音の世界地図

井出 音 研究所が贈る 音・音楽情報メディア | 音による「見えないデザイン」 元祖J…

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井出 音 研究所が贈る 音・音楽情報メディア | 音による「見えないデザイン」 元祖JR新宿駅・渋谷駅発車ベル / 空間音響プロデュース 表参道ヒルズ、六本木ヒルズ、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、立川シネマシティ、銀座資生堂ビル、電通ビル etc...

マガジン

  • その道45年、井出祐昭の名演紹介

    井出 祐昭が日々大量に触れる音楽や演奏の中で、「これは」といったものを紹介していきます。 新しい出会いに触れる機会になると思いますので、お楽しみに。

  • 元祖発車音 開発秘話「新宿駅の音」

    今でこそ多くの駅で聞かれる発車メロディや発車サウンド。 その元祖である、「JR新宿駅・渋谷駅の音(1989-2001)」について、当時の開発プロジェクトリーダーである「井出 音 研究所」所長・井出 祐昭が、開発秘話や制作エピソードを語ります。

  • これからの 大人のこもりうた

    こもりうたを [赤ちゃんを寝かしつける時に愛情たっぷりに歌われてきた癒しの歌] だと思ってきた1児の母が、現実の寝かしつけを知り「世界の寝かしつけがそんなに穏やかなはずがない」と疑いながら、研究家としてこもりうたの面白い小話を発信しているシリーズです。 ※ https://note.com/ao_lullaby 連載の抜粋になります

  • 音の建築 - 空間にはすでに音がある -

    表参道ヒルズ、東京銀座資生堂ビル、グランフロント大阪、電通ビル、愛知万博、浜名湖花博…多数の空間や建築を「音」の切り口からプロデュースしてきた井出 祐昭。音と建築について、その極意をお話します。

  • Max サウンドプログラミングの可能性

    音楽や映像、アートやイベントなどいろんな分野で活用されているプログラミング環境「Max」を中心に、サウンドプログラミングについて紹介していきたいと思います。

記事一覧

#3 「モーツァルトの子守唄」は、モーツァルトの作品ではない? | 音楽おもしろ豆知識

連載「明日誰かに話したくなる音楽おもしろ豆知識」 音楽がより身近に感じられる、ちょっとした雑学やおもしろエピソードをお届けします。 「モーツァルトの子守唄」 正式…

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#3 優しい指の音がするハーピスト | その道45年、井出祐昭の名演紹介

いつも心が濁ったり、ささくれ立っている時、この人の音色に救われています。 優しく、ふわっとした雰囲気が漂ってきます。 それがこの方の才能じゃないかと思って、すぐに…

#2 キーワードは「新宿ルネッサンス」 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

今でこそ多くの駅で聞かれる発車メロディや発車サウンド。 その元祖である、「JR新宿駅・渋谷駅の音(1989-2001) 」について、当時の開発プロジェクトリーダ…

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#3 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-3

前回は、ララバイの「ララ」が多くの言語で「なだめる」という意味であることが、歌うときの「ラララ」と関係してるのでは…という持論を述べました。(うちの息子はララで…

#3 空間と仲良くなる | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

前回までのお話おさらい音のプロデュースの仕事ですが、音を付け加えるという考えは逆効果。空間にはすでにエネルギーがあり、その空間をどうすればいいか教えてくれます。…

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#1 始まりは○○作戦 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

TOKYO MORNING 1989 (井出 音 研究所) 「JR新宿駅・渋谷駅の音」の開発を担当することになったきっかけ今でこそ当たり前に聞かれる発車サウンドですが、そもそも何がきっ…

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#2 Max でのプログラミングの基本 | Max サウンドプログラミングの可能性

Maxはヴィジュアルプログラミングの環境だということは前回話しましたが、じゃあどうやってやるの?という基本のところを今回は見ていきます。 プログラミングをする基本…

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2週間前
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#2 意外と大人な音楽?シューマン「子供の情景」 | 音楽おもしろ豆知識

