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#1 世界は「ララ」であやしてきた? 語源の話①-1

こもりうたを [赤ちゃんを寝かしつける時に愛情たっぷりに歌われてきた癒しの歌] だと思ってきた1児の母が、現実の寝かしつけを知り「世界の寝かしつけがそんなに穏やかなはずがない」と疑いながら、研究家としてこもりうたの面白い小話を発信しているシリーズです。

こもりうたは、英語で"Lullaby"や"Cradle Song"と言います。
後者は直訳すると「ゆりかごの歌」。では、Lullabyはどこからきたのでしょう。その世界を知るには、まずは言葉から。
まずは諸説あるうちの一説についてお話しします。

なだめ、そばにいる

第一有力説は中世英語 Lullen + by

比較的新しい辞書によると、Lullabyの語源はこのように説明されています。

The term 'lullaby' derives from the Middle English lullen ("to lull") and by[e] (in the sense of "near"); it was first recorded circa 1560.

"Lullaby" という言葉は、中世英語のlullen(「なだめる」)とby[e](「近くにいる」という意味)に由来し、1560年頃に初めて記録された。

Soukhanov, Anne H. (15 June 2015). "The American Heritage Dictionary of the English Language, 3rd Edition, Anne H. Soukhanov: English Language". Bukupedia – via Google Books.
Translated by Deep L

中世英語のlullen(ラレン)。英語のlull(ラル)という単語の語源で、「なだめる」「やわらげる」「一服」といった意味がある言葉です。
そこに、byが加わる。お別れのbyeではなく、by your sideとかのbyですね。

なだめ、そばにいる。なんて素敵な語源でしょう。

次回は「ララ」の面白いお話をお話します。

<先読みしたい方はこちらをチェック>


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浦上咲恵 Sakie Uragami
Sound Stylist 、こもりうた研究家

一級知的財産管理技能士(コンテンツ専門業務)、メンタルヘルスマネジメントⅡ種Ⅲ種。慶應義塾大学環境情報学部、同大学院 政策・メディア研究科修了。認知科学の分野で生活音を実践的に研究。
クリニック等のデリケートな音空間のデザインを積極的に手掛ける。視覚障害者向けの総合支援エリア「神戸アイセンター ビジョンパーク」の音空間創造を担当し、2018年度グッドデザイン賞を受賞。

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