映画『ラストマイル』つまらなかった、微妙だったって言う人の気持ちもめっちゃ分かる

※ネタバレ

俺はラストマイルめっちゃ刺さったんですけど、ラストマイルつまらなかった、微妙だった、って人の気持ちも分かるんですよ。

そもそも、あんだけ宣伝で

「特大エンタメ!」
「日本版アベンジャーズ!」
「3つの世界が交差するシェアードユニバース!」
「ポップコーンとビール片手に観る映画!」

みたいに煽っておいてフタ開けてみたらアンナチュラルMIUメンバー全然出演してないし、最終的に物流の労働環境、やばくね?鬱の人、多くね?通販便利すぎるの分かるけど、ちょっと考えね?って説教されるの疲れるじゃないですか。スカッとしたかったのに、なんでこんな気持ちにならなきゃいけないんだよ…どこがポップコーン食えるんだよ…タイミング映画泥棒のとこだけだったんですけど…

そんなにシェアードユニバースシェアードユニバース言うんだったらラストマイルとアンナチュラルとMIU404の3つがガッツリ絡んで、それぞれの能力、特性を活かして前代未聞の最悪な爆弾テロ事件に立ち向かう!みたいな夢映画が理想なのに、実際はストーリーにほぼ絡まず「オマケ程度に出演しただけ」なのを「日本版アベンジャーズ」って言うのはアベンジャーズに失礼だし、ハードル上げれば上げるほど、ガッカリはそりゃデカいじゃないですか。

俺も星野源のオールナイトニッポンで星野源本人の「ほとんど出てない」発言聞いてなかったら、たぶん死ぬほどテンション下がってました。あれを聞いてたから「あ、意外と出てるのね…」って好意的に受け止められましたけど「期待はずれ」って言われても仕方ないですし。

実際アンナチュラルMIUメンバー登場以外で一番テンション上がったのって中村倫也サプライズで、ドラマ要素抜きに映画単体で考えたら連日満席になるほどヒットしてないと思うんですよ。良い映画なんですけどやっぱり地味なんですよね。

エレナ(満島ひかり)が犯人のミスリードかけられた時に、俺はちょっと「エレナ犯人であってくれ…!」って願ってました。だってそのほうが分かりやすい「お祭り」「エンタメ」っぽいから。

彼氏を社会に壊されたサイコ満島ひかりが復讐のためにやってた!?主人公が犯人??しかもエレナを逮捕しても最悪級な破壊力の爆弾はもう発送済み。止められるもんなら止めてみなさい!UDI、MIU!ウオオ〜!ミコト〜!中堂さん〜!志摩〜!伊吹〜!ゲエエエ!!!4人が同じ画面に映ってる???あれ?志摩ちょっとミコトに惚れてね???ギエエエエーーーーー!!中堂さんと伊吹めっちゃケンカしてるーーーーッッ!!!え?これ現実?今日俺の命日?みたいな、SNSの二次創作絵展開にしてくれたほうが、脳みそ的には気持ち良い。

でも「野木亜紀子」って脚本家を知っていればそんなアホみたいな味付けクソ雑チーズハンバーグカレードリア寿司!映画にならないことはわかってたし、

末端も末端である倉庫の派遣が起こした事件を、最後に末端も末端も末端である配達員が爆発を食い止める。少しだけ環境は良くなるかもしれないけど、結局なにも変わらないよ。便利なサービスを便利なだけで鼻水垂らして使ってるわたしたちも被害者であり加害者になりうるんだよ。壊れてる人間いること見てみぬフリすんな。

っていう流れは、今の世界に必要なメッセージだし、アンナチュラルっぽいし、MIU404ぽい。

だからラストマイルって、一撃で脳砕かれるような、それこそ爆弾みたいな即効性の衝撃を受ける映画じゃなくて、見終わってからぐるぐるこの作品のこと考えて眠れなくなる、じわじわ後から効いてくる「遅効性の毒」みたいな映画だと思いました。

なので、もしまたラストマイル見る機会があったらポップコーンとビール片手じゃなくてエチレングリコール片手に見てください。

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