シューマン「子供の情景/Kinderszenen」op.15 そのタイトルから子ども向けの曲集と思われることが多いですが、子供が弾くために書かれた作品ではなく、後に妻となる恋人の…

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2週間前
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#2 美メロディとオーボエ | その道45年、井出祐昭の名演紹介

オーボエでシューマンの曲集やったのは大成功じゃないかと思っています。 オーボエは、ビャーっと鳴るチャルメラ系の音色も多いのですが、このCéline Moinet さんの音色…

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2週間前
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#2 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-2

前回、子守歌の英語である"Lullaby"「ララバイ」の語源についてご紹介しました。「ララ」はなだめる、「バイ」は傍にいる。そんな素敵な語源でした。 さて、「ララ」につい…

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3週間前

#2 素っ裸でいくと素っ裸で返ってくる | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

空間、人、モノ…どんな対象にも深い所にエネルギーがあるというお話を前回しました。 空間の場合、空間に入った第一印象でそれが分かります。「こうしてくれ」と言ってく…

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3週間前
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#1 Maxとは? | Max サウンドプログラミングの可能性

このシリーズでは、音楽や映像、アートやイベントなどいろんな分野で活用されているプログラミング環境「Max」を中心に、サウンドプログラミングについて紹介していきたい…

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3週間前

#1 ブラームス「子守唄 」に隠された"秘密のメロディ"

第一回目に取り上げる作品は、ブラームス「子守唄 /Wiegenlied」 op.49-4 シューベルト、モーツァルト(※1) 両氏の子守唄とともに「世界3大子守唄」にも数えられる有名…

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4週間前
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#1 命がけの迷演 | その道45年、井出祐昭の名演紹介

はじまりました、名演紹介のシリーズです。 ここでは、井出 祐昭が日々大量に触れる音楽や演奏の中で、「これは」といったものを紹介していきます。 新しい出会いに触れる…

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1か月前
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#1 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-1

こもりうたは、英語で"Lullaby"や"Cradle Song"と言います。 後者は直訳すると「ゆりかごの歌」。では、Lullabyはどこからきたのでしょう。その世界を知るには、まずは言葉…

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1か月前
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#1 空間にはすでに音がある | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

深い所にあるエネルギーを引き出す空間にはすでに音がある。本シリーズのサブタイトルでもあるこの言葉、その意味から解説していきます。 私の仕事は、ある空間、ある人…

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1か月前
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#3 「モーツァルトの子守唄」は、モーツァルトの作品ではない? | 音楽おもしろ豆知識

#3 「モーツァルトの子守唄」は、モーツァルトの作品ではない? | 音楽おもしろ豆知識

連載「明日誰かに話したくなる音楽おもしろ豆知識」
音楽がより身近に感じられる、ちょっとした雑学やおもしろエピソードをお届けします。

「モーツァルトの子守唄」
正式タイトルは、
 "Schlafe, mein Prinzchen, schlaf' ein(眠れ、私の王子さま、眠ってね。)"
 (邦題:ねむれよい子よ庭や牧場に)

ブラームス、シューベルトの作品と並び「世界三大子守唄」とも呼ばれる作

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#3 優しい指の音がするハーピスト | その道45年、井出祐昭の名演紹介

#3 優しい指の音がするハーピスト | その道45年、井出祐昭の名演紹介

いつも心が濁ったり、ささくれ立っている時、この人の音色に救われています。
優しく、ふわっとした雰囲気が漂ってきます。
それがこの方の才能じゃないかと思って、すぐにFacebookのメッセンジャーで伝えたら、とてもノリよく喜んでくれました。

人がハープを弾いているというよりも、ハープの精が弾いているという風に最初直感で思いました。
音がキンキンしていない。それが"指の音がする"感じ。
ジャンルを超

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#2 キーワードは「新宿ルネッサンス」 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

