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#映画感想文

映画レビューをnoteで書いてみませんか?お題企画「#映画感想文」で募集します。

人気の記事一覧

映画『ラストマイル』つまらなかった、微妙だったって言う人の気持ちもめっちゃ分かる

※ネタバレ 俺はラストマイルめっちゃ刺さったんですけど、ラストマイルつまらなかった、微妙だった、って人の気持ちも分かるんですよ。 そもそも、あんだけ宣伝で 「特大エンタメ!」 「日本版アベンジャーズ!」 「3つの世界が交差するシェアードユニバース!」 「ポップコーンとビール片手に観る映画!」 みたいに煽っておいてフタ開けてみたらアンナチュラルMIUメンバー全然出演してないし、最終的に物流の労働環境、やばくね?鬱の人、多くね?通販便利すぎるの分かるけど、ちょっと考えね?

グローバル資本主義に日本がすり潰されないために―映画『ラストマイル』感想

映画『ラストマイル』を見てきた。私はもうめちゃくちゃ面白かった……!! 個人的に、『ラストマイル』が描こうとしているものがわかりすぎて『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』作者としては泣きました……。 https://www.e-hon.ne.jp/bec/EB/Top Amazonを彷彿とさせる外資系ECサイト「デイリーファスト(通称デリファス)」で働く、舟渡エレナと梨本孔。彼らのもとにある報道が飛び込んでくる。デリファスで新発売となったスマホが、突然爆発したという。

¥500

映画『ラストマイル』満島ひかりの演技力に魅了される!日本初シェアード・ユニバース・ムービー

2024年8月23日公開、映画『ラストマイル』を鑑賞しました。 この作品は、ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界線で起きたエピソードのため、2作品のドラマのキャストが登場するシェアード・ユニバース・ムービーです。 観てきた感想をまとめていこうと思います。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想この作品の面白さは、大きく分けて3点あります。 1点目は「シェアード・ユニバース・ムービー」という点です。 シェアード・ユニバース作品というのは、同じ

【ネタバレあり】映画「ラストマイル」を観てきました

この映画は絶対に初日に観に行こうと思って、無理矢理でも仕事をどうにかして笑 初日に観に行くことができました。 観終わった感想(率直なやつ) 「………え、どーゆうこと……?(困惑)」 でした。(ああ!決してつまらなかったわけではない!!誤解しないで!) ただ、これってある意味正しいようで、終わった後にすぐスタバに駆け込んでパンフレットを熟読した結果、主役である満島ひかりさんも塚原監督も、このなんだか掴みきれない「余白」感を大切にしてる、そこが肝、的なことを言っていたので、

映画『ルックバック』上映時間わずか58分とは思えない美しくも儚い青春物語に誰もが心奪われる

映画『ルックバック』を鑑賞した。 上映時間58分とは思えない満足度。これが噂の『ルックバック』かと、SNSで話題になる理由をこの目で観た。 観てきた感想をまとめていこうと思う。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想冒頭でも述べたとおり、58分とは思えない満足度を味わった作品だった。本作品の感想や考察記事を見ると、人それぞれ感じたものがある。私が本作品を観て感じたことをまとめていきたい。 まず、藤野の漫画に対する葛藤や喜びのシーンが、とても共感できる。私も

スティーヴン・キング原作『ショーシャンクの空に』

名作映画と聞いて、この映画を思い出す人も少なくないのではないか。そう、1994年に公開された『ショーシャンクの空に』だ。 原作は『グリーンマイル』や『スタンド・バイ・ミー』でも知られるスティーヴン・キング。監督は本作でその名を轟かせたフランク・ダラボンが務める。   物語は、若くして大銀行の役職に就く銀行員・アンディの、妻とその愛人を射殺した罪を裁く法廷シーンから始まる。アンディは無実を訴えるも終身刑の判決が下り、ショーシャンク刑務所に投獄される。 荒くれ者揃いの刑務所内で孤

