マガジンのカバー画像

140文字小説

306
Twitterで日々投稿している140文字小説をまとめたものです。
運営しているクリエイター

#プロポーズ

思い出を語りましょう (140文字小説)

思い出を語りましょう (140文字小説)

 ねえ?覚えてる?

 三度目のデートを。

 あなたが照れくさそうに、つき合ってくれって言った日だよ。

 つき合って二年、私の誕生日にプロポーズしてくれたよ。

 覚えてないの?

 引戸がガラッと開き、女が怒鳴り込んできた。

「このストーカー!性懲りもなく彼の記憶を改竄しようとしてるわね!」

さあ、占いましょう (140文字小説)

さあ、占いましょう (140文字小説)

「いまの彼とはうまくいかないわ」

 今日も、私の前には長蛇の列。

 自信が無い人達が、選択を私に委ねに来る。

 自分のことはどうだろう。

 しこりが疼く。

 拒絶した求婚。

 あのとき受諾していたらと、今も思う。

 人生に間違いはつきもの。

 大切なのは、そこからの学び。

 さぁ、次の人どうぞ。

恋は突然 (140文字小説)

恋は突然 (140文字小説)

 瞼が動かない。

 僕の目は一瞬で固まった。

 透き通ったように輝く金色の髪。

 純白の真白い皮膚。

 澄んだ海のような碧い瞳。

 つり革で揺れる僕は、正面の女性に恋をした。

 結婚してください。

 僕は囁くように想いを告げた。

 彼女はにこりと答えた。

「あなたのランドセルが取れたら考えるわ」

最強は誰だ!? (140文字小説)

最強は誰だ!? (140文字小説)

 鋭いジャブが来た。

 俺は蝶のようにかわす。

 この試合は敗けられない。

 俺には誓いがある。

 隙あり!カウンターだ。

 王者がリングに倒れた。

 勝った。

 俺はリンクサイドの彼女に叫ぶ。

「結婚しよう!」

「いや。ボクサー収入安定してないし」

 俺もリングに伏す。

 ダブルノックダウンだ。

55年目のプロポーズ (Twitter140文字小説)

55年目のプロポーズ (Twitter140文字小説)

 あの人との出会いはきっと運命だった、と思う。
 共に汗した部活。
 励ましてくれた受験。
 運命のいたずらで、私たちは永い時を隔てられた。
 こんな所で、また出逢えるなんて。
 あなたは米寿で、私はもう古希。
 それでもかまわない。
 あなたと共に過ごしたい。
「残りの人生を、私にください」

おかしな男子 (Twitter140文字小説)

おかしな男子 (Twitter140文字小説)

 下校中の校門でクラスメイトに呼び止められた。

 あまり話したことがない男子だ。

 「明日、暇を壊しませんか?」

 変な誘い文句だなと、噴き出してOKをした。

 当日の帰り際に「今度」と言うので、次の予定かと思うと、「指輪をはめませんか?」と言いだした。

 今度はいろいろすっと飛ばした。

月がきれい (Twitter140文字小説)

「今日は月がきれいですね」と晶子の同僚教師である前田が呟いた。

 晶子は平静を装うが心拍は通常より力がある。

 単純に風景を愛でたのか、「今なら手が届きますよ」と返すか逡巡する。

 晶子は意を決し後者を選ぶ。

 「じゃあ翳してみましょう」

 言われて翳す晶子の薬指にすっと小さな月が煌く。

あとがき

ハロウィンの夜空に輝くブルームーンを見て頭に浮かんだ作品です。

色々と手順を省略して

もっとみる
枯れ葉の音 (Twitter140文字小説)

枯れ葉の音 (Twitter140文字小説)

「ケンケンパッ」と彼女が並木道の枯れ葉の上ではしゃいでいる。

 童心に返るその様を見て、心の鐘が激しかったプロポーズの日を思い起こし口元が緩む。

 君は相変わらずだね。

 僕らは潤わなかったね。

 踏めばすぐ砕ける枯れ葉だった。

 いま君の傍らは名前も知らないその人が潤わせているんだね。

あとがき

散歩中に枯れ葉を踏んでパッとインスピレーションが降りてきた作品です。

決して、作者の

もっとみる