#2 キーワードは「新宿ルネッサンス」 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

今でこそ多くの駅で聞かれる発車メロディや発車サウンド。
その元祖である、「JR新宿駅・渋谷駅の音(1989-2001) 」について、当時の開発プロジェクトリーダーである「井出 音 研究所」所長・井出 祐昭が、開発秘話や制作エピソードを語ります。

TOKYO MORNING 1989 (井出 音 研究所)

企画提出から採用まで放送機器を刷新する目的の企画募集に対して、「新宿ルネッサ

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#3 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-3

#3 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-3

前回は、ララバイの「ララ」が多くの言語で「なだめる」という意味であることが、歌うときの「ラララ」と関係してるのでは…という持論を述べました。(うちの息子はララでは寝なかったことも…笑)

今回はララバイの「バイ」に募る疑念、そして語源の別の説の話を少しだけ…

都合のよすぎる"by"以前ご紹介した通り、"by"は「そばにいる」「〜によって」等の意味をもつあの"by"が語源とのこと。
なだめる+そば

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#3 空間と仲良くなる | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

#3 空間と仲良くなる | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

前回までのお話おさらい音のプロデュースの仕事ですが、音を付け加えるという考えは逆効果。空間にはすでにエネルギーがあり、その空間をどうすればいいか教えてくれます。

素っ裸にならないとそれは感じ取れない。ではどうすれば…?

今日は、空間と「仲良くなった」経験についてお話します。

空間と「仲良くなったか?」みーんなそう思う域

素っ裸で空間と向き合い、返ってきたものが分かると、空間と仲良くなったと

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#1 始まりは○○作戦 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

#1 始まりは○○作戦 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

TOKYO MORNING 1989 (井出 音 研究所)

「JR新宿駅・渋谷駅の音」の開発を担当することになったきっかけ今でこそ当たり前に聞かれる発車サウンドですが、そもそも何がきっかけで元祖・発車サウンドである「JR新宿駅・渋谷駅の音」を開発することになったのでしょう?

国鉄が民営化しJRが発足した1987年、「新宿クリーン作戦」という、新宿をパイロット駅にして、サインとかいろいろなものを

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#2 Max でのプログラミングの基本 | Max サウンドプログラミングの可能性

#2 Max でのプログラミングの基本 | Max サウンドプログラミングの可能性

Maxはヴィジュアルプログラミングの環境だということは前回話しましたが、じゃあどうやってやるの?という基本のところを今回は見ていきます。

プログラミングをする基本の流れ多くの場合、次の4ステップを繰り返していくことで、プログラミングをしていきます。

①パッチをアンロック状態にする
 ↓
②プログラミングをする
 ↓
③パッチをロック状態にする
 ↓
④数字やUIを動かす

アンロック状態/ロッ

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#2 意外と大人な音楽?シューマン「子供の情景」 | 音楽おもしろ豆知識

#2 意外と大人な音楽?シューマン「子供の情景」 | 音楽おもしろ豆知識

シューマン「子供の情景/Kinderszenen」op.15
そのタイトルから子ども向けの曲集と思われることが多いですが、子供が弾くために書かれた作品ではなく、後に妻となる恋人のクララを想って書かれた、大人のための作品です。

猛反対された恋愛「子供の情景」は、1838年、シューマンが27歳の時に作曲されました。
当時シューマンは、恩師の娘であり9歳年下の天才ピアニスト、クララと恋人関係でした。

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#2 美メロディとオーボエ | その道45年、井出祐昭の名演紹介

#2 美メロディとオーボエ | その道45年、井出祐昭の名演紹介

オーボエでシューマンの曲集やったのは大成功じゃないかと思っています。

オーボエは、ビャーっと鳴るチャルメラ系の音色も多いのですが、このCéline Moinet さんの音色はは柔らかいですよね。
歌っているみたいです。

落ち込んだ時に暗い音楽を聴くと良いという話がありますが、特におすすめです。
私も、やばい時に聴く曲の一つです。

ジェットベーカーという方の曲も同じような時にお勧めです。
死ぬ

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#2 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-2

