Yuta Watanabe

フレグランスブランドçanoma(サノマ)クリエーター。 辛より甘、冬より夏、犬より猫…

Yuta Watanabe

フレグランスブランドçanoma(サノマ)クリエーター。 辛より甘、冬より夏、犬より猫が好き。 https://canoma-parfum.com/ https://www.instagram.com/canoma_parfum/?hl=ja

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言葉の刃物

もう25年以上も前のことだが、今でも折に触れて思い出される出来事がある。それは私の人生における「後悔」の一番最初の記憶であり、また今までで一番頻繁に思い返された事でもある。 その一方で、私はこの出来事について今まで誰かに語ったことは一度もないし、3年以上毎日書き続けているこのnoteでもそれについて触れてこなかった。なぜそうしなかったのかと問われると、ひとつはそれが他人にとっては取るに足らない出来事であろうと思われたからであるが、それにも増して、それを語ることが私にはとても

    • NIKE × çanoma

      お待たせしました!NIKEとçanomaのコラボレーションモデルが登場です! コラボレーションにあたって採用したシューズはビギナーからエリートランナーの足元までサポートするランニングシューズ「Invincible 3」。NIKEランニングシューズ史上最高峰のクッション性と安定性を誇る人気シューズ。そのクッション性故にビギナーシューズだと思われがちだが、トップランナーがジョギングで好んで履いているのが実はこのシューズ。そんな幅広い層に支持されるところもçanomaとの共通点が

      • No.5を着て寝た男の話

        「そうだ、マリリン・モンローになろう」 ビジネスホテルの一室で、36歳独身ヒゲモジャ男はそう決意した。 朝早いフライトで徳島に到着した。空港でレンタカーを借りて、行きたかった眼鏡屋、行きたかった寿司屋、行きたかったカフェ、と車を走らせたが、その日に限って全て定休日。営業日をきちんと確認しなかった私が悪いのだが、それにしてもついていない。 仕事の用事を一件終え、ホテルにチェックインした。溜まっていた仕事があり、そこからはパソコンと睨めっこがしばらく続いた。夕飯はホテル近く

        • 空の上での9時間半睡眠

          イスタンブールから羽田に向かう飛行機は予定から30分遅れの深夜2時半に離陸したようだが、私はその前に眠ってしまっていた。アイスマスクにヘッドホンの“完全防備”だった。 一度目が覚めた時、チラリと見た時計の針は6時を示していた。フランス時間に合ったままだったので、離陸時から考えると4時間半が経過したことになる。機内は暗かった。まだ眠かったので、私のアイマスクという“帳”は再びおろされた。 次に目が覚めた時、CAさんが食事の配膳を始めていた。目の前のスクリーンには、羽田まであ

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        言葉の刃物

          オレンジ色の笛の音と目に見えぬ風船

          朝からいくつかのミーティングが続いた後、パリ中心地からシャルル・ド・ゴール空港に向かう電車に乗ったのは15時ごろだった。イスタンブール行きのフライトはてっきりターミナル2Fから出るものだと思い込んでいたが、着いてみると電光掲示板にはそのフライトが表示されていなかった。改めて搭乗券を確認すると、なんとターミナル1から出るとのことだった。 なぜそんな勘違いをしたのか不思議に思いながら、私は荷物を引きずってターミナル1に向かうための電車に乗り込んだ。 16時過ぎにターミナル1に

          オレンジ色の笛の音と目に見えぬ風船

          時よ、止まれ

          この記事は火曜日にパリからイスタンブール経由で東京に帰るフライトに乗る直前に投稿されるはずだ。今は前日月曜日の午前。ミーティングに向かうメトロの中で筆を執った。 昨日までナポリにいた。ナポリの空港に向かうバスの中でふと、帰国が2日後であることに気づき、驚いた。 もう帰国か… いつもそうだが、パリに来る時は憂鬱だ。スリに気をつけなければならないし、時間通りに動かない電車やバスを織り込んで行動する必要がある。意地悪なフランス人、失礼な店員、道に転がる犬のフン、狭いエレベータ

          時よ、止まれ

          「プ」大統領からの依頼

          ナポリのホテルで友人ふたりと朝食をとっている時のこと。 私たちの目の前には、中年の白人男性と中年のアジア人女性、そしてアジア系の顔をした高校生くらいの男の子の家族連れ(多分)がいた。英語で会話をしていたが、それは誰の母語でもなさそうだった。 ふたりは夫婦で、子供はお母さんの連れ子、というのが私の予想だが、真相はよくわからない。 その白人男性は、肌だけでなく毛の色もかなり薄いことと、その顔の作りから、「プ」から始まる現ロシア大統領を思わせる風貌をしていた。すごく似ている、

          「プ」大統領からの依頼

          ナポリに行っては

          2泊3日のナポリ旅行はもうすぐ終わりを告げようとしている。 とはいえ、「家に帰るまでが遠足」を標榜している私としては、パリに帰る飛行機に乗り込んですらない今はまだ遠足中である。 たったの3日、正味2日間しかいなかったこの街を去るのが寂しくてならない。 あちこち都市を巡っていると、相性のいい都市、悪い都市、というのがあることが自ずとわかってくる。今まで相性がいいと感じたヨーロッパの都市は、パリ、リスボン、ウィーンなど。中でもリスボンは特によかったが、今回のナポリはそれを上