映画『ラストマイル』を観て深夜にモヤッとした話

映画『ラストマイル』を見ました。 アンナチュラルとMIU404の脚本家・監督がタッグを組み、それぞれの世界線が交差する作品。私はどちらも詳しくないのですが、十分楽しめました! 面白かった。間違いなく、面白かった。 アンナチュラルとMIU404大好き人間に連れていかれたので、特に前情報もなく。でも、倉庫の規模の大きさ、エンドユーザーの手に渡るまでの道のりと関わる人の多さに圧倒され、それぞれの信念や強迫観念、葛藤に胸が潰れそうになった2時間でした。 いやあ面白かったね〜と

誰がために働く-映画『ラストマイル』感想 -

※以下、映画『ラストマイル』の若干のネタバレを含みます。ご注意ください。 スクリーンが暗転して、エンドロールと共にこの曲が流れ始めた時、冒頭の歌詞に強い違和感を覚えた。というより、すぐには歌詞の意味がわからなくて、頭に「?」が浮かんだ。 ふつう、「失くしても壊しても奪われたとしても」と逆接がきたら、「失われないものがあった」とか「消えないものがあった」とか、そういうポジディブな歌詞が続くだろう。実際、予告を通してなんとなく聞いていた時は、そんな風なことを歌っているんだろ

情熱が夢を描く -名作映画『白い足』の魅力

【木曜日は映画の日】 情熱は、ある種自分の常識や人生を超えている面があります。 いや、自分の人生を超えるぐらいでなければ情熱と呼べないのかもしれない。それは滅多に出会えるものではありません。 フランスの映画作家ジャン・グレミヨンが1948年に監督した名作映画『白い足』は、そんな狂気にも似た情熱の様相が刻まれた、見事なドラマです。 (2024年9月現在アマプラ無料) 舞台はブルターニュ地方の漁村。魚商人で酒場も経営するやり手の中年男性ジョックが、若い愛人オデットをパリ

疾走するエモーション -サミュエル・フラーの映画の魅力

    【木曜日は映画の日】     映画は物語を語る中で、ある一つの場面を視覚的に、効果的に示すことができます。   映画監督のサミュエル・フラーは、抜群に「面白い物語」を創ることができると同時に、鮮やかに多くの人に印象を与え、考えさせる場面を創ることができる監督です。 サミュエル・フラーは1912年マサチューセッツ州生まれ。幼い頃から新聞記者に憧れ、12歳の時にニューヨークの新聞社でボーイとして働き、偉大な編集者アーサー・ブリズベーンとも面識を得ています。やがて17歳で

記憶の森を彷徨う ―ヒッチコック『めまい』の美しさ

    【木曜日は映画の日】     アルフレッド・ヒッチコックの1958年の映画『めまい』は、2000年代以降、多くの映画のベストテンで上位、しかも1位か2位を争う程の高い評価を受けています。   公開時も高い評価は受けていたものの、年を経るごとにどんどん評価は上がり、映画の古典とも言える作品になりました。   しかも、他の「上位作品」と違い、多くの作家に換骨奪胎され、思考を誘発する傑作となっています。 刑事のスコティは、犯人を追っている際、高所恐怖症によるめまいによって

映画「ラストマイル」感想 “社会が悪い”の先には何があるのか【ネタバレあり】

映画「ラストマイル」を見てきました。周りでもかなり評判がよかったことや、僕が日頃から永遠に愚痴っている「社会」の業を煮詰めたような内容だと聞いて興味を持ったため。以下、ネタバレを含みます。 シェアード・ユニバース・ムービーとかいう日本ドラマ版MCUみたいな設定だそうで、「アンナチュラル」「MIU404」の世界観を共有した物語。って聞いてたんで「ドラマ見てないから見れんかー」と思ってたら、両ドラマの人たちはいっちょ噛みで出てくるくらいで主演もストーリーもほぼオリジナルの映画だ

