Yuta Watanabe

フレグランスブランドçanoma(サノマ)クリエーター。 辛より甘、冬より夏、犬より猫…

Yuta Watanabe

フレグランスブランドçanoma(サノマ)クリエーター。 辛より甘、冬より夏、犬より猫が好き。 https://canoma-parfum.com/ https://www.instagram.com/canoma_parfum/?hl=ja

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言葉の刃物

もう25年以上も前のことだが、今でも折に触れて思い出される出来事がある。それは私の人生における「後悔」の一番最初の記憶であり、また今までで一番頻繁に思い返された事でもある。 その一方で、私はこの出来事について今まで誰かに語ったことは一度もないし、3年以上毎日書き続けているこのnoteでもそれについて触れてこなかった。なぜそうしなかったのかと問われると、ひとつはそれが他人にとっては取るに足らない出来事であろうと思われたからであるが、それにも増して、それを語ることが私にはとても

    • 「サロンドパルファン2024」での気づき

      伊勢丹新宿店での「サロンドパルファン2024」の閉幕翌日の今日、私は一日中都内をあちこち移動していた。明日から週末まで出張ということもあり、今日のうちにやっておかなければならないことがたくさんあったのだ。 今は明日からの出張の準備をしているが、こちらは遅々として進んでいない。現在夜11時半。諦めてnoteの執筆に取り掛かった。 私はひどく疲れている。 昨日、「サロンドパルファン」の撤収作業をしながら、ふと、10年ほど前のことを思い出した。まだ私が渡仏する前のことだ。

      • 柿の一番美味しい食べ方

        「柿って、本当に美味しいよね」 いつの頃だったが、母とふたりで柿を食べていた時、彼女がしみじみとこう口にした。それを聞いた私は、「柿って、美味しいんだ」と改めて認識したのをよく覚えている。 そう思って柿を味わってみると、この果物には独特のアコードがあることに気付かされる。柿には「柿にしかない味」がしっかりあるのだ。 そんなわけで、柿が好きだ。 「好きな食べ物は?」と聞かれた時に、「柿です」と回答するくらいに柿が好きだ。 新宿伊勢丹の「サロンドパルファン2024」開催

        • 魂入ってる

          眼鏡が好きだ。 香水との衝撃的な出会いがあったように、眼鏡にも思い出深い巡り合わせがあった。大学生の頃、貯まったバイト代でいい眼鏡を買おうと思って街の眼鏡屋に行った際、そこで目にするハイブランドの眼鏡が全くいいものに思えなかった。その眼鏡屋を出てふらふら歩いていると、渋谷のパルコの地下に眼鏡屋があることにふと気づいた。何気なく入ったそこで出会ったのが「Alain Mikli」というフランスの眼鏡ブランドのものだった。 その直前まで見ていたハイブランドのものとは一線を画して

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        言葉の刃物

          大原交差点の先

          「光陰矢の如し」や“Time flies”という表現があるが、現代物理学においては、これらの時間が一定の方向に飛んでいくようなイメージは、実際のそれのあり方を適切に表していない、と考えられているらしい。『時間は存在しない』(カルロ・ロヴェッリ著、冨永星翻訳)という本まで出版されているのだ。 それではそれはどのように存在しているのか、あるいは本当に存在していないのであれば私たちが認識している「時間」とは実際のところ何なのか、説明を受けたところで結局すんなりと理解することも受け

          大原交差点の先

          リアルゴールドのように

          「サロンドパルファン2024」の3日目が終了した後に、私はそのままファミレスへと向かった。 そういえば昨晩もファミレスだったなと思いつつ、昨晩とは違うファミレスで、昨晩と同様にドリンクバーでリアルゴールドをなみなみと注いだ。 ドリンクバーには「人気ドリンクTOP5」を表示するボタンがついていた。何気なく押してみると、 とのこと。なんと“シケた”チョイスなのだろう。ドリンクバーは、リアルゴールド一択と決まっている。自動販売機では1缶190mLしか入っていないのに他のドリン

          リアルゴールドのように

          波間に揺蕩う小舟

          「サロンドパルファン2024」の2日目終了後、私は新宿のファミレスにいた。ペラペラのサーロインステーキと大きな唐揚げふたつを、ドリンクバーで注ぎに注いだリアルゴールドで流し込んでいた。 「ミシュランガイド東京2025」で星を獲得したレストラン一覧を見ながら、私はその中に「ガスト新宿靖国通店」の名が出てくるのではないかと思っていた。心の充足感に比べ胃袋の中がスカスカだったからだろうか。 三越伊勢丹グループのカード会員限定の入場だった昨日に対し、今日からは全ての方が入れるよう

          波間に揺蕩う小舟

          評価の伴ういい作品

          伊勢丹新宿店での「サロンドパルファン2024」初日が終わった。 去年はどうだったかあまり覚えていないが、今年は三越伊勢丹グループが発行するMIカード保持者のみが初日に入場できる権利を持っていた。それに伴い来場者数は限られ、ブランド側としてはひとりひとりへの接客時間をきちんと割くことができたし、お客さんもゆっくり見て回れたはずだ。初日入場を一部の人に限ることに関しては賛否が分かれるところだろうが、少なくとも今日の様子からすると悪い施策ではなさそうだ。とはいえ、この施策により結

          評価の伴ういい作品

          サインは◯◯で決まり!

