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発売本・自主企画

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嶋田秋の名義で出した本や、参加したアンソロジー企画の紹介・小説掲載、自主企画の報告
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母の手をはなれて | 小説『想いを結わう』収録

母の手をはなれて | 小説『想いを結わう』収録

 お手本のような秋晴れだった。

 私は手を借りてタクシーからゆっくりと降りる。雲ひとつない空のもとで、ひやりとした風が頬をかすめた。赤く染まり始めた葉が日の光にあたってきらきらと光っている。
 朝九時とはいえ、浅草はもう観光客で賑わっている。何人かが私たちに気づいて、遠くから写真を撮っているのが見えた。

「ゆっくりで大丈夫ですからね」

 付き添いの女性に声をかけられ、はい、と返事をしてそろそ

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第4回文芸実践会・小説「悔しいことがあった日の帰り道」 | 活動報告

第4回文芸実践会・小説「悔しいことがあった日の帰り道」 | 活動報告

第4回となる今回は、京都芸術大学通信・文芸コース主任の川崎昌平先生をゲストとしてお迎えしました。

事前に提出された10作品を皆で批評し、最後に本人が作品の意図について説明をします。今回のテーマは「悔しいことがあった日の帰り道」で、小説の起承転結の「起」部分のみ800~1000文字です。
企画と司会・進行は川辺せいさん。田村さんの作品は諸事情により非公開です。

まなつのぼうれい川辺:冒頭の「頼む

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第3回文芸実践会・短歌:テーマ「砂」 | 活動報告

第3回文芸実践会・短歌:テーマ「砂」 | 活動報告

第3回目となる今回はなんと、京都芸術大学・通信で「短歌と俳句」の講師を担当していらっしゃる中沢直人先生をゲストとしてお迎えしました。

事前に提出された14首を皆で批評し、最後に本人が作品の意図について説明をします。今回のテーマは「砂」で、詠み込み必須です。

音の渦、まばゆい笑顔はおまじない きみは磁石、わたしは砂鉄田村:下の句がおもしろい。きみに吸い寄せられる、惹かれているように思ったので恋愛

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第2回文芸実践会・漢詩和訳「雨夜」 | 活動報告

第2回文芸実践会・漢詩和訳「雨夜」 | 活動報告

第1回・短歌に続き、今回は詩の会を開催しました。同じ漢詩の和訳を皆で行うことで、各人による訳の違いを楽しみ、自身の表現の幅を広げることが目的です。

事前に提出された9つの詩を批評し合い、最後に本人が作品の意図について説明をします。
(↓漢詩和訳とは)

原詩について今回、和訳を行った漢詩(原詩)はこちら。
明代に活躍した詩人・何景明(1484~1522)の五言律詩である、『雨夜』という作品です。

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第1回文芸実践会・短歌:テーマ「時計」 | 活動報告

第1回文芸実践会・短歌:テーマ「時計」 | 活動報告

今回は記念すべき第1回として、本校3回生であり歌人でもある田村穂隆さんの企画・進行のもと、短歌の歌会を開催しました。

事前に提出いただいた11首をメンバーが批評し、本人が作品の意図について説明をします。今回のテーマは「時計」です。

閃光で時計止まりし葉月かな 止まぬ戦火に鶴折り祈る是酔:原爆の歌とすぐに分かったが余韻があり、怖さを感じない。読み手の優しい人柄が滲み出ている。<止まる時計>と<止

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狐の好物 『あの日の思い出』収録  |  小説

狐の好物 『あの日の思い出』収録 | 小説

『瓜生山の本屋さん』のみんなで作るアンソロジーより「あの日の思い出」「いつか見た夢」が発売されました!
こちらは、文芸表現学科と情報デザイン学科の2人の学生さんに企画・制作いただいたもの。私含め、有志の京都芸術大学の通学生・通信生24名が参加しました。

今年の文化祭、大瓜生山祭のアイデアバザールにて販売され、無事に完売したとのことです(一般販売は未定だそう)。

素敵な表紙のイラストはさとざき幸

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