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#3 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-3

こもりうたを [赤ちゃんを寝かしつける時に愛情たっぷりに歌われてきた癒しの歌] だと思ってきた1児の母が、現実の寝かしつけを知り「世界の寝かしつけがそんなに穏やかなはずがない」と疑いながら、研究家としてこもりうたの面白い小話を発信しているシリーズです。

前回は、ララバイの「ララ」が多くの言語で「なだめる」という意味であることが、歌うときの「ラララ」と関係してるのでは…という持論を述べました。(うちの息子はララでは寝なかったことも…笑)

今回はララバイの「バイ」に募る疑念、そして語源の別の説の話を少しだけ…


都合のよすぎる"by"

以前ご紹介した通り、"by"は「そばにいる」「〜によって」等の意味をもつあの"by"が語源とのこと。
なだめる+そばにいる、本当に綺麗な語源ですよね。
そう、まるで当て字のような….ここで少し疑い深い性分がでます。
「そんな都合のいいことある?」

英語は re-mark-able のように接頭辞+語根+接尾辞の構成で筋通りの意味を成している言葉が多くありますが、Lullabyのbyは接尾語でもなく、その類に感じる納得感がありません。
言葉ってもう少し緩く派生するのでは?そんなに綺麗にあてがわれるのか?やや違和感が残ります。

語源の別説によると"by"は別れだった?

さて、ここでLullabyの語源の別説の出番です。その別説では、byは別れを意味する言葉に由来していました。

詳しくは次回お話しますが、少しだけ。
その別説では、"Lilith-Abi"が語源だと言います。
意味は、「リリスよ、去れ」。

赤ちゃんが眠る時に去って欲しい「リリス」とは誰なのか?それが次回のお話になります。

おまけ:おやすみ、バイバイ

今回調査したところ、ララバイのバイは赤ちゃんに「おやすみ、バイバイ」という意味なのではないかという分析も、多く見られました。
リリスへのメッセージではなく、赤ちゃんへのおやすみの言葉。

語源の真相はさておき、素敵な説だなと思います。

言葉は口頭(音)と文字とで伝わり広がっていくもの。
「傍にいることじゃない?」「バイバイじゃない?」と上手く話が繋がってしまうのも、面白さの一つですね。

先読みしたい方は<こちら


これはリアルに毎晩寝かしつけに使っています



浦上咲恵 Sakie Uragami
Sound Stylist 、こもりうた研究家

一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)、メンタルヘルスマネジメントⅡ種Ⅲ種。慶應義塾大学環境情報学部、同大学院 政策・メディア研究科修了。認知科学の分野で生活音を実践的に研究。
クリニック等のデリケートな音空間のデザインを積極的に手掛ける。視覚障害者向けの総合支援エリア「神戸アイセンター ビジョンパーク」の音空間創造を担当し、2018年度グッドデザイン賞を受賞。

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