#3 空間と仲良くなる | 音の建築 -空間にはすでに音がある-
前回までのお話おさらい
音のプロデュースの仕事ですが、音を付け加えるという考えは逆効果。空間にはすでにエネルギーがあり、その空間をどうすればいいか教えてくれます。
素っ裸にならないとそれは感じ取れない。ではどうすれば…?
今日は、空間と「仲良くなった」経験についてお話します。
空間と「仲良くなったか?」
みーんなそう思う域
素っ裸で空間と向き合い、返ってきたものが分かると、空間と仲良くなったと感じます。その感覚は、自分にしか分からないようにイメージするかもしれませんが、実はそうでもありません。
プロデュースのプロセスで、関係者や一般の人も交えて意見を聞くことがあるのですが、「どの音が一番合ってると思いますか?」というと、空間が教えてくれた最適な音楽と、皆の意見が大体揃うのです。
確かめてみると…満場一致
2004年浜名湖花博のプロデュースをした時にも、屋外の大きな花壇や庭園に博覧会協会の人や一般の人を大勢呼び、同様のプロセスを行いました。
この時は「花が歓ぶ音楽」というテーマでした。花で人を歓ばせようということではなく、花に歓んでもらって、それを見て人が歓ぶという発想。
色々な音楽を流して、「どれが花が歓んでいる感じがしますか?」
そう聞くと、本当に一致する。それが仲良くなった=空間のメッセージを受け取ったこととの答え合わせです。
皆分かるのに、出ていない
人のプロデュースも同じ
聞けば一致するほど皆が分かっているのに、プロデューサーが素っ裸にならないと出てこない…矛盾を感じる方もいるでしょうか。
人のプロデュースも同じなので、置き換えてみましょう。
経歴や見かけではなく、その人自体に光る結晶のようなものがある。それが出てくると、スカーン抜けた爽快感のようなものを感じ、満場一致の良さが出ることがよくあります。
でも、それが何なのか?あるのか?本人だってなかなか分からないものです。
一歩深い所を見ているカメラマン、ディレクター
例えば、J-POPの歌入れのディレクションをごまんとやりましたが、カッコよく、間違いなく歌おうとしてしまいます。本当にダメ。つまんなーって感じになります。
それよりも、歌はヤバいけどガーガー出している人の方が、可愛かったりします。出ているものがそれ以上だから。
写真撮影やドキュメンタリーの時も同じです。ニコニコよりも、ギラっと怒ってる目つきの方がその人が良く出ていたりします。そしてそれが、本当にその人の出たがっている姿であり、皆が見たい姿だったりします。
出てほしい「その人」は何なのか?カメラマンやディレクターは違うところを見ています。一段深い所にある、と知っている人たちです。
空間にも、「そこにある」と知っていて、距離をつめて引き出す役が必要。それが仕事のポイントだと考えています。
仲良くなった先に
こうしてプロデューサーである自分が空間のメッセージを受け取っても、まさか一人で空間を創り上げるわけではありません。次回は、現場とのコミュニケーションについて、実際に上手くいっている方法を仕事的な視点でお話しします。
新レーベル IDEOTO RECORDS が始まりました。
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