#2 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-2

前回、子守歌の英語である"Lullaby"「ララバイ」の語源についてご紹介しました。「ララ」はなだめる、「バイ」は傍にいる。そんな素敵な語源でした。
さて、「ララ」についてもう少し深堀りしてみると、更に面白いことが分かってきました。

あの言語もこの言語も「ララ」は似た意味なかなか他で出会う機会がないlullですが、英語以外にも、近い発音が「なだめる」「寝るために歌う」という意味になっています。

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#2 素っ裸でいくと素っ裸で返ってくる | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

#2 素っ裸でいくと素っ裸で返ってくる | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

空間、人、モノ…どんな対象にも深い所にエネルギーがあるというお話を前回しました。
空間の場合、空間に入った第一印象でそれが分かります。「こうしてくれ」と言ってくれているようなものなのですが、それを感じ取るには少しコツがいります。今回はそのお話をします。

素っ裸でいくと、素っ裸で返ってくる「音のプロデュース」の最大のコツがあるとすれば、初対面の時に自分を素っ裸にして、相手の中にあるもの、外に出てく

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#1 Maxとは? | Max  サウンドプログラミングの可能性

#1 Maxとは? | Max サウンドプログラミングの可能性

このシリーズでは、音楽や映像、アートやイベントなどいろんな分野で活用されているプログラミング環境「Max」を中心に、サウンドプログラミングについて紹介していきたいと思います。

Maxとは?詳細な説明は 公式サイト や wikipedia に譲りますが、
ざっくり言うと、音・音楽や映像を作ったり加工したりするシステムを比較的簡単につくれる、クリエイティブなヴィジュアルプログラミング環境です。

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#1 ブラームス「子守唄 」に隠された"秘密のメロディ"

#1 ブラームス「子守唄 」に隠された"秘密のメロディ"

第一回目に取り上げる作品は、ブラームス「子守唄 /Wiegenlied」 op.49-4
シューベルト、モーツァルト(※1) 両氏の子守唄とともに「世界3大子守唄」にも数えられる有名な作品ですが、実はこの曲には、とある「秘密の仕掛け」があります。

※1:「モーツァルトの子守唄」と呼ばれている作品については、近年は「実はモーツァルトの作品ではなかった」とされています。

 Lulla Music

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#1 命がけの迷演 | その道45年、井出祐昭の名演紹介

#1 命がけの迷演 | その道45年、井出祐昭の名演紹介

はじまりました、名演紹介のシリーズです。
ここでは、井出 祐昭が日々大量に触れる音楽や演奏の中で、「これは」といったものを紹介していきます。
新しい出会いに触れる機会になると思いますので、お楽しみに。

早速、第1回目のご紹介。
最初にしてはアクロバティックなものですが、この人、命掛けています(音楽にではなく)。
でも、この危機に立った時に立たせることによって、普段出せないものを音楽で出すといった

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#1 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-1

#1 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-1

こもりうたは、英語で"Lullaby"や"Cradle Song"と言います。
後者は直訳すると「ゆりかごの歌」。では、Lullabyはどこからきたのでしょう。その世界を知るには、まずは言葉から。
まずは諸説あるうちの一説についてお話しします。

なだめ、そばにいる第一有力説は中世英語 Lullen + by

比較的新しい辞書によると、Lullabyの語源はこのように説明されています。

中世英

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#1 空間にはすでに音がある | 音の建築 -空間にはすでに音がある-

#1 空間にはすでに音がある | 音の建築 -空間にはすでに音がある-


深い所にあるエネルギーを引き出す空間にはすでに音がある。本シリーズのサブタイトルでもあるこの言葉、その意味から解説していきます。

私の仕事は、ある空間、ある人、あるモノを音で表現するという側面があります。その際に上手くいかないパターンがあって、それは何かというと、実は「音を付け加える」という考え方です。これは水と油になることが多いのです。
音のプロデュースなのにどうして?と思われる方もいるかも

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