¥100

映画『ルックバック』

物語としての良さは、虹雲猫さんの感想をぜひお読み下さい。 大変素晴らしく、私はここまで理解できていなかったので、世界がひろがりました。 以下は私自身の感想文です。 私はこの映画をクリエイター応援歌として見ました。 漫画家さんという職業、職人さんの矜持を見た気がしたのです。 ふだんあまり漫画を読まず、この漫画の原作も作者も存じ上げません。 勝手な解釈であることをご理解ください。 またネタバレ100%ですので、これから映画をご覧になる方は、「あらすじ」だけお読み頂き、あとでぜ

甘美な青春を踊る -ベルトルッチの映画『革命前夜』の魅力

  【木曜日は映画の日】     青春とは、取り戻せない故に甘い時間です。   イタリアの監督ベルナルド・ベルトルッチの初期の映画『革命前夜』は、そんな甘美な時間を閉じ込められた稀有な映画です。 舞台は1962年のイタリア、パルマ。裕福な青年ファブリツィオは、マルクス主義に傾倒し、ブルジョワの婚約者との婚約解消を考えます。そんな彼は、貧しい労働者階級の友人アゴスティーノの葬儀の際、久しぶりに会った叔母のジーナと話し、恋仲になります。。 監督のベルナルド・ベルトルッチは、1

映画『キングダム 大将軍の帰還』王騎将軍と龐煖の一騎打ちシーン撮影裏に注目

2024年7月12日公開。映画『キングダム 大将軍の帰還』を鑑賞した。 今回でシリーズ最終章と聞いていたが、最終章にふさわしい最高傑作だった。 鑑賞した後の興奮が冷めないうちに、映画を観た感想をネタバレなしで紹介しようと思う。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想今回の作品の主役は、間違いなく王騎将軍だ。 大沢たかおさん演じる王騎将軍が、“大将軍”の名にふさわしい活躍を見せている。 大沢たかおさんは王騎将軍を8年間演じ続けている。王騎将軍という役どころ

光の速さで駆ける -ラオール・ウォルシュの映画の面白さ

    【木曜日は映画の日】     物語の大事な要素の一つに、スピード感というものがあります。   小説で、短い文ばかり繋げれば、(多少は読みやすくなるけれど)スピード感が上がるわけでもない。映画の場合、短いカットを繋げれば、(刺激的だけど)体感速くなるというわけでもない。   「速さ」というのは、進行が全てスムーズに繋がって、尚且つ、物語にちゃんと深みを感じられるような味わいが必要に思えます。つまり、あくまで体感であり、受け手側の意識が作るものなのだと感じます。   映画

丘の上の本屋さん

地味な映画だけど、ジーンと心暖まる映画です ケーブルテレビのチューナーが新しくなって、Amazon prime Videoも TV画面で観られるようになって、テストを兼ねて、様々な映画を検索していたら、何か引っ掛かる映画があった それがこのイタリア映画 「丘の上の本屋さん」 この映画、昨年の公開だったようだが、まったくノーマークで、今回初めて知った 冒頭、年配の男性が石畳の街を歩いている やがて一軒の店に辿り着き鍵を開けて中に入る ここは小さな古本屋さん そしてこの

映画感想文(r)adius ラディウス

2017年 カナダ映画 宇宙から送られてきた雷に撃たれたふたり。そここら、SFの世界に入っていくのかと思いきや、主人公リアムの半径15メートルに近づくと誰もが死んでしまうという話。 目が白くなり死んでいく人たち、家畜、鳥までも。 同じ場所で雷に撃たれたジェーンと一緒なら、人は死なないことが分かり、ふたりは一緒に行動する。 だが、ふたりは記憶喪失になっていた。 やがてリアムの記憶喪失前の姿をリアム自身が知ってしまい、ショックを受ける。ジェーンも少しずつ記憶が蘇り苦しい現

【ラストマイル】間に合っても変わらなかった絶望【感想・考察】

遅ればせながら見てきました、ラストマイル! 「MIUとアンナチュラルのオタクとして最高の映画を見せてもらったな」という気持ちと、社会人としてあ〜わかるな〜が交差していたのと、簡単に面白かったでは片付けられないビターでヘビーな部分も多く、感想と気になったことの考察とまとめて垂れ流し。 感想垂れ流し・「全部手に入れたい」貪欲なエレナと、最低限生きていけばいい無気力な孔の対比 ・エレナが赴任してから事件が巻き起こり、いきなり職場泊まり込みになったにも関わらず、指輪やピアスなど

