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科学的に見た、トレーニングに最適なインターバルは○分。

トレーニングの回数、レップ数、セット数については語られることが多いですが、見過ごされがちなのがインターバルについて。
実際みなさんはセット間のインターバルをどれくらい取っていますか?

Twitterで見つけたアンケートによると、半数近くの人が1-2分、全体の8割以上の人が5分以内という結果が出ていました。

今回は、【科学的に最適なインターバル】についてお話しようと思います。


●結論:種目による。

最初に結論からいきましょう。
結論は、種目によります。

「おいおい、回答になってねーじゃないか!」
と思われた方、すみません。。

正確に言うと、以下のようになります。

(BIG3など複関節種目)高重量で物理的刺激を狙う場合→4-5分
(上半身の種目など)中重量で筋肥大を狙う場合→2-3分
(小さい筋肉の単関節種目)低重量で化学的刺激を狙う場合→1-2分

それぞれについて解説していきます。


●インターバルの目的

そもそもインターバルを取る目的は何でしょうか。
(ここは非常に簡単な話なので読み飛ばしてもらっても構いません。)

何をするにも、目的があります。
筋トレをするのには、「筋肉をつけたい」という目的があるでしょうし、
筋肉をつけたいのには、「健康になりたい」「自分の限界に挑戦したい」「かっこいい身体になってモテたい」という目的があるでしょう。

インターバルを取るのには、「効率的に筋トレをしたい」という目的があります。
「効率的な筋トレ」とは何かというと、トレーニングのボリュームを上げる、つまり「なるべく重い重量を、回数を多く挙げる」ことになります。

「なるべく重い重量を、回数を多く挙げる」ためにはどうすればいいでしょうか。
ベンチプレスの限界が100kgの人は、だいたい80kgが10回挙げられます。
そこで80kgを30回挙げろと言われても無理ですよね。
でも、80kg30回を3セットに分けて、10回ずつ挙げろと言われたらさっきよりはできるような気がしてきませんか?

でも、セット間のインターバルを30秒で3セットやれ!と言われたら「やっぱ無理!」ってなりますよね。
じゃあ何分だったらいいの?5分?10分?という疑問に答えていくのが今回の記事の趣旨になります。


●インターバルを科学的に解析する

では、インターバル中には体内ではどのような現象が起きているのでしょうか。
私たちの筋肉は、ATP(アデノシン三リン酸)をエネルギーとして動いています。このATPをガソリンのように消費することで、筋肉を動かすことができます。
ガソリンと違うのは、ATPは体内で合成することができる点です。

ATPの体内での合成経路は3つあります。

①ATP-PCr系クレアチンを材料としてATPを再合成する
②解糖系糖質を材料としてATPを再合成する
③有酸素系体脂肪を材料としてATPを再合成する

これらは、上にいくほど強い力を発揮できますが、短い時間しか働くことができません
上が瞬発力、下がスタミナのイメージです。

逆に言えば、ATPがないと筋肉を動かすことができません。
①と②の持続力はだいたい40秒くらいまでなので、つまりトレーニングを10レップ程度行った後の体内は、ATPが不足している状態だといえます。

このATPを再合成するのに、①と②合計で7分程度かかると言われています。
もちろんこれだけでインターバルを7分取れ!という話になる訳ではないのですが、ベストな状態で次のセットにいくためには、意外と時間がかかることは覚えておきましょう。


●インターバルとトレーニングボリュームの関係

いくつかの研究をまたがって読むと、ほとんどのケースで
「インターバルを長く取ったほうが、筋肥大、筋力向上ともに効果的」
という結論になっています。

ですが、インターバルの長さが直接トレーニングの効果を上げるというよりも、しっかりとインターバルを取ることによってトレーニングボリュームが増えることが筋肥大・筋力向上に寄与しているという解釈が正確でしょう。

同じ種目を、インターバル1分、3分、5分でそれぞれ行わせてトレーニングの効果を測るような実験はいくつも行われています。
基本的には、同じ重量のトレーニングであれば、インターバルが長いほうがこなせるレップ数が多くなり、結果としてトレーニングボリュームが増えます。

ただしこれらの研究は、「トレーニングボリュームが増えると筋肥大する」という当たり前のことしか表していません。
実際問題として、全ての人がたっぷりインターバルを取って長時間トレーニングできる訳じゃありませんよね。

