梔子

『旭影の白』(掌編小説)

わたしは梔子。
 白いドレスは闇に溢れた月華の受け皿。
 暁の闇に根を張って、霧の底に沈んだ空を仰ぐ。

 ーー辺りは一面、白く染まっていた。
 霧の白さは花のそれには遠く及ばない。彼らには常に、闇が付き纏うのだ。必然、わたしの白いドレスが白い闇の中で明らかになる。
 言葉を紡ぐための口を持たないわたしにとって、この白さだけが、わたしという存在を世に知らしめる唯一の言葉だった。

「こんばんは、梔

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梔子

腐った根を張る枯れ枝に
色褪せた糸を括りつけて
あの子は首を吊った
遺書はない

乾いた唇を固く結び
すべてを飲み干して息を止める
内臓をどす黒く染め上げて
繰り返す思考に目が冴える深夜

消えればわかるだろうか
君は
思い知るだろうか
後ろめたさに影を踏まれて

わたしを抱いて生きてくれよ
わたしを
忘れないでくれよ

古びた井戸の水面に
一片の紫苑を浮かばせて
わたしは首を振った
嘘はない

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