創作やエッセイ、読書感想など。

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日常に潜む水が、堰を切ってあふれ出す『水たまりで息をする』書評

 何度も息を止めて読んだ。  温かさを感じるのに不吉。共感できるのにどこか決定的に欠落している。読むのが怖い。でも、止められない。  間違えたネジで家具を組み立てているような違和感と戦いながら、一気に読んでしまった小説がこちら、高瀬隼子さんの『水たまりで息をする』(集英社文庫、2024年)だ。  主人公・衣津実は都内で働く36歳の女性。夫との間に子どもはおらず、夫婦で平穏な生活を送っていた。  ある日、夫がこう言って物語は始まる。  風呂キャンセル界隈、という言葉がSN

    • 島根② : 旅の最終日は出雲で | 旅行記

      旅行最終日〜!!! 広島で始まった4泊5日の旅行も、今日で終わり。島根から東京へ陸路で帰ることにしたため、観光はお昼でおしまいの予定。 最後の日、この神在月に出雲大社へ行くぞ! 松江駅からJRと一畑電車で1時間半ほど。イメージより時間かかりますね〜。 昨日は曇のち雨でしたが、今日は朝から晴れ。なんならかなり暑い…。 駅舎がめちゃくちゃ可愛い!!! 昭和5年に建てられたこちらの駅舎は、国の登録文化財だそう。天井のかたちもステンドグラスの光も素敵。 駅を出て歩くこと

      • 広島③島根① : 美味しいもののち美味しいものたち | 旅行記

        広島最終日〜! あっという間だった…今日はお昼で友人と解散し、島根へ行って別の友人と合流する予定。 広島で最後に悔いなく!美味しいものをたくさん飲み、食べた広島旅行。お土産を買ってから、最後に悔いのないようお店をまわりました。 2度目のビールスタンド重富 昨日行ったビールスタンド重富 ekie店に再訪しました。 せっかくなので、昨日も堪能した泡のみのビール・ミルコを。朝イチで飲むのにぴったりの飲みやすさ! 本店はビールのみの提供ですが、なんとここでは同じフロアであ

        • 広島② : 宮島や広島フレンチで幸せに | 旅行記

          旅行2日目、今日も朝から晴天! 気持ちの良い秋晴れは、時間経過とともに「夏の再来…?」と不安になってくる暑さへ。今日は宮島観光のちに広島フレンチのゆっくり予定! 平和記念公園・もとやす桟橋広島在住のご学友に、宮島までの移動は平和記念公園から船で行けると情報をいただき、9:20に桟橋へ。 …!??!?? 目的地の桟橋から続く長い長い列。100人以上はいるであろう人達はほとんどが海外からの観光客です。これは、失敗した…! 案の定、乗船チケットはそこから1時間半後まで売り切

        日常に潜む水が、堰を切ってあふれ出す『水たまりで息をする』書評

        • 島根② : 旅の最終日は出雲で | 旅行記

        • 広島③島根① : 美味しいもののち美味しいものたち | 旅行記

        • 広島② : 宮島や広島フレンチで幸せに | 旅行記

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          広島① : 晴天のもとで | 旅行記

          友達と2人で、広島旅行〜! 行きたいとは思っていたけれど機会がなかった広島。友達が「原爆ドームを見たい」と言ったのをきっかけに、じゃあ、行くか…! とその場で予約を入れました。 金曜日の深夜に到着して1泊し、土曜の朝からめいっぱい遊べるように準備万端に。土日は丸1日楽しみ、月曜日で友達とは解散。私だけ島根へ向かう予定です。 広島も島根も人生初。楽しむぞ〜! 居酒屋で朝ごはんしっかり休んで、ホテルを出たのは9:30。よし。飲むぞ!!! 訪れたのは源蔵本店さん。広島駅近

