいました。

木村さんのツイートは、作家の高橋源一郎さんが『さようなら、ギャングたち』という作品を書かれた際に、同じく作家の吉本隆明さんたったひとりに向けて書いたというもので、そのことにシビレたわけなん

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闘争としての多様性 (Diversity as Struggle)

闘争としての多様性 (Diversity as Struggle)

自身も時折愛用しているスープストックトーキョーを取り巻く一連の炎上騒動について、同社が騒動から少し時間を置いて表明した下記の声明がニュースメディアやSNSを中心に大変ポジティブな反響を得ています。

あたしも世間の評価に異論はないし、このよう経営姿勢は大好きです。
他方で、この企業の本声明の本意は、自分たちの顧客としてふさわしい人たちは、どのようなエステティクス(美学=感性論)をもったひとだ、とい

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DtRとRtDの差異私感

DtR(Design thorough Research)と、RtD(Research through Design)は混同されがちだけど、

前者は

リサーチ活動によって「何がどうあるべきか」という実践目的そのものを見出すこと。

後者は

人工物との相互行為を通して疑問を生成し、実践に先立ち「なにを知るべきか」を見出すこと。

つまり、前者と後者はともに実践を重要視していつつも、起点とする実

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「デザインにおける倫理」について考える

いわゆる「デザインの倫理」についてのトンキンワイズ先生の論考というかエッセイ。

デザインの倫理ついては以前から行動経済学的なものを悪用?したUXデザインのダークパターンに関する議論などが盛り上がりを見せているけれども、このエッセイはさらに数歩踏み込んでいて、とても興味深いです。

UXデザインのダークパターンについては、デザインを悪用してユーザーや関与者に不利益を与えることだけでなく、不利益を与

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「デザイン思考」って、何のことを言うてはりますのん?

「デザイン思考」って、何のことを言うてはりますのん?

この記事、すごく良記事だと思いました。皮肉です。

https://www.technologyreview.com/2023/02/09/1067821/design-thinking-retrospective-what-went-wrong/

なぜかというと、「デザイン思考(design thinking)」が、いかにIDEOとd.schoolが色々な事情を加味して手法論化した「創造的問題

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手触り感のあるコンセプトメイキング:ゲストTangity 村岸 史隆さん / 石澤 知紀さん -IDL/R Design Dialogue vol.16

手触り感のあるコンセプトメイキング:ゲストTangity 村岸 史隆さん / 石澤 知紀さん -IDL/R Design Dialogue vol.16

IDLが外部のデザイナーの方々をゲストにお迎えするPodcastコンテンツIDL/R Design Dialogue。第16回のゲストは、数々のプロジェクトでIDLと協業するNTTデータのデザイナー集団「Tangity」の村岸 史隆さんと石澤 知紀さん。

BUSINESS INSIDER JAPANでのインタビュー記事に寄せて、「コンセプトメイキング」をテーマにアフタートークを収録しました。

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Business Origami® によるあたらしい対話の話

今回は、IDLが複数のプロジェクトにおいて活用しているデザインの手法として、株式会社日立製作所 研究開発グループが開発したBusiness Origami®︎に焦点を当ててご紹介したい。

もし記事をご覧いただいて興味が湧いた方は、近々下記のイベントがあるのでぜひご参加いただければ幸いである。

2023年2月10日(金) 18:00-19:30
Event|関係を生み出すデザインーBusines

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京都のモノづくりをアップデートするデザインとは?北林 功 × 井登 友一対談イベントレポート

京都のモノづくりをアップデートするデザインとは?北林 功 × 井登 友一対談イベントレポート

人間中心デザイン・UXデザインの分野で、20年以上実務家として活躍してきたインフォバーン取締役副社長 井登 友一が上梓した初の単著『サービスデザイン思考 ―「モノづくりから、コトづくりへ」をこえて』。IDLは、この一冊を軸に様々なゲストと共にイベントを開催し、多様な視点から「デザイン」や「モノづくり」について対話を重ねています。

本記事では、2022年12月に開催されたイベント「京都のモノづくり

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自己破壊としての学習

自己破壊としての学習

※本文章は、2023年1月末日にHCD-Net会員向けニュースレターに寄稿したHCDコラムの転載です。

個人的なことで恐縮ですが、3年前から大学院の博士後期課程に身を置いて研究のマネごとのようなことをしています。訳のわからない研究テーマを手探りで研究することはとても苦しい反面、矛盾するようですがこの上なく楽しいものでもあります。

ところが、自分が興味を感じているテーマについて勉強すればするほど

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デザインリサーチ:デザインとリサーチの絡まり合い

デザインリサーチ:デザインとリサーチの絡まり合い

Research Canferenceに登壇させてもらった関係でアドベントカレンダーに参加させてもらってます。何年か前からアドベントカレンダーなるものがあるなぁと思ってましたが初めてお呼びがかかって参加している次第です。
木浦さんからデザインリサーチやらユーザーリサーチやら自由にお題を設定していいと言うことで気が楽になるなか、最近書いている論文のことが頭から離れず、それと関係するリサーチとデザイン

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サステナブルなビジネスデザインは、資源の現場からはじまる【丹後リビングラボ事業創造プログラムのご案内】

サステナブルなビジネスデザインは、資源の現場からはじまる【丹後リビングラボ事業創造プログラムのご案内】

新規事業をゴールに見据えたアイデア創出には、無限のアプローチがある。弊社インフォバーンはこれまで、ヨーロッパ視察やソシエタルデザインなど、多様な切り口からイノベーション創出プログラムを提供してきた。

今までの知見を活かし、丹後リビングラボの活動の一環として今月末にIDLが開催するのが、京丹後市での事業創造プログラムだ。

地域に根ざして挑戦を続ける事業者さんをめぐり、ワークショップで自社の事業ア

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