葛の葉日記

たまたまその辺にあったものに魅入られて

葛の葉日記

たまたまその辺にあったものに魅入られて

最近の記事

夕涼み

「夕涼みイベント」の文字が目に入った 陽が落ちても気温さほどさがらず 翌日、陽がまたのぼろうとする前でも30度弱 日時まで目に入らなかったが 果たして夕涼むこと叶うのか 久しぶりにふれたその言葉にあこがれ それはもうほとんど幻 夕涼みの涼(すず)の音に 鈴を想ってしまうのか 風鈴や鈴虫の音がきこえ 肌を冷ますしっけた空気 グラスと氷が鳴る ゆかた うちわ スイカ 手持ち花火に照らされる 親しい人の顔 線香花火が火の姿を変えるのには 気づいていたけれど それらに名前があるこ

    • 蜂の巣

      へやの窓を開けて風を通してたら 黒っぽいアシナガバチみたいなんが入ってきてん カーテンレールカバーの上を なんか機嫌良さそーに歩いて行き来すんねん まさか巣ぅ作ろうとしてるんちゃう?と直感してん うん!ここにしよ!ゆー蜂の心の声がきこえてん ここはやめて〜のつもりで うちわでゆるゆるあおいでみてんけど 小さい生きもんにあんまり強ぉもでられへんし むこうもあんまり嫌そうにしてるふーもなくて 外に出た隙に窓を閉めてん あの感動的な六角形が作られていくのんを 目の当たりにして

      • 見たことのない目ぇ のうなったばっかりの人の目ぇ 光を湛えた真っ黒で なんかちっちゃい星みたいなんも いっぱい見えたような気ぃがするのは ファンタジー? その印象が妙に胸にせまって あとから考えたら もしかして、瞳孔が開いてたから? そのとき 光につつまれるってそういうこと? あのときおっちゃんはもう楽になって 光につつまれてたんやってしんじてる お棺に入らはって見たときには なんと歯ぁみせて笑ろてはるみたいに見えた すごいなぁ こんな遺した人らおもいなことある?

        • プラグなし

          気温30℃をこえない日はすごしやすい 先ほどから聞こえるのは耳鳴か蝉の声か 耳を澄ますこの周期性は蝉 いつ梅雨は明ける 飛行機が通るたび重く鳴る空 暮れかかる部屋を灯さないまま カーテンや窓、家具、扉がつくる明暗 壁に落ちる影の階調がうつり変わり ほの白い窓を残すほか すべてが墨色となった 蛙が鳴く

          whole universe

          完璧ないろかたちの花を見ておもう かつてスペイン観光ツアーで見た カトリック建築のおびただしい聖人像 イスラム建築の幾何学や植物模様にカリグラフィー 仏像は人がたの表現としては うっとりとするものもある その元となったヒンズー教の神々は強烈で興味深い どの教典にも参考になる教えがたくさんあるだろう 日本人だからか “なにごとのおわしますかは知らねども かたじけなさに涙こぼるる”のは 岩や樹木ときに鏡である何か意味深げな シンボルの背後にある その自ずから然らしむあり

          人の寝静まるころ

          湯あがりに水分を欲しペットボトル緑茶を ゴクゴク飲んでしまった深夜 うつらうつら蛙の合唱に巻き取られつつ ベッドでずっとぐっすりできず 空がかすかに白み始めたかと見える まだ暗いそのころ蛙と交代に 鳥のにぎやかなコーラスが始まり 鳥目じゃない鳥もいるのかと けたたましいのに驚き その声のくり返すパターンに聞き入り 明けるころようやく静まり 夢か現か分からない

          人の寝静まるころ

          子羊の脳4個

          体質的にこう暑いと野菜やフルーツしか食べたくなく 食欲増進のためハーブやスパイス、少しのアルコールを 活用しようとなる ヨーグルトもミントもオリーブ油もニンニクもあるから 素麺であまった胡瓜をためしに トルコ風のサラダにしてみようとやってみたら 試しの量に対してニンニクが多すぎてしまい ちょっと辛かった 昔、トルコで求めた日本語のトルコ料理レシピ本を 確認のため取り出してみると 分量の多くが6人分で出ている 子どもが多いのか3世代同居かお客さんが多いのか ふだん見るレシピ

