映画「ラストマイル」を見ました
うわぁ…これはまた凄い作品が世に放たれたぞ
見終わってからの率直な感想がこれ。
もちろん事前情報で十分過ぎるほどに覚悟していたつもりだった…。脚本:野木亜紀子さん、監督:塚原あゆ子さん、プロデューサー:新井順子さん、この3人が揃った作品なんだもの。
あ、私の"想像力"の限界を突きつけられただけか。笑
「ラストマイル」とは、物流業界で使われる用語で"荷物を顧客に届ける最後の区間"のことを指す。3人で作品を作ろうとなった時に、ここに着目するのか、ともうこの時点ですげー!しか出てこない。推せる(早い)
そしてこの作品、日本ではまだ作られたことのなかったというシェアードユニバース。あの御三方の制作したドラマ「アンナチュラル(2017)」「MIU404(2020)」と世界線を同じくした作品ということで、両方のドラマ大好きな私としてはもう期待しかなかった。
で、公開初日にお休みをとり、観てきたわけなんですがね。オフィシャルブックもインタビューも深読みしないで、とにかくまっさらに近い状態で観たくて、主題歌もしっかり聴かずに劇場へ。
結果、何も情報を入れなくて正解。
事前のイベントで皆さん言われていた"まだ発表されていない出演者"には本当に驚いたし、待ってよビッグすぎる俳優さんじゃないか!!と思わずスクリーンに向かって指さしてしまったよ(恥)
あと出演車!まさかメロンパン号もスクリーンデビューとは思わず、込み上げてくるものがあった。
先に見た人、黙っててくれて本当にありがとう。
ドラマを見てなくても、ラストマイルは楽しめる。しかし、見ていた人には分かる、萌えポイントがいくつか用意されていたのも愛を感じた。
個人的に、MIU404の出演者の登場シーンは沸いた(心の中で)
陣馬さんの登場で涙が自然と流れてきたし
志摩が伊吹を慣れた感じで扱うところに、きちんと4年の歳月を感じた。伊吹の「きゅるっとした」を進言する志摩も、それを信じてあげる桔梗さんも。4年の中で伊吹の「野生の勘」は実績を積んでいたことが分かった。
アンナチュラルもそう。
神倉さんが奮闘していたデンタルデータの電子化が、実現していた。もう!!アツすぎる!
歯のレントゲンのシーン見て歓喜してるの、あの劇場では私ぐらいだった(笑)
また、ドラマ放送の中で、法を犯してしまった勝俣くん(MIU404)、白井くん(アンナチュラル)が、それぞれ警察と配達員(しかもメディカル便!)として社会の一員として登場したのがまた良かった。
桔梗隊長の言葉は、未来に繋がっていた(泣)
いやー続編を望むファンへの最高のアンサーにもなってるじゃん面白すぎる。
(制作陣の意図はそこじゃないかもしれないけど)
そしてしっかり事件の解決にも繋がってるじゃないか両方とも!!んもー!最高すぎる!
本編の話をしよう。
どうしても連続爆破事件と聞き、犯人は誰だ?という視点で見てしまっていたことに気付く。
おかげでまんまと、途中でエレナは爆弾魔になった…みんなそうだよね?笑
脚本演出にまんまとやられたわ
ポチッとすれば届く便利な世の中。あまりにも当たり前になりすぎていたかもしれない。
ちょっと考えれば、想像できたことなのに考えようともしなかった。自分で店舗に買いに行けば、動く人数は最小限になるのか…と帰り道に考えた。行き過ぎた便利は、社会に歪みを生む。私もあの山﨑佑を追い込んだうちの1人。便利な世の中の陰で、命を削ってまで働く人がいる。結果、山﨑 は自らベルトコンベアの動きを止めにいった。稼働率ゼロにするために。
爆破事件は、そこから起きていたと分かり、そのストーリーの作りこみ方に鳥肌が立ち、その頃にはもう声が出ないように口を抑えてスクリーンを観ていた。
「あれはどういうことだったんだろう?」
「あのシーンにはどんな意味を込めたんだろう?」
観た人の数だけ考えが巡り、答えがある。
野木脚本にはこの「余白」があるのがおもしろい。
もう1つ。
佐野親子素敵すぎんか?超泣かされた。
元々働いていた「HINOMOTO」
ひのもと…日の本…日本か!
こんな世の中なんだけどって警鐘鳴らしつつ、それでもなんとか希望を見いだしながら、日本という社会の中で生きること、みたいな矜恃も感じるよね(何度目かの泣き)
洗濯機で泣くとは思わなかったわ。
見終えてからの初見の感想として。まとめ。
物流に焦点を当てた映画ではあったが、見終えた今思うのは、そこに関わる全ての"ひと"の物語だったということ。
誰が犯人とか誰が悪いとかじゃない、社会全体どの所属にもこんな人達がいて、複合した問題を抱えている。ほんの少しの"想像力"で、優しく出来るのに…ってこともたくさんあるよね。知らない、関係ないじゃなくてさ。ドラマの世界とも繋がっていたし、私たちの生活とも繋がってた。世界が繋がる!っていう言葉の意味ね、深いね。
センター長となった、孔の最後の表情、あれは何を思っているのか。視聴者に委ねられたような終わり方。
私たちは映画を見て何を考え、生活の中に戻っていくべきか。大きくて重い荷物を受け取った気分だ。
さて、今からパンフレットとオフィシャルブック読もう。