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【映画感想文】メディアはZ世代とか言ってるけどさ、いまの若者は70年代みたいにシラケているのが大多数かも - 『ナミビアの砂漠』監督: 山中瑶子
話題の映画『ナミビアの砂漠』を見てきた。 監督の山中瑶子さんは27歳。19歳から20歳にかけて制作した『あみこ』という作品がぴあフィルムフェスティバルの観客賞をとったとか。そして、主演の河合優実さんは23歳。高校生のときに『あみこ』を見て役者を志したらしい。 あまりに劇的なつながり過ぎて、まるでジャンプの漫画みたい! と胸が熱くなる。そんなドラマチックな二人のタッグで撮られた本作の主人公は東京で暮らす21歳の女の子・カナ。脱毛サロンで働き、歌舞伎町に入り浸り、趣味も
【映画感想文】マルチ商法で狂っていく母親が女ジョーカーって感じでヤバかった! 詐欺ダメ、絶対! - 『西湖畔に生きる』監督:グー・シャオガン
これは凄いものを見てしまった。 中国の山水画を彷彿とさせる壮大な自然描写で定評のあるグー・シャオガン監督の新作『西湖畔に生きる』を見てきた。タイトルからして山間に暮らす人々の古き良き伝統が映し出されているのだろうと想像していた。 ところがどっこい全然違った! いや、冒頭こそ、たしかに美しい畑でお茶の葉を摘み、丁寧に釜炒りをする職人技が示されるのだけれど、そこで働くシングルマザーがクビになったところから物語は急展開。マルチ商法にどっぷりハマり、おかしくなってしまうのだ
【映画感想文】話題の自主制作時代劇を見てきた! 老若男女が楽しめるど真ん中のエンタメだった! - 『侍タイムスリッパー』監督:安田淳一
低予算で作られた『カメラを止めるな!』が全国的に大ヒットし、外国でリメイクされるなど、インディーズ映画の奇跡と呼ばれて7年が経った。いま、再び、同じような奇跡が起こりつつある。 57歳の安田淳一監督が愛車を売って資金を作り、京都で米農家を営みながら、脚本や編集など裏方仕事を1人で11役も務めつつ、わずか10名ほどのスタッフで作り上げた自主制作映画『侍タイムスリッパー』の上映が口コミで各地に広がっている。 監督自ら、『カメラを止めるな!』のヒットを分析し、狙って起こし
【映画感想文】いま世界で最も変態な監督が実話っぽいフィクションを作り上げる狂気がヤバい! - 『チャイコフスキーの妻』監督:キリル・セレブレニコフ
チャイコフスキーはゲイだったのに妻がいた。二人の結婚生活は早々に破綻し、別居。チャイコフスキーは離婚を要求し続けていたけれど、妻は最後まで応じなかった。 この事実を知った映画監督キリル・セレブレニコフは「チャイコフスキーの妻」にこだわり続けた女性に興味が湧いたらしい。なにが彼女を突き動かしていたのか。ほとんど資料が残されていないにもかかわらず、そこに光を当てようとして作られた映画が『チャイコフスキーの妻』である。だから、こんなタイトルなのにほとんどがフィクションなので面
【映画感想文】絶望的な多幸感! 90年代のミニシアター系邦画を彷彿とさせる優しい空虚が懐かしい - 『ぼくのお日さま』監督: 奥山大史
予告編を見て、あまりの美しさにすっかり心を奪われてしまった。少年少女が淡々とスケートに励む姿は文句なしに煌めいていた。 全国公開まで待てず、TOHOシネマズシャンテで行われた先行公開に行ってきた。驚いた。90年代の邦画へのリスペクトに満ち満ちていたから。 まず、わかりやすくアスペクト比は4:3のビデオサイズ。セリフがやたら少なくて、吃音がテーマになっていることもあり、ぼそぼそっとなにを言っているのかわかりにくい。このあたりは黒沢清監督や北野武監督などの鬱々としたもの
【映画感想文】お金ってなんだっけ? 貧乏夫婦が地域通貨の最前線を探る半ドキュメンタリー・半フィクションの傑作! - 『ロマンチック金銭感覚』監督: 佐伯龍蔵・緑茶麻悠
この前、テアトル新宿へ行ったとき、気になる予告編が流れた。 和歌山の田辺・弁慶映画祭で賞をとった『ロマンチック金銭感覚』という作品なのだが、フィクションのような、ドキュメンタリーのような独特な雰囲気に心をつかまれた。 しかも、テーマはお金! インディーズ映画が見て見ぬ振りをするけれど、実際はみんな、そのことで悩み苦しんでいるど真ん中の問題に挑戦しているのだと知って、興味が湧いた。 東京の上映期間は8月23〜27日と短いけれど、その結論を確かめたくて、初日にどうに