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#1 始まりは○○作戦 | 元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音

今でこそ多くの駅で聞かれる発車メロディや発車サウンド。
その元祖である、「JR新宿駅・渋谷駅の音(1989-2001)」について、当時の開発プロジェクトリーダーである「井出 研究所」所長・井出 祐昭が、開発秘話や制作エピソードを語ります。

TOKYO MORNING 1989 (井出 研究所)

「JR新宿駅・渋谷駅の音」の開発を担当することになったきっかけ

今でこそ当たり前に聞かれる発車サウンドですが、そもそも何がきっかけで元祖・発車サウンドである「JR新宿駅・渋谷駅の音」を開発することになったのでしょう?


国鉄が民営化しJRが発足した1987年、「新宿クリーン作戦」という、新宿をパイロット駅にして、サインとかいろいろなものを刷新しようという動きがJRにありました。
新宿駅は、その当時でも百何十万人も乗降者客がいたので、これを一つのパイロット駅にしようということになったようです。
これは予想ですが、民営化したばかりということで、イメージアップと広報の意図もあったのではないかと思います。

1989年当時の新宿駅ホーム

「新宿クリーン作戦」を進めるにあたり、各社がアイデアを出すためのオリエンテーションがありました。
その時点ではソフトの方までは入っていなくて、主に放送機器を刷新する目的で、企画を募集していました。
そこに、何社かは定かではないですが、企画書が集まりました。

自分たちのチームは、単純に放送機器だけの企画書ではなく、発車ベルを新しくしたらどうか、とか、ホーム内の音をどうしようとか、オブジェを置こうとか、芸術系も含めた企画書を出しました。
新宿や中央線沿線は文化的な要素があり、そのキーになるのが新宿駅だと考えていました。
だけど、そういった文化的な要素がなんだか薄くなってきちゃっている気がして…、そのようなことも含めて、「新宿ルネッサンス」という企画書を出したような覚えがあります。

我々が提案したようなことを、相手も元々考えていたのか、それともこちらが提案したことを受け止めてくれたのか、今となっては分からないですが、考えがマッチしたという流れで、企画を進めることになりました。


企画提出から採用までの道のりについては、次回の記事でお話しします。

「元祖発車音 開発秘話 新宿駅の音」では、皆様からの質問を募集しております。
井出所長に聞いてみたいことがございましたら、note記事へのコメントまたは公式Xへのリプライでお寄せください。



井出 祐昭 HIROAKI IDE
サウンド・スペース・コンポーザーSound Space Composer

ヤマハ株式会社チーフプロデューサーを経て、2001年有限会社エル・プロデュースを設立。最先端技術を駆使し、音楽制作、音響デザイン、音場創成を総合的にプロデュースすることにより様々なエネルギー空間を創り出す「サウンド・スペース・コンポーズ」の新分野を確立。
主な作品として、30周年を迎えるJR新宿・渋谷駅発車ベル、愛知万博、上海万博、浜名湖花博、表参道ヒルズ、グランフロント大阪、東京銀座資生堂ビル、TOYOTA i-REALコンテンツ、TOYOTA Concept-愛i、SHARP AQUOS、立川シネマシティ、世界デザイン博など。
またアメリカ最大のがんセンターMD Anderson Cancer Centerで音楽療法の臨床研究を行う他、科学と音楽の融合に取り組んでいる。最近では、日本ロレアルと共同で髪や肌の健康状態を音で伝える技術を開発。米フロリダ州にて行われた化粧品業界のオリンピックである第29回IFSCC世界大会、PR分野の世界大会であるESOMAR 2017にてグランプリを受賞。メディア出演・講演多数。


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