この疑問に答えるため、「トレーニングボリュームを同じに保ってインターバルを変えるとどうなるか」を実験した研究があります。

①インターバル3分で限界まで行う群(インターバル長/ボリューム多)
②インターバル1分で、①と同じボリュームになるよう行う群(インターバル短/ボリューム多)
③インターバル1分で限界まで行う群(インターバル短/ボリューム少)
④インターバル3分で、③と同じボリュームになるよう行う群(インターバル長/ボリューム少)

結果は下記の通り(左から①②③④)。
右下の図を見てもわかるように、ボリュームが大きければ筋肥大効果が大きいことがわかりました。

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つまり結論として、最も効果的なインターバルとは、トレーニング強度が落ちない程度に適度な時間取るのが最適だということになります。


●高重量の場合

スクワットやデッドリフトなど、多くの筋肉が動員され、高重量を扱える複関節種目の場合のインターバルは4-5分程度取るといいでしょう。

1.ATPの問題
前述しましたが、最も大きいのがATP再合成にかかる時間の問題でしょう。
大きな負荷がかかる種目ほど、インターバルを長めに取りましょう。

2.神経系の問題
パワーリフターなど、超高重量を1回とか3回とか挙げるようなトレーニングをする人たちも、インターバルを長めに取る傾向があります。
超高重量を扱うとなると、神経系を酷使するからです。
彼らは一つの神経につながっている筋肉の数(モーターユニット)がものすごく発達しているため、一度に多くの筋肉を動員できます。
その分、回復に時間がかかるのです。

多くのボディビルダーの経験則に反して、短いインターバルでのトレーニングは筋肥大に効果的ではないかもしれません。これはおそらく中枢神経系の疲労の影響のためだと考えられます。

3.呼吸の問題
スクワットやデッドリフトでは、動員される筋肉の量が多いので、普通に酸欠になります。
筆者も、1分インターバルでスクワットをやれと言われたら普段の半分の重量でしかできる気がしません。笑
呼吸を整えてから次のセットに臨むようにしましょう。


●中重量の場合

一般的に行われるダンベルプレスや懸垂など、いわゆるボディメイク的なトレーニング全般は2-3分のインターバルを取りましょう。
神経系が発達しきっておらず、そこまで高重量を扱えない初心者の場合は、スクワットやデッドリフトもこの括りで問題ないでしょう。

ATP再合成に時間がかかるとはいえ、あまりトレーニング時間が長くなると集中力が欠けたり、食事のタイミングを逃してしまったり、私生活に影響を与えてしまったりあまり良いことはありません。

だいたい1セット目と同じ重量が3セットくらい扱えるのが、経験的に2-3分くらいかと思います。


●低重量の場合

上腕二頭筋や三角筋後部など、あまり大きくない筋肉を鍛えるときには1-2分程度のインターバルで十分でしょう。

これらの小筋群はATP再合成にかかる時間が少ないのに加え、そもそも高重量を扱えません。
なので、ケーブルマシンを使うなど、低重量・高回数でネチネチとトレーニングすることをおすすめします。

また、ここまであまり述べてきませんでしたが、物理的刺激やトレーニングボリュームとは別に、化学的刺激というものがあります。

トレーニングをすると当然栄養が必要なので、栄養を運ぶためその部位に血流が集まります。
それによって筋肉の血行が良くなったり、水素イオンやアンモニアなどの疲労物質、活性酸素などのストレス物質が発生したりすることで、化学的な刺激を与えることができます。

化学的刺激を強くする場合、インターバルは短くして疲労物質をため込む必要があります。
しかし追い込む場合、短いインターバルでは結局レップスをこなせないため、疲労物質の量が多くなるとは限りません。
なので、少しインターバルを置いてからまた追い込んだほうが多量の疲労物質を発生させられます。

また、短いインターバルのほうが成長ホルモンが分泌されて筋肥大に効果的なのではないか?という説は最近では否定されています。


●まとめ

・インターバルを取るのは、身体の栄養状態を確保するため
・インターバルを長く取ることによってトレーニングボリュームが増える
・トレーニングボリュームが増えると筋肥大・筋力向上に効果的(復習)
・高重量では長いインターバル、低重量では短いインターバル


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