映画「ラストマイル」を見ました

うわぁ…これはまた凄い作品が世に放たれたぞ 見終わってからの率直な感想がこれ。 もちろん事前情報で十分過ぎるほどに覚悟していたつもりだった…。脚本:野木亜紀子さん、監督:塚原あゆ子さん、プロデューサー:新井順子さん、この3人が揃った作品なんだもの。 あ、私の"想像力"の限界を突きつけられただけか。笑 「ラストマイル」とは、物流業界で使われる用語で"荷物を顧客に届ける最後の区間"のことを指す。3人で作品を作ろうとなった時に、ここに着目するのか、ともうこの時点ですげー!しか出

【映画感想文】メディアはZ世代とか言ってるけどさ、いまの若者は70年代みたいにシラケているのが大多数かも - 『ナミビアの砂漠』監督: 山中瑶子

 話題の映画『ナミビアの砂漠』を見てきた。  監督の山中瑶子さんは27歳。19歳から20歳にかけて制作した『あみこ』という作品がぴあフィルムフェスティバルの観客賞をとったとか。そして、主演の河合優実さんは23歳。高校生のときに『あみこ』を見て役者を志したらしい。  あまりに劇的なつながり過ぎて、まるでジャンプの漫画みたい! と胸が熱くなる。そんなドラマチックな二人のタッグで撮られた本作の主人公は東京で暮らす21歳の女の子・カナ。脱毛サロンで働き、歌舞伎町に入り浸り、趣味も

決断をして受け入れること -映画『ワイルド・アパッチ』の教訓

    【木曜日は映画の日】     人は、様々な選択を迫られて生きています。そして、後悔など無意味と分かっても後悔してしまいます。   そんな時に背中を押してくれるのは、後悔なんて無意味だ、という言葉ではなく、その選択に意味があったと誰かに告げてもらうことのように思えます。   ロバート・オルドリッチの1972年の映画『ワイルド・アパッチ』は、優れた西部劇でありつつ、そんな選択を巡る、ある種の大人の作品です。 アパッチ族のウルザナが、ネイティヴ・インディアン居住区から脱走

『思惟/Speculation』

食や料理の原点として、食事という命題は「食というものは呼吸と等しく、生命の仕組みに組み込まれている」(P.156より引用)という一文は、非常に感銘を受けました。 シェーンハイマーの学説から紐解き、辰巳先生が辿り着いた‘‘食の本義’’は、これまで読んできた書物の中で今尚、余韻が残る一冊です。 「料理とは生命に向き合うこと、 そして愛すること、慈しむこと。」 『食に生きて』辰巳芳子 食や料理は私たちの日常生活において身近な存在である。 こちらの命題から食の意義を探求したい、

大河への道と鴨南蛮そば

焼きそばについてくる紅ショウガが苦手だ。 惣菜で買った焼きそばを電子レンジて温める前に、家族の分の焼きそばに紅ショウガを移し替える儀式は、もはや欠かせないものとなっている。 2022年公開、中井貴一さん主演の「大河への道」にも苦手な食べ物を除けて食べるキャラクターがいた。 勘定奉行の手先・神田三郎(西村まさ彦)だ。 本作は現代と江戸時代を交互に描かれており、現代のパートでは、千葉県香取市の市役所に勤める池本(中井貴一)が、地元の観光促進のために大河ドラマの開発を提案す

『PERFECT DAYS』

深夜に書かずにおれない。まずわたしは、布団を畳む動作を、自分にとって特別な段階で既視している。 無垢であることの危ういバランスが甚だしい。清掃されるトイレ同様、‘何か汚いものがうつるんじゃないか’ときれいな画面から目を離すことはできずにずっとこわいのだった。 喋りすぎると映画の価値は崩れていく。トキオとニコとモモカズの口からこぼれた説明のいくつかはまだ放り投げられる余地があるのかもしれない。トイレの向かい側で祈る誰かも、隣のベンチに座る誰かもも一言と発しない。けれどものす

