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土井晩翠『荒城の月』を解釈してみる。

解釈の前に、土井晩翠(どいばんすい)『荒城の月』の全文を記載します。

『荒城の月』(旧字体旧仮名遣い・ルビなし)

春高樓の花の宴
めぐる盃影さして
千代の松が枝わけ出でし
むかしの光今いづこ

秋陣営の霜の色
鳴き行く雁の數見せて
植うるつるぎに照りそひし
むかしの光いま何處

今荒城の夜半の月
変らぬ光誰がためぞ
垣に残るはたゞかづら
松に歌ふはただあらし

天上影は變らねど
栄枯は移る世の姿
寫さんとてか今もなほ
ああ荒城の夜半の月

【書き起こし参考資料】
1.wikiソース『荒城の月』歌碑(宮城県仙台市)の写真
https://ja.wikisource.org/wiki/%E8%8D%92%E5%9F%8E%E3%81%AE%E6%9C%88#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Poetic_tablet_of_Moonlit_castle_ruins.jpg
3.「漢字の正しい書き順(筆順)」サイト
4.「みんなの知識 ちょっと便利帳」サイトより「変体仮名(へんたいがな)一覧
2.ikoma氏のツイート画像(埋め込みツイート参照)

『荒城の月』(新字体現代仮名遣い・ルビあり)

春高楼(こうろう)の 花の宴(えん)
巡る盃(さかづき) 影さして
千代の松が枝(え) 分け出(い)でし
むかしの光今いずこ

秋陣営の霜の色
鳴きゆく雁(かり)の数見せて
植(う)うる剣(つるぎ)に照り沿いし
むかしの光今いずこ

今荒城(こうじょう)の 夜半(よわ)の月
変わらぬ光誰(た)がためぞ
垣(かき)に残るはただかずら
松に歌(うと)うはただあらし

天上影は変わらねど
栄枯(えいこ)は移る世の姿
写さんとてか今もなお
ああ荒城の夜半(よわ)の月

『荒城の月』解釈(現代語訳)

※飽くまでも私なりの解釈(現代語訳)です。
ネット上には様々な解説・解釈(現代語訳)の記載がありますが、少し首をかしげたくなるものもあり、あえて読んだ内容は忘れ、読み続けるのをやめました。
他人様による解説・解釈(現代語訳)については、当記事公開後にゆっくりと内容の吟味をする予定です。

春、城の天守閣で夜桜を眺めながら宴を催した。
月明かりで、回し呑みの盃の影ができている。
樹齢の高い松の枝が、夜空をかき分けるようにして伸びている。
かつての栄光は、どこに行ってしまったのだろうか。

秋、野戦の場所に霜がおりた。
鳴きながら飛んでいく雁の数が目立つ。
地面に突き立っている剣に、霜が反射した光が照り沿っている。
かつての栄光は、どこに行ってしまったのだろうか。

今、夜半の月が荒れた城を照らしている。
月の光が変わらぬのは、誰のためであろうか。
石垣に残っているのは、かずら(つる草)だけである。
松に歌いかけるのは、嵐のみ。

天上の様子は変わらないが、
盛んになったり衰えたり、移り変わるのが俗世間の姿である。
それを写そうとしているのだろうか。
ああ、今もなお、夜半の月が荒れた城を照らしている。

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