          広島① : 晴天のもとで | 旅行記

          両家顔合わせ食事会は手作りしないほうがいい | エッセイ

          両家顔合わせ食事会。 そう、それは結婚前に両家が一堂に会して挨拶をし、婚約を確認し合う食事会。初対面の家族が出会い、ぎこちなく会話を交わして親睦を深める。 一般的には1人あたり1万円ほど。よいお店の個室をとり、服装は全員フォーマルで、上座下座があり、切って食べる手土産は避ける。和食なら料亭、多いのはフレンチのフルコース。下見のために一度訪れて、プログラムをつくって、費用は自分たちで……。 うわあああああああああ! 無理だ!!! 転職したばかり、同棲したばかりでお金が

          両家顔合わせ食事会は手作りしないほうがいい | エッセイ

          箱根② : 美術館を巡って | 旅行記

          箱根旅行、2日目にして最終日! 大雨〜〜〜!!!!! 今日はバス移動で美術館巡りの予定。傘は晴雨兼用の小さなもの1本のみ。母親があまりに晴れ女で、一緒に旅行をするときに雨が降ったことが一度もなかったので、完全に油断していました。母親の晴れ女力を過信していた…(晴れ女力?)。 旅館で朝風呂&朝ごはん朝起きてすぐは、昨日の檜風呂とは別の石風呂へ。ここはちょうど2人用ほどの大きさです。雨の日でも綺麗だね〜〜!(やけくそ) 部屋に戻ると、仲居さんが目覚めのお茶を用意してくれて

          箱根② : 美術館を巡って | 旅行記

          箱根① : 仙石原で料亭旅館へ | 旅行記

          9月って、なんか疲れません? 私は疲れました。そして更に疲れているのが、祖父の葬儀からなにもかもやっている母。 よし。こんなときに必要なのは、箱根です。 小田原で海鮮丼 新宿からロマンスカーで1時間半ほど、まずは小田原に到着。 9月中旬と思えない暑さです。海が近いからか風は強いけれど、日差しがとにかく痛い。急いでお目当てのお店へ向かいます。 箱根へ行くのになぜ手前の小田原で降りたのかというと、ランチで行きたいお店があったからです。 駅から2,3分のこちら『サカナキ

          箱根① : 仙石原で料亭旅館へ | 旅行記

          映画『ラストマイル』を観て深夜にモヤッとした話

          映画『ラストマイル』を見ました。 アンナチュラルとMIU404の脚本家・監督がタッグを組み、それぞれの世界線が交差する作品。私はどちらも詳しくないのですが、十分楽しめました! 面白かった。間違いなく、面白かった。 アンナチュラルとMIU404大好き人間に連れていかれたので、特に前情報もなく。でも、倉庫の規模の大きさ、エンドユーザーの手に渡るまでの道のりと関わる人の多さに圧倒され、それぞれの信念や強迫観念、葛藤に胸が潰れそうになった2時間でした。 いやあ面白かったね〜と

          映画『ラストマイル』を観て深夜にモヤッとした話

          はじまりのXYZ | エッセイ

          「XYZは最後のカクテルって言われてる。アルファベットの最後だから」  最後のカクテル、と私は繰り返した。薄暗いバーで、オーナーは続ける。 「最後ってことは、また最初があるってことだろ」  それはたしか、春の気持ちのよい夜のことだった。23時半過ぎ、バーの扉を開くと客は誰もおらず、唯一の店員であるオーナーに私はカウンター席へ促された。 「きらきらした感じのやつ、お願いします」  21歳のめちゃくちゃな注文でも「はいよ」と出してくれる彼は無愛想な50代の韓国人で、不思

          はじまりのXYZ | エッセイ

          愛知③ : 名古屋で最終日 | 旅行記

          本日は旅行最終日。 チェックアウト後すぐに、名古屋へ向かいました。 朝から寿司!!! 向かったのは丸八寿司。 前までは24時間営業だったこのお店、今は朝10時〜朝5時営業だそう。ほぼ、24時間ですがね……。 入るのにちょっと勇気が必要ですが、オープンすぐの時間に行くと20席ほどのカウンターにもう半分ほどのお客さんが。ボロボロの色あせたメニューが壁に窓にびっしりと貼られています。 隣の方が注文していた牡蠣が美味しそうだったので、さっそく注文。 1口大に切ってくれてい

