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【感想】映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』

今月上映する映画で楽しみにしている映画は『ぼくのお日さま』と本作『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の二作品であり、公開日の翌日にさっそく見てきました。
ろう者の両親と耳が聞こえる息子との交流を描いた家族の物語であり、息子の大のような立場にいる彼のことをコーダということも初めて知りました。
私が本作を見た時間帯は一番早い回で日本字幕版で鑑賞したのですが、実際にろう者の方と付き添いでこられている方もいらっしゃいました。
物語の概要としましては、耳の聞こえない両親から生まれた息子の大は、母の明子の代わりに通訳として、きこえる世界ときこえない世界を往復しながら日々を過ごしている。
きこえる世界ときこえない世界に生きる大の心情に寄り添いながら考えさせられることがたくさんありました。
時間と共に、大も少しずつ成長していき周りの環境も変化していくにつれて、ろう者の両親を持つ特別視で見られる大の心は揺れ動き苛立ちを覚えていくようになります。
複雑な感情の中で大はコーダとして生きる自分やろう者である両親との違いに葛藤する。
幼い頃の大が母や父のことを大切に思う気持ち大好きな両親に対する愛は心身が成長しても変わらず、母の明子も父の陽介も同様であることを窺えます。
コーダとして生きる、自分の居場所を求めて彼は東京へ旅立つことを決意します。
母がどんな時でも辛さを抱えた大を思う気持ちは、とても心を掴まれたし、親だからこそ一番の理解者であることを実感させられた時はやはり号泣せざるをえませんでした。
故郷を離れる大の心身は大きく成長し、一歩先踏み出す力強さを与えてくれたのは間違いなく母の存在が大きいと私は本作から思いました。
理解者である母の思いに気付いてあげられなかった後悔と罪悪感、明子は息子の大の心に寄り添おうと大を気に掛ける母の心の温かさ優しさを演じた忍足さんの演技は素晴らしかったですし、作品全体を包み込む彼女の演技力はろう者である当事者であるからこそ出来ない本物の演技があると感じました。
映画を見てから、私は原作者の五十嵐大さんが記されました『「コーダ」のぼくが見る世界』という本を読みました。
映画から、そして本書から社会的マイノリティの方の存在をより深く知るきっかけになり、コーダという立場も知りましたし、言語手段としての手話と会話による視覚的な印象により、幼い頃から抱いていた作者の思いが全面に示され両者から改めて考えさせられる思いがありました。

コーダとして生きる大さんの見てきたものは両者のきこえる世界ときこえない世界の人たちが生きている生活や日常であり、私たちはきこえない世界の人たちのことをあまり知らないし、理解していないところがあると感じました。
映画からでも原作からでも、私たちはきこえる世界だけではなく、きこえない世界のこともしっかりと受け入れ知る必要があると思いました。
想いが溢れだしてしまう前に涙だけは止まらなかった。

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