【ネタバレだらけ】最後を観客に託す「ラストマイル」で私が見付けた自分なりの答え。

映画「ラストマイル」を観てきたら これはどういう意味なのだろうかと 思う部分がチラホラ出てきた。 2回目を観に行く前に自分なりに 考えを整理したくて噛み砕いてみた 感想を残しておこうと思う。 以下、本当にネタバレしかないので 見ていない人は要注意!そして、 この作品は人によって受け取り方が 違う部分も多いと思うので、これが 正解とかではないし、討論目的の noteではないのでこんな考えの人も いるんだな~くらいに受け取って 貰えたら嬉しいです。 【バカなことをした】病院に

ベイビードライバーのピーナッツバターサンド

ランチパックのピーナッツ味はトースターで焼いて食べる派だ。  こんがりきつね色に焼いてから、中身がこぼれ落ちないようやや慎重に齧りつく。  熱せられて旨味の増したピーナッツクリームの風味とパンの香ばしさを味わいつつ、ブラックコーヒーをすするのがたまらなく美味い。  ピーナッツクリームとピーナッツバターという若干の違いはあるが、「ベイビードライバー」にもピーナッツバターサンドが出てくる。  主人公、通称ベイビーは驚異的なドライビングテクニックを駆使して、警察を翻弄する強

【映画感想文】マルチ商法で狂っていく母親が女ジョーカーって感じでヤバかった! 詐欺ダメ、絶対! - 『西湖畔に生きる』監督:グー・シャオガン

 これは凄いものを見てしまった。  中国の山水画を彷彿とさせる壮大な自然描写で定評のあるグー・シャオガン監督の新作『西湖畔に生きる』を見てきた。タイトルからして山間に暮らす人々の古き良き伝統が映し出されているのだろうと想像していた。  ところがどっこい全然違った! いや、冒頭こそ、たしかに美しい畑でお茶の葉を摘み、丁寧に釜炒りをする職人技が示されるのだけれど、そこで働くシングルマザーがクビになったところから物語は急展開。マルチ商法にどっぷりハマり、おかしくなってしまうのだ

映画『ラストマイル』感想

映画館で毎秒、魂が揺さぶられていた。 とめどなく、涙が頬を流れていた。これは紛れもなく"私達"のための物語であると感じたから。 私はメーカーに勤務する30代の人間である。社会の歯車として、無駄に真面目にそれなりに頑張って働いているサラリーマンだ。お客様の「欲しい」に応え、工場に物を作ってもらい、それを出荷するという一連の流れに携わってきた。今は別の部署におり、物流業界に身を置いているわけでもないが、それでも本作で起きる出来事、会話の何もかもがひとごとではなかった。きっと私と

【感想】映画『ローリングガール』

『ローリングガール』という映画を見ました。 ‘‘ローリングガール’’という言葉を頭の中で考えながら見ていたのですが、なるほどそういうことかということを物語を通して理解しましたし、キンパというのは韓国風のり巻きという意味で彼女が劇中でのり巻きをするシーンから‘‘ローリングガール’’と呼んでいるんだなと納得しました。 物語は、ニートであるジュリは、人との付き合いから避け、家に引きこもっている心を閉ざしている少女であります。 彼女の母であるヨンシムは、キンパのお店で働いているのです

【映画感想文】話題の自主制作時代劇を見てきた! 老若男女が楽しめるど真ん中のエンタメだった! - 『侍タイムスリッパー』監督:安田淳一

 低予算で作られた『カメラを止めるな!』が全国的に大ヒットし、外国でリメイクされるなど、インディーズ映画の奇跡と呼ばれて7年が経った。いま、再び、同じような奇跡が起こりつつある。  57歳の安田淳一監督が愛車を売って資金を作り、京都で米農家を営みながら、脚本や編集など裏方仕事を1人で11役も務めつつ、わずか10名ほどのスタッフで作り上げた自主制作映画『侍タイムスリッパー』の上映が口コミで各地に広がっている。  監督自ら、『カメラを止めるな!』のヒットを分析し、狙って起こし

