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【napo_fitness】栄養学入門⑤~脂質理論編~体脂肪合成と分解のメカニズム

脂質の話をします。

炭水化物=太る
タンパク質=筋肉がつく
のようなことはよく聞きますが、脂質についてよくわかっている人はあまりいないのではないでしょうか(ちなみに炭水化物=太るは正解ではないです)。

炭水化物やタンパク質と違って普段馴染みがない分、とっつきにくいかもしれませんが、この機会にぜひ勉強してみてください。


●脂質とは何か

脂質は肉、魚、卵、ナッツ等に含まれており、三大栄養素の一つです。
脂質というと余計なもののように聞こえるかもしれませんが、大事な役割をいくつも担っています。

炭水化物は主にエネルギー源、タンパク質は主に身体をつくる役割がありますが、脂質はその両方を兼ね備えています。

ちなみに脂質が不足すると飢餓になってしまいます。
三大栄養素のどれかを極端に削るダイエットは、行うとしても短期間にとどめておきましょう。

 ・身体や脳のエネルギー源になる
実は脂肪は身体の重要なエネルギーになるのです。
人間が体脂肪を蓄えるのも、非常時のエネルギーになるからです。
また、特定の状況下で脂肪が代謝されたときにできる「ケトン体」も身体や脳のエネルギーになります。

 ・ホルモンを生成しダイエットを助ける
コレステロールというと悪者のように思われがちですが、ホルモンの材料になるという重要な役割を果たしています。
コレステロールが不足するとテストステロンレベルが下がることもわかっています。
後述しますが、体重の増減に繋がるホルモンも数多く存在し、ダイエットを行うにおいても脂質をある程度摂取する必要があります。

 ・細胞膜や脳の材料になる
必要な物質を細胞に取り込むかどうかをコントロールする器官を「細胞膜」といいます。脂肪から作られるリン脂質やコレステロールは、細胞膜を構成しています。
また脳の60%は脂肪でできています。詳しくは次回の記事に書きますが、EPAやDHAといった脂質は脳に好影響があることもわかっています。

 ・生命を維持する
褐色脂肪細胞には、体温を調節、維持する作用があります。更に言うと生命維持ですね。
逆に、体脂肪があまりに少ないと免疫力が落ちたりします。
減量をしすぎて亡くなった伝説のボディビルダー、マッスル北村さんという方がいますが、詳しくはまた次の機会に、、、


●歴史的、科学的、生物学的に見る脂質の立ち位置

炭水化物とタンパク質は1g=4kcalですが、
脂質は1g=9kcalです。

少ない質量で多くのカロリーを持っているということは、食事において効率的なエネルギー源になります。
つまり、楽にエネルギーを摂取したければ多くの脂質を摂ればいいということになります。

太古の時代に脂質を摂るためには、獲物をやっつけたり、木の実を採取したりする必要がありました。
これらはそうそう簡単に手に入るものではなく、食べたときのインセンティブ(≒脳が覚える快感)が高く設定されていたと考えられます。
そうじゃないと頑張って見つけようとしないですからね。。。

実際、脂質を食べたときには脳内でドーパミン放出が増加して「もっと食べたい」という欲求が出ます。
そして食べ終えたときにも、βエンドルフィンの放出が増加し、「また食べたい」という欲求が出ることが動物実験によってわかっています。

しかし、現代では数百円出すだけで簡単に脂質が手に入る時代です。

イェール大学の研究によると、脂質と糖質のどちらか一方を多く含む食品よりも、脂質と糖質の両方を含んだ食品の方が、脳内の報酬系のシグナル伝達を増強することが明らかになっています。
しかし、自然界に脂質と糖質を両立した食品は存在しません。

穀物であれば炭水化物とタンパク質
肉や魚であれば炭水化物と脂質
という組み合わせで栄養が含まれていますが、
脂質と炭水化物を同時に含むのは、丼ものやファストフードや加工食品等、人間が作り出した食品のみなのです。
これらの食品は、人間にとっては超常刺激といえるかもしれません。

科学の発展により食品供給が豊かになり、飢えとは無縁の現代。
ぼくがかんがえたさいきょうのたべもの!が生まれ、それが糖尿病や肥満を助長していると言っても過言ではありません。

●「糖と脂を一緒に摂ると太る」メカニズム

さて、脂質はどのように体内で代謝されるのでしょうか。

脂肪酸(酸性)が3分子集まり、これがアルコールの一種であるグリセロール(アルカリ性)1分子と結合することで、「中性脂肪」ができます。
これがいわゆる「脂肪」です。

ちなみに純粋な脂肪は1g=9kcalですが、
体脂肪は水分なども含むため、だいたい1g=7.2kcalです。
つまり、体脂肪1kg=7,200kcalです。

摂取された「脂肪」は、膵臓から分泌される酵素「リパーゼ」によって腸内で「脂肪酸」と「グリセロール」に分解されます。
腸内では胆嚢から分泌される「胆汁酸」が脂肪を乳化し、リパーゼの動きを助けます。
分解された「脂肪酸」と「グリセロール」は小腸から吸収され、タンパク質と結合して「カイロミクロン」になります。

このカイロミクロンが筋肉にいけば酸化されてエネルギーになるのですが、エネルギーとして使われなかった場合、中性脂肪として貯蔵されることになります。

毛細血管には「リポタンパクリパーゼ」という酵素があり、これがカイロミクロンに働くことで中性脂肪が分解され、遊離脂肪酸からアシルCoAに変化し、エネルギー源となります。
このとき体内にブドウ糖が多く存在すると、糖質からエネルギーを生成する解糖系の働きが強くなっています。
その過程で生まれる「グリセロール3-リン酸」がアシルCoAと結びつくと体脂肪になるのです。

かなり難しい話でしたが、以上が脂質の代謝プロセスです。
この回路を使うと通常よりも簡単に体脂肪を合成できるので、食べ物の量が限られていた原始時代には重要な役割を果たしていたのでしょう。

難しくてよくわからなかった人は、
「糖質と脂質を同時に摂取すると太る!」
「脂質を摂ったあと運動しないと太る!」
とだけ覚えておいてください。


●体脂肪分解のメカニズム

では逆に、分解のときはどのような反応が体内で起きているのでしょうか。

分解の際は、脂肪細胞内の「ホルモン感受性リパーゼ」という酵素が鍵になってきます。
ホルモン感受性リパーゼは、脂肪細胞内の中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解する役割があります。
脂肪をエネルギーとする際には脂肪酸という形に分解される必要があるので、これを消費すれば体脂肪が減少するということになります。

ホルモン感受性リパーゼは「アドレナリン」「ノルアドレナリン」「甲状腺ホルモン」等のホルモン(運動などで分泌される)によって活性化され、また「インスリン」(食事で分泌される)によって抑制されることがわかっています。

「運動は痩せる!」
「食事は太る!」
という当たり前の結論ですが、これらはホルモンの仕業によるものだったのです。

本当はここから「ケトン体」の話に繋がっていくのですが、またの機会に!


●まとめ

・脂質は三大栄養素の中で一番難しい
・脂質は人間が生きる上で必須
・しかし現代の食生活では過剰摂取になりがち、、、


●終わりに

さて、脂質に関しては皆さんあまり知らなかったと思いますが、このように非常に難しい話なので表に出づらいのです。。。
糖質を抜いたら痩せる!という話のほうが簡単だしわかりやすいですよね。

いやでもしかし、脂質をコントロールすることこそがダイエットの鍵になってくるのです。
というのも、脂質には良い脂質もあれば悪い脂質もあるのです。

次回は【脂質の種類、良い脂質と悪い脂質】についてお話していきます。


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