          愛知③ : 名古屋で最終日 | 旅行記

          愛知② : 蒲郡を遊び尽くして | 旅行記

          愛知旅行2日目。西浦で目覚めた朝は…。 うおおお… 朝の海って、本当にいいですね。 海なし県に生まれ育ち、東京に暮らして10年ほど。朝目覚めてすぐに一面の海が見られるというのは、特別な気持ちになります。 豪華な朝ごはんで1日スタート 朝食も、昨日の夕食と同じくお部屋で。 朝食も、豪華〜! 朝からお刺身が食べられるの、嬉しいですね。名産であるアサリのお味噌汁が最高でした。 本当は潮干狩りもしたいけれど、せっかくとれても持って帰るのが難しいので断念。朝食後は展望風呂に入

          愛知② : 蒲郡を遊び尽くして | 旅行記

          愛知① : 西浦で富豪の気分 | 旅行記

          新盆を無事に終えまして、2泊3日の愛知旅行スタートです! 名古屋といったらひつまぶし 味噌煮込みうどん、台湾ラーメン、手羽先、エビフライ…。数多くの名古屋グルメの中で外せないものといったら、そう、ひつまぶし! 名古屋駅に到着し、向かったのはこちら。 新盆の慰労会でもあるので、お疲れ様ということで。瓶ビールで乾杯です。 白焼きは脂たっぷりジューシーで、山葵がよく合います。肝焼きは結構苦めで、ビールとぴったり。う巻きは卵の部分からじゅわ〜っと出汁があふれて優しいお味でし

          愛知① : 西浦で富豪の気分 | 旅行記

          お盆を終えて | エッセイ

          5月に祖父を亡くしてから3ヶ月、新盆をあらかた終えました。大変だったけれど、学びは多かったので自分の記録として残しておきます。 (祖父を亡くしたときのエッセイは以下) とにかく、ドタバタしてたら終わりました...。事故で亡くなったこともあり、誰ひとりとして予期できなかった今回。入院経験なし、持病なし、毎日しっかりごはんを食べ(新卒社会人男性くらい)、目と耳は悪くなってきたけれど認知症の気配もなく。 私の母がずっと一緒に住んで身の回りのことをしてくれていたので、どこかで安心

          お盆を終えて | エッセイ

          日記 夫婦のこととか

          朝起きたら、熱帯魚がいなかった。 オレンジ色で人懐っこいレッドグラミー。水槽を覗いて数秒、そうだ、深夜に埋めたんだったと思い出した。容態が急変して2日、静かに彼女は息を引き取った。もう会えない。 たかが魚、と言う人もいる。 そういう人は、祖父が亡くなったときも「そのくらいで」と鼻で笑った。私の痛みは私の痛みだ、そう分かっていても、あいまいに笑い返すたびすこし胸が詰まる。 空の水槽を撫でて、弱りながらも健気に私のほうへ寄ってきてくれた姿を思い出す。最後の日、ずっとそばにいら

          日記 夫婦のこととか

          赤い宝石 | 小説

           赤、青、白、黄色のチカチカと点滅するネオン。見たことのない漢字がずらりと並ぶ屋台の看板と、あらゆるところから響いてくる聞き取れない言葉たち。怒鳴り声や笑い声、嗅いだことのない甘いような苦いような匂い。中国・彭浦新村の夜市の入口で、あの日のあなたはお父さんの手をぎゅっと握る。  夜九時を過ぎた夜市は、所狭しと立ち並ぶ屋台の電球が煌々とあたりを照らしている。こんな時間に外を出歩くのは、小学生のあなたには生まれて初めての経験だった。どこからか立ち上っている香ばしい匂いの煙や屋台

          赤い宝石 | 小説