【感想】映画『ぼくのお日さま』

今年に入って色んな映画を見て、久しぶりな感動と懐かしさを覚える映画に出会いました。 『ぼくのお日さま』という作品は、下半期ベスト3もしくは上半期、下半期を含めても上位に位置する作品だと感じました。 物語の概要としましては、アイスホッケーが苦手な吃音のタクヤとコーチのことが気になるさくら、小さな田舎町でフィギアスケートを教える荒川コーチ、スケートリンクでの淡い恋模様とタクヤの成長譚の描かれ方は繊細で画面全体から美しさが際立つものがありました。 荒川の提案でタクヤとさくらは、アイ

【感想】映画『梅切らぬバカ』

『梅切らぬバカ』という映画を見ました。 作品自体は、自閉症や高齢者による子供の介護という重いテーマではあるものの心が穏やかになり、優しい気持ちになれるそんな映画でありました。 物語の概要としましては、自閉症を患う息子の忠男と高齢の母の珠子との日常を描くヒューマンドラマであり、忠男のみる日常を通して彼の内面や彼がどのような人なのかということが丁寧に描かれている作品でとても良かったです。 誠実な忠男と息子を優しく支える母の愛情、グループホームでの慣れない環境での生活などを描き、息

【映画感想文】いま世界で最も変態な監督が実話っぽいフィクションを作り上げる狂気がヤバい! - 『チャイコフスキーの妻』監督:キリル・セレブレニコフ

 チャイコフスキーはゲイだったのに妻がいた。二人の結婚生活は早々に破綻し、別居。チャイコフスキーは離婚を要求し続けていたけれど、妻は最後まで応じなかった。  この事実を知った映画監督キリル・セレブレニコフは「チャイコフスキーの妻」にこだわり続けた女性に興味が湧いたらしい。なにが彼女を突き動かしていたのか。ほとんど資料が残されていないにもかかわらず、そこに光を当てようとして作られた映画が『チャイコフスキーの妻』である。だから、こんなタイトルなのにほとんどがフィクションなので面

映画感想文 落下の解剖学

フランス映画です。 夫が3階のバルコニーから落ちて死亡した状態で見つかる。 果たして、事故なのか自殺なのかそれとも他殺なのか....... 警察は検死の結果、頭に殴打の痕があるという事で他殺と断定、 容疑者で妻のサンドラを逮捕する。 そして、法廷でのサンドラの『解剖』が始まる。 映画は法廷での検察官と弁護士のやり取りがほとんどを占める。 法廷サスペンスと言われる映画。妻のサンドラはベストセラー作家。そういった事情で傍聴人は、多い。多分、多くの人は、サンドラは、無実だと思

最近観た映画のご紹介

先週は映画をたくさん観た。 安寧日記に書こうかと思ったけど、長くなりそうなので、こちらへ。 3作品紹介したい。 あらすじはFilmarksより。 ✳︎ 1.「壁の向こうのあなた」(2024) スペイン 〈あらすじ〉 スペイン発のラブロマンス!再起を願って新居に越したピアニストのバレンティナだが、隣人は騒音嫌いのゲームクリエイターのダビッドだった。 〈感想〉 設定やストーリー自体は、ツッコミどころ満載で、いやいやいやいや…実際それはありえんって、と言いたくなる。 しかし個

【感想】映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』

今月上映する映画で楽しみにしている映画は『ぼくのお日さま』と本作『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の二作品であり、公開日の翌日にさっそく見てきました。 ろう者の両親と耳が聞こえる息子との交流を描いた家族の物語であり、息子の大のような立場にいる彼のことをコーダということも初めて知りました。 私が本作を見た時間帯は一番早い回で日本字幕版で鑑賞したのですが、実際にろう者の方と付き添いでこられている方もいらっしゃいました。 物語の概要としましては、耳の聞こえない両親から生まれた息子の大

映画『キャラクター』さえない漫画家に生まれた連続殺人犯という”キャラクター”