          散蓮華

          中華の汁ものをすくう陶製の匙を 散った蓮のひとひらに見立てレンゲと呼んだり 丸めたお米に餡をまぶしたお餅を 春は牡丹に見立て大きく丸く作りぼた餅と呼び 秋は萩に見立て俵型に丸めてお萩と呼ぶのなど 日常に詩的なものがひそんでいるようでおもしろい 他にそんなものがあるか考えたら あまり思い浮かばなかった 新幹線がこだま・ひかりときて それより速いのが のぞみであり 国土を行き来して走るのも なんかもう呪術的でいい (写真は鉢の睡蓮)

          香出ら

          枝垂れている樹があれば 懐にもぐりこみたくなる 葉が桂に似ている気もするけど 枝垂れる桂なんてあるのだろうか 黄葉のころにもぐりこめば あのべっこう飴のような甘い香りに囲まれるだろうか 落葉するまで甘い香りはしないのか

          紅海の底

          砂漠が囲む紅海  流れ込む川はなく 透きとおって深海まで光を通す 深いところでも水温は高く 生物がいる 海底の地層深くに岩塩の層があり 地殻変動による海底の割れ目に 地球内部から岩塩の層を通った塩水が湧く 塩分濃度の濃い水は海水と混ざらず 海底に池のような塩水の層をつくるという 海のなかに池があるような不思議な光景 塩水池は強い浮力ゆえに潜水艦をはね返し 池のなかは無酸素で上から来た生物は生きられない 海水と塩水のさかいに 沈んで来た有機物が留まり それを採りにエビ

          遍く

          独唱かデュエットくらいだった蛙が 大雨のあと合唱になってきた いまもなお、カートゥーンチャンネルで見られる トムとジェリー なんて息の長い 学校から帰ってきた小学生につられ スナック菓子などつまみながら見入る 鳥獣戯画にもなにか通ずる あれは国宝なのだ さらに息の長い愛されかた たまたま、おじゃる丸の再放送を見かけると和み 手を止める 共通するのは、小さくか弱いものが 虐げられることなく、心のままにしていること であるように思う 世界が遍く そうでありますように

          好奇心のトーン

          一歳になったばかりで、まだお話はしない甥が 最近しきりに疑問形で「ン~!?」 と言うようなトーンの声を出すようになった 遊んでいる途中のこともあれば、 抱っこで連れて行って欲しい方向へ 手を伸ばしながらのこともある 初めて目にするものや、気づいたもの、 日常は未知のものだらけで、 毎日が発見の連続なのだろう 「!?」のトーンを聞きながら 勝手にそう想像している つかまり立ちでドアノブに手が届き、 レバーハンドルを下げて引くことでドアが開く 開け閉めを繰り返すのを手を挟まな

          好奇心のトーン

          ガリガリ君の虹

          箱入りのガリガリ君は、個包装の袋が透明 アイスを取り出し、袋を座卓に置く 食べ終わって気づいた 窓からの光を袋が分光したのか 居間の座卓に虹色の影

          ガリガリ君の虹

          みづくろい

          こたつ布団のうえに舌の櫛で念入りに毛を梳かす猫 浅い流れに羽をふるい水しぶきをあげる小鳥 コガネムシは三対の肢を駆使してすばやい 真ん中の一対で葉をつかみ 同時に前肢同士、後肢同士をぬぐい 次に前肢で頭、後肢でお尻を同時にぬぐうや否や飛びさった みづくろいする身近ないきものを見て和むのは共感か 蛸もするというから見てみたい

          街路

          小さい子とたびたび接する機会があると 童心が呼び覚まされてしまうのか つやつやの露をたくさん乗せる街路樹の葉にふれて ゆれ落ちるさまを見たくなったり 下草の綿毛がまるまると誘惑して 吹き飛ばしたくなるの心を危うく抱えながら 大人の顔をして歩道を行く そんな子がまだ居たのかと驚きながら 鳩がたまっていたら 走り込んで行きたくなるだろうか

          彼岸

          これくらいあたたかくなると、去年、花筏の川岸を一緒に走った犬がもう居ないことに涙が出る。 向こう岸で再会した元の飼い主と走ってくれるに違いない。