マガジンのカバー画像

エッセイ

18
私のこと、日常のこと
運営しているクリエイター

記事一覧

1年まとめ | エッセイ

1年まとめ | エッセイ

 2023年度も終わり。
 大学入学を始め、さまざまなことがあった1年でした。せっかくなので、振り返ってみます。

大学にて 2023年の4月、京都芸術大学の文芸コースに3年次編入しました。もっと文章を書けるように、読めるようになりたくて。
 試験もない通信制の大学、ちゃんと学べるの? 友達はできる? 不安もいっぱいでしたが、幸運にも友人や先生方にも恵まれ楽しい学生生活を過ごしました。何事も自分か

もっとみる
第3回文芸実践会・短歌:テーマ「砂」 | 活動報告

第3回文芸実践会・短歌:テーマ「砂」 | 活動報告

第3回目となる今回はなんと、京都芸術大学・通信で「短歌と俳句」の講師を担当していらっしゃる中沢直人先生をゲストとしてお迎えしました。

事前に提出された14首を皆で批評し、最後に本人が作品の意図について説明をします。今回のテーマは「砂」で、詠み込み必須です。

音の渦、まばゆい笑顔はおまじない きみは磁石、わたしは砂鉄田村:下の句がおもしろい。きみに吸い寄せられる、惹かれているように思ったので恋愛

もっとみる
書道と夫  |  エッセイ

書道と夫 | エッセイ

 真白な紙に、黒がすぅっと走る。

 伸びやかな線が踊り、三十秒ほどで一文字が作られた。べったりとした墨が筆を通すと途端に軽やかな文字になる様子は、いつ見ても不思議な気持ちになる。
 まあ、読めないのだが。

「それ、なんて読むの」
「秋」

 私の質問に答えながら夫はもう次の字を書いている。
 ぐっぐっと筆に力を込めてゆっくり書いているのに、滲むこともぶれることもないのはなぜだろう。私が習字をす

もっとみる
日記と短歌と俳句と

日記と短歌と俳句と

忙しかった年末年始がやっと落ち着きました。

あけましておめでとうございます、というには少し躊躇う日にちと、心配なニュースの数々ではありますが。

ふりかえりを兼ねて。
去年最後の授業だった『短歌と俳句』から、自分が提出したものをこちらに載せたいと思います。
自分の去年1年を表すような短歌と俳句になったので、備忘録をかねて日記のようなかたちで記します。

まずは短歌。

この短歌は、2023年に出

もっとみる
第2回文芸実践会・漢詩和訳「雨夜」 | 活動報告

第2回文芸実践会・漢詩和訳「雨夜」 | 活動報告

第1回・短歌に続き、今回は詩の会を開催しました。同じ漢詩の和訳を皆で行うことで、各人による訳の違いを楽しみ、自身の表現の幅を広げることが目的です。

事前に提出された9つの詩を批評し合い、最後に本人が作品の意図について説明をします。
(↓漢詩和訳とは)

原詩について今回、和訳を行った漢詩(原詩)はこちら。
明代に活躍した詩人・何景明(1484~1522)の五言律詩である、『雨夜』という作品です。

もっとみる
勉強をすること、悔しいということ  |  エッセイ

勉強をすること、悔しいということ | エッセイ

悔しい、と思うことがなかった。

2歳から習っていたピアノも、中学のときに部活動で担当していたサックスも、勉強もテストも入試も就職も、1度として「悔しい」と思ったことがなく、また自分の選択や結果に対して「後悔」することもなかった。凪のような人生だった。

常に1番だったわけではない。
ほどほどの努力をしてほどほどの結果が出ればそれで私は満足だった。自分より上の人がいれば素直に祝福し、自分と比べるこ

もっとみる
親友について  |  エッセイ

親友について | エッセイ

 親友がいる。

 目は大きく鼻は高く派手で綺麗な顔立ち、すらりと長身、頭脳明晰な1つ年上の女性だ。高校1年生の時に出会ったため、付き合いはそろそろ13年目になる。去年の私の結婚式では披露宴の司会という大役を引き受けてくれた。そんな彼女のことが、彼女と出会ったころの私は心底苦手だった。