          「サインをいただくことになっているのですが…」 「へ、サイン…?そんな話ありましたっけ…?」 これは伊勢丹の社員と私の間で交わされた会話の一部だ。もちろん、前者が伊勢丹社員、後者が私。 今日は伊勢丹新宿店で明日からはじまる「サロンドパルファン2024」の設営及び内覧会だった。 午前中にヒゲを整え、ランチをかきこみ、午後一で伊勢丹へ。設営中に別のミーティングが入ったり、広いスペースをどううまく活用しようか侃侃諤諤の議論をしたり、調香師Jean-Michel Duriez

          サインは◯◯で決まり!

          サロンドパルファン、はじまるよ。

          3連休の最終日早朝、私は羽田空港にいた。16日から開幕する伊勢丹新宿店での「サロンドパルファン2024」のために来日する調香師Jean-Michel Duriezを車で迎えに来たのだ。 土曜はほぼ終日外でのミーティング、日曜は午後は買い出しで夜は作業。今日月曜も、結局作業やら「サロンドパルファン」の準備やらに一日中追いかけ回されることになった。 明日火曜は「サロンドパルファン」のブース設営と搬入の後に内覧会があるため、実質準備できるのは今日まで。あとは店頭に立って笑顔で接

          サロンドパルファン、はじまるよ。

          今日から秋

          今日日曜日はなんだか久々の休みだったような気がした。9月上旬の仙台ポップアップあたりから、国内および海外出張、サロンドパルファンの準備、諸々のミーティングでずっと休みのない中忙しなく過ごしていた。カレンダーに予定が入っていない日というのはいつぶりのことだろう。 自転車で遠出しようかとも思ったのだが、睡眠不足も疲れも溜まっていたので、とりあえず午前中はゆっくりすることにした。お昼前にやおら布団から這い出て、冷蔵庫の余り物で簡単なお昼ご飯を作った。外は晴れているようだったので、

          今日から秋

          緊張感、ゼロ…?

          香水好きの皆様は、三越伊勢丹グループが運営する「Parfun」という香水コミュニティがあることをご存じだろうか? https://www.mistore.jp/shopping/feature/shops_f3/parfun_sp.html メンバー内で情報交換ができたり、オンライン座談会やオフラインの勉強会に参加できる、らしい。 上記のことをよく知らぬまま、私は本日、オフラインの勉強会にçanomaのブランド紹介をするべく登壇してきた。20名弱の参加者を前に、1時間ち

          緊張感、ゼロ…?

          まいちゃんの話

          「『家なくなった話したっけ?』って急に言い出したんよ」 その時私は京阪本線で三条から淀屋橋に向かっているところだった。三条で席を確保することができたが、その時点ですでにほぼ満席だった。次の祇園四条で私の目の前に年配の男性が来たので、席を譲ろうとすると、「すぐ降りるから」と固辞された。私はその言葉に甘えることにした。 前日の夜は3時間程度しか寝れなかった。深夜までnoteの執筆と仕事の作業があり、今朝は東京を早朝に出る新幹線に乗るために早起きだったのだ。 淀屋橋駅まではま

          まいちゃんの話

          冷凍食品の隠れた名作

          揚げ物が、好きだ。 最近、複数の友人から指摘されたのだが、私はどうやらレストランで揚げ物ばかり頼んでいるらしい。全く自覚はなかったが、いわれてみれば確かにそうかもしれない。唐揚げやフライドポテトはマストだし、蕎麦もだいたいかき揚げが入ったものや天ざるあたりを頼んでいる。カレーも、できればカツカレーにしたい。 家でもよく揚げ物をしているが、そのことをいうとよく驚かれる。「揚げ物、家でやるのめんどくさくない…?」と聞かれるが、虎穴に入らずんば虎子を得ず、私は揚げ物のためなら、

          冷凍食品の隠れた名作

          情報の精度はいずこへ

          私は今までどれだけの誤字をしてきたのだろうか。 このnoteだけを切り取っても、かれこれ4年以上毎日、計1600記事ほど書いている。かなりの数の誤字があってもおかしくないはずだ。 書き上げた後は一応通読の上ミスがないかの確認をする。結構ひどい誤字を見つけることもしばしば。漢字の変換ミスが一番多いが、それ以外にもアルファベットが1文字取り残されている(例えば「と」と打とうとして「t」だけになっている、みたいなもの)、なんてこともある。 確認したとて、誤字を完全に防ぐことは

          情報の精度はいずこへ

          Comprenne qui voudra

          時差ボケの本当の恐ろしさは日中の眠気ではない。 真夜中の不眠である。 10月8日火曜日の午前2時に筆をとった。フランスからの帰国便が羽田に到着したのが10月5日土曜日の午後3時半。そこからは多少の日中の眠さはありながらも基本的にはうまいこと時差ボケをやり過ごせた、と思っていた。 それがこのように、急に姿を表すのだ。いまだに全く眠気がやってこない。 諦めて深夜0時半ごろから本を読み始めた。最初は文章Patrick Modiano、挿絵Sampéの"Catherine C

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