          ナポリに行っては

          まずはピザ。話はそれから。

          飲み物を配るCAさんの声で目が覚めた。私はその時パリからミラノに向かう飛行機の中だった。 前日は家に着いたのが深夜0時を過ぎていた。あれこれ済ませて1時に寝て、早朝4時に起床。5時に家を出て空港に向かった。 保安検査を済ませてから搭乗までの間、少し仕事をした。どこにいてもとりあえず仕事ができるというのは便利なことだと思いながら、あくびとともにいくつかのメールを返した。 とにかく眠かったので、搭乗後は飛行機が動き出す前に寝てしまっていた。歳とともに私のいつでもどこでも寝れ

          まずはピザ。話はそれから。

          歳の重ね方

          ひょんなことから調香師Jean-Michel Duriezとその旧友ふたりの食事会に呼ばれた。ひとりはカメラマンで、もうひとりは元雑誌のライターだった。その食事会の主旨は、そのカメラマンの作品がフランス政府が管理するコレクションに追加されたことのお祝いだった。 私よりも2回り以上も上の3人に囲まれての食事会はなかなか愉快だった。間接的にファッションに携わってきた3人だったので、ここ数十年のファッションの変遷に関する議論で盛り上がった。きっと日本にいたら聞けなかったような内容

          歳の重ね方

          幸せでいるためには

          昨日のnoteの続きのような話なのだが。 ここ最近、ずっとネガティブ思考だった自分を恥じて、いろいろなことをポジティブに捉えるように努めることにした。ただ、実際にやってみると、常日頃から些細なことで苛立ちを覚えるようになっている私自身に気づき、さらに恥ずかしい気持ちになった。 仕事を終え夕方ごろに家に戻った。食材とポテトチップスを調達したかったのでスーパーに向かった。道を歩きながら、私は自分がとても幸せ者だと思い込もうとした。すると本当にそうであるような気がしてきた。不思

          幸せでいるためには

          非常にまとまりのないnoteだけど、ま、いっか。

          昨日は夕方4時ごろに仮眠を取ろうと思って横になった。 目が覚めたら深夜2時だった。夜ご飯も食べずに、私はこんこんと眠っていたようだ。 とりあえずnoteを書いて4時ごろにアップ。まだもう少し眠れそうだったので、6時に目覚ましをセットして横になった。 起きたら8時半だった。合計14時間半も寝たことになる。 この記事を書き始めたのは水曜の朝9時半。朝食と洗濯をして、シャワーを浴びてから外出前に筆をとった。 ちょうど1週間前は徳島にいた。翌日木曜の午前中に徳島から東京に戻

          非常にまとまりのないnoteだけど、ま、いっか。

          29.9ユーロの青春

          以前もどこかに書いたような気がするが、私が今一番香水を購入する場所は空港だ。 「ニッチフレグランス」とは名ばかりのトレンドをなぞっただけのこのマーケットに特に目新しいものはなく、かといって大手ブランドの新作もつまらない。結局のところ往年の名作に自然と手が伸びるが、購入したところでさして使わないからなんだか可哀想になってしまう。 ただ、たまに空港でびっくりするような安値で投げ売りされている過去の素晴らしい作品を見ると、どうしてもそこから“救い出したくなる”のだ。きっとそれは

          29.9ユーロの青春

          飛行機は墜落したかもしれないのだ。

          ベルリンからパリに向かう飛行機は1時間以上の遅れとともにたった今飛び立った。 遅れの主な原因は使用機の到着遅れだったが、それ以外にも搭乗時に多くの人が止められていたり(荷物を預けていない人が一通り止められていたようだ。機内のスペースが限られているから、小さなスーツケースもその場で預けさせられていた。フランス語のわからぬドイツ人にフランス語でまくし立てるフランス人のせいで何度も列の進行が妨げられた。私も止められたが、リュックひとつしか持っていなかったためすぐに通してもらえた)

          飛行機は墜落したかもしれないのだ。

          信じても、いいのかな

          パリのシャルル・ド・ゴール空港を朝7時に出るフライトには公共交通機関だと間に合わないので、5時過ぎに家を出てタクシーで向かった。6時前には空港に到着し、預け入れる荷物もなくそのまま手荷物検査。搭乗ゲートの前に着く頃にはまだ時間に余裕があった。 離陸前に寝て着陸後に起きた。ベルリン空港に到着したのは8時半。快適なフライトだった。 ベルリンは全くのはじめてで土地勘もなかったので、とりあえずベルリン中央駅に向かうことにする。迷ったり電車を逃したりしていたら到達が10時ごろになっ

          信じても、いいのかな

          プライドのかけらもない

          朝9時半にパリに着いて、そのまま調香師のアトリエに向かった。11時半に到着して、ランチを挟んであれこれミーティングをしていたら夜8時になってしまった。 話すネタは尽きなかった。様々な香りを試しながらだったので、終わった後はどっと疲れが襲ってきた。 その中で印象的だった話をひとつ、今日は書き記したい。 調香師がとある香水の復刻版の作成のためにその香水のブランドに呼ばれた時のこと。ブランド側のリクエストは、80年代に出たその香水に近い形を保ちながらも、全体的にはモダンな香り

          プライドのかけらもない