劇場公開時、タイミングを逃し見そびれていたが気になっていた作品。何か面白そうな映画はないかとNetfrixの作品一覧を眺めていたところで、見つけた。 今回紹介するのは、映画『キャラクター』だ。 作品情報スタッフ/キャスト あらすじ 観た感想作品の内容を知らずに鑑賞したが、面白かった。 ミステリー漫画の犯人を描くキャラクター性に欠けていた主人公の山城は、本物の殺人犯を遭遇し、殺人犯をモデルに漫画を描き始め大ヒット作品を生む。 殺人犯役を演じたのは、今回が映画初出演と

久々に観た! 『ブルース・ブラザーズ』

我が家は毎日が日曜日ですが、それでも心が浮き立つ三連休。 夫は、ここ数年、早寝早起きにシフトしております。 年齢的なものでしょうか。 実際はそこまで早起きでもありません。 夫が寝た後は、おひとり様時間を満喫しています… といいたいのですが、 かくいうわたしも、10時を過ぎると、睡魔に引きずり込まれ、居眠りをしてしまうことが多いのです。 でも、そのまま寝るのも勿体ない… というわけで、懐かしい映画を鑑賞しました。 『ブルース・ブラザーズ』 Wikipediaから引用させて

【映画感想文】絶望的な多幸感! 90年代のミニシアター系邦画を彷彿とさせる優しい空虚が懐かしい - 『ぼくのお日さま』監督: 奥山大史

 予告編を見て、あまりの美しさにすっかり心を奪われてしまった。少年少女が淡々とスケートに励む姿は文句なしに煌めいていた。  全国公開まで待てず、TOHOシネマズシャンテで行われた先行公開に行ってきた。驚いた。90年代の邦画へのリスペクトに満ち満ちていたから。  まず、わかりやすくアスペクト比は4:3のビデオサイズ。セリフがやたら少なくて、吃音がテーマになっていることもあり、ぼそぼそっとなにを言っているのかわかりにくい。このあたりは黒沢清監督や北野武監督などの鬱々としたもの

アラン・ドロン『地下室のメロディー』

NHK BSのプレミアムシネマで、フランスの2大スター、ジャン・ギャバンとアラン・ドロンが共演する『地下室のメロディー』を観ました。 【簡単なあらすじ】 5年の刑期を終えてシャバに戻ってきた初老の悪党 シャルル(ジャン・ギャバン)は、人生の最後に、もう一山当てようと、カンヌのカジノの売上金を強奪することを企む。 仲間に引き入れたのはムショで知り合ったチンピラのフランシス(アラン・ドロン)とその義兄ルイ。 金持ちの青年になりすましたフランシスは、カジノのあるホテルに長期滞在

2024年の日本映画の男優賞は全て、映画キングダムの王騎役の大沢たかおに獲ってほしい!

映画「マミー」/和歌山毒物カレー事件の真相は如何に。

1998年に起きた和歌山毒物カレー事件をご存知でしょうか。 夏祭りで手作りカレーを食べた町人67人がヒ素中毒を起こし小学生を含む4人が死亡した衝撃的な事件でした。 当時小学5年生だったご長男さん、真須美さんのご主人、関係者の方へのインタビュー、監督ご自身の取材の様子などが丁寧に繋げられているドキュメンタリー映画「マミー」を観ました。 映画の公開について、老婆の日常茶飯事さんの記事で知りました。素晴らしい記事です。この映画にご興味がありましたら是非お読みくださいませ。 この

多様な声を消そうとする力と戦うために|『インサイド・ヘッド2』

※作品の内容に関する記述があります 2015年に公開された『インサイド・ヘッド』の続編となる今作だが、前作を見ていなくても十分に楽しめる作品だ。 まず、この作品が面白いのは、「主人公の物語」と「主人公の脳内の物語」が同時に進行することである。主人公の脳内の物語は、ヨロコビ(喜)、カナシミ(哀)、イカリ(怒)、ムカムカ(不快)、ビビリ(臆病)という5人の擬人化された感情たちの葛藤によって表現されている。 このような表現により、主人公ライリーの行動や判断に関する迷いの過程が

