知人Cはかなり頭のいい部類の人だと思う。だが、オタク的要素の強いネタ(男性定番の三国志とか戦国時代とか)以外の古典には向いていない。広瀬柳浪を読ませてみたら、見ただけで「無理」と言った。旧仮名遣いのハードルは、とてつもなく高いのかもしれない。
そして太宰治に還る 古書店で太宰治全集を見つけた。昭和30年10月15日発行初版。定価420円(今回110円)旧仮名遣い。第一巻の一は『晩年』から「葉」は太宰治を愛する心に闇(病み)を隠し普通を装い日々己の存在意義を騙し乍ら生きる者にとって正月に読むのに最も相応しい作品だと思う。
夏目漱石は小学校に入ったばかりの頃から何度も繰り返して読んでいるが、復刻版の旧い字と仮名遣い、それに漱石独特の当て字で読むと、文字を一つ一つしっかりと噛んで食べるような感覚になり、文字と言葉と文章に対する意識が強く活性化される。