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猫と、をんな

先日、谷崎潤一郎の「猫と庄造と二人のをんな」を読んだ。
三島由紀夫の「文章読本」で紹介されていて、いつか読みたいと思っていたら、たまたま美術館のショップで発見し(猫の企画展の宣伝らしい)、即、購入。

主人公(?)の猫は西洋猫で、名前も洋風なのだけれど、旧仮名遣いなので「リリー」が「リヽー」と表記されているのが、和洋折衷な感じで、素敵。

旧仮名遣いの本は読み慣れないけれど、文章の巧みさのためか、するすると読めた。むしろ、旧仮名のやわらかい感じが、猫に合っている気がする。
「をんな」というのも、猫のようなやわらかさとふくらみがあって、タイトルにぴったり。

旧仮名っていいなと思いつつ、短歌を作るときは、難しい。
無理して使ってみても、借りた服を着ているような、しっくりこない感じがする。旧仮名遣いを、息をするかのごとく使ってきた世代のようには、やっぱりいかない。

実際、「猫」の小説の冒頭に出てくる手紙には、ちらほら仮名遣いの誤りがあって、それが手紙の書き手の教育の程度を表しているそうだけれど、私は読んでいて誤りに全く気がつかなかった。

憧れは、憧れとして。
今の仮名遣いで、自分なりの表現を、見つけたい。

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