 高校のころ、彼女はプライドが高かった。すべて自分が1番でないと気が済まず、気に入らないことがあればすぐに言い

もっとみる
食べることが苦手という話  |  エッセイ

食べることが苦手という話 | エッセイ

食べることが苦手だ。

それを打ち明けると、だいたいの人からは冗談だと思われてしまう。
私はよく料理をするほうで、毎日土鍋でお米を炊いているし厚さを見て微調整をしながら完璧にステーキを焼くこともできる。
外食も大好きで、休日の私のSNSにはスイーツや高価なコース料理の一部始終が並ぶ。

それでも私は、ほかの人のようにきちんと食事をすることが苦手だ。まったく食べない日もあるし、飲み会の途中で固形物が

もっとみる
漢詩和訳の世界  |  エッセイ・本紹介

漢詩和訳の世界 | エッセイ・本紹介

「漢詩」と聞いて、なにを思い浮かべますか?

私は、中学校の国語の授業や大学入試などで扱われた漢文を思い出します。
難読漢字ばかりで、レ点などの訓読文から書き下し文にする作業で終わり。直訳を読んでもなにを言っているかよくわからないけれど、なんとなく漢字から意味を繋いで内容を理解していた気でいました。

「詩」であるにもかかわらず、リズム感や言葉の繰り返し、韻や広がっていく情景などの「詩の良さ」につ

もっとみる
贅沢な誕生日  |  エッセイ

贅沢な誕生日 | エッセイ

友人の誕生日のお祝いは、なかなか難しい。

付き合いが長くなればなるほどもう物はあげつくしてしまっているし、良かれと思って選んでも反応から好みでなかったことはわかってしまう。

一緒に買い物に行って選んでもらうのもよいけれど、遠慮して安いものを選ばれてしまうのが常だ。サプライズが嫌いな子も多いし、そもそも20代後半だと誕生日のお祝いをされたいかどうかも怪しくなってくる。

そんな悩みからの試行錯誤

もっとみる
第1回文芸実践会・短歌:テーマ「時計」 | 活動報告

第1回文芸実践会・短歌:テーマ「時計」 | 活動報告

今回は記念すべき第1回として、本校3回生であり歌人でもある田村穂隆さんの企画・進行のもと、短歌の歌会を開催しました。

事前に提出いただいた11首をメンバーが批評し、本人が作品の意図について説明をします。今回のテーマは「時計」です。

閃光で時計止まりし葉月かな 止まぬ戦火に鶴折り祈る是酔:原爆の歌とすぐに分かったが余韻があり、怖さを感じない。読み手の優しい人柄が滲み出ている。<止まる時計>と<止

もっとみる
今日はいい夫婦の日らしいよ  |  エッセイ・本紹介

今日はいい夫婦の日らしいよ | エッセイ・本紹介

今日、11月22日はいい夫婦の日らしい。

21日の昨日はイーブイの日だったらしいので、語呂合わせが好きなだけじゃんとは思うけれど。さすがに覚えやすいからか、この日に実際に入籍する人も多いと聞きますね。

そういえば同僚も、今日入籍予定だった気が。結婚指輪の相談をされて、私たちが選んだハンドメイドのお店を紹介したらそのままそこに決定していました。写真を見せてもらったら、私の薬指のものとそこそこ似て

もっとみる
あの日から1年、私たちは。  |  エッセイ

あの日から1年、私たちは。 | エッセイ

結婚式を挙げてから、今日で1年が経った。

笑ってしまうくらいにあっという間の1年だった。大学に入って、仕事も忙しくなって。理由は様々あるけれど、どんな方面も満ち足りた1年だったと思う。

本当は、結婚式はしないつもりだった。
私も夫も主役になるのが苦手で、皆にお金を使わせるのも気が重かった。それでもやるか、と決行した、そんな式だった。

11月の秋晴れは風が冷たく、でも日差しは刺すように鋭かった

もっとみる
義妹の結婚式にて  |  エッセイ

義妹の結婚式にて | エッセイ

東京は曇り。じめじめとしていて蒸し暑い。
おろしたての緑のドレスにジャケットを羽織り、パールのネックレスをつける。普段しない格好と8cmのピンヒールに、自然と背筋が伸びた。

軽井沢は東京から約1時間。寝過ごしたら金沢だよとお互いを見張りながら、夫と長野新幹線に揺られる。朝6時起床なのでふたりともあくびが止まらない。道中、深い霧は途中から激しい雨へと変わった。せめて昼前には止むといいのだけれど。

もっとみる