『エイリアン:ロムルス』映画感想文

9月6日公開の映画『エイリアン:ロムルス』を鑑賞してきました。 隣に座っていた男の子が、音に反応して何度も『びっくっ!』とするので、2Dで観てるのに、なんだか4Dで観ている気分でした。 映画の率直な感想はあまり好きじゃなかったかな。私はエイリアン映画が大好物ではあるけれど、何かを守りたい気持ちだったり、たくましさなんかを観たいと思っているところがあって、今回はそれを感じなかった。 主人公のレインは弱々しいアンドロイドのアンディを守っていたけれど、途中チップを変えてアップ

人生を取り戻す歌 -映画『ラブソングができるまで』の幸福

    【木曜日は映画の日】     人生をやり直すということは、復元することではありません。今までの駄目な自分を肯定しつつ、「これだ」と思う新しい自分を創り出すことです。   2007年の映画『ラブソングができるまで』は、ポップソングのソングライターたちのラブコメを楽しみつつ、そんな人生をやり直すことの意義を感じさせてくれる、魅力的な秀作です。 80年代に一世を風靡したアイドルロックバンド「ポップ」の元ボーカル、アレックスは、今やソロで落ちぶれて、遊園地や同窓会の営業で食

【映画感想文】お金ってなんだっけ? 貧乏夫婦が地域通貨の最前線を探る半ドキュメンタリー・半フィクションの傑作! - 『ロマンチック金銭感覚』監督: 佐伯龍蔵・緑茶麻悠

 この前、テアトル新宿へ行ったとき、気になる予告編が流れた。  和歌山の田辺・弁慶映画祭で賞をとった『ロマンチック金銭感覚』という作品なのだが、フィクションのような、ドキュメンタリーのような独特な雰囲気に心をつかまれた。  しかも、テーマはお金! インディーズ映画が見て見ぬ振りをするけれど、実際はみんな、そのことで悩み苦しんでいるど真ん中の問題に挑戦しているのだと知って、興味が湧いた。  東京の上映期間は8月23〜27日と短いけれど、その結論を確かめたくて、初日にどうに

【感想】映画『夏目アラタの結婚』

『夏目アラタの結婚』という作品を見ました。 前々から、映画上映の予告で気になっていた映画で連続殺人鬼をめぐるサスペンススリラーなのかなと第一印象でそう思っていましたが、予想外の結末でありラブロマンも加わる映画なのかと思った時は完全にやられたと思いましたが、作品はとても楽しめる映画でした。 物語の概要としましては、連続殺人事件の容疑で逮捕された、ピエロの格好をした品川真珠は日本中を震撼させる大事件を犯すことになります。 真珠は死刑囚として収監され、遺族の依頼で消えた遺体を探すこ

青くて痛いのは

青くて痛いのは 自分の気持ちに気付かない振りをして 傷つきたくなかったから それでも 自分の気持ちに蓋をすることができなくて ずっと心の中に抱いていた思いは 熱量を帯び 光が掘進するかのように それた方向へと注がれた 自分の気持ちに正直になったつもりだったけど それは相手に理解されるはずもなく 誰も傷つけたくなかったのに 傷つけてしまった 一番大切な人 間違っていたこと、弱かったことを伝えるため 僕は「その時もう一度、ちゃんと傷つけ」 (作品から抜粋) 平気なふりして

【感想】映画『Cloud』

今年一番の期待作、そして黒沢清監督作品の中でも一、二を争うぐらいの怪作『Cloud』を見ました。 『蛇の道』『Chime』からそして『Cloud』に至って、私の中では『Cloud』こそが黒沢監督の作家性というものが色濃く描かれているのではないかと考えさせられました。 物語の概要としましては、転売ヤーとして働く吉井は世間の一部の者にとっては憎まれ、知らないうちに恨みを買われる対象となっていき、それはいつしか殺意へと向けられる。 彼の言動や存在に恨みを持つ者たちは、何人もいて彼ら