和煦

NovelJam’ [dash] 2019 著者参加:ポートフォリオ

NovelJam’ [dash] 2019 著者参加となりました。嬉しいです。

今回は著者としてアピールすべく、ポートフォリオを作成しました。

◆noveldays

全部9月に書きました。

テーマ:【嘘】, リベンジ, 茨城県
狂った歯車(4,103文字)
https://novel.daysneo.com/works/616347e022889a583417baff972f9c6a.ht

もっとみる
スパイスマジックカルカッタ南口のドーサもおいしいです
27

桜の願い

私が福島を離れる数年前、家族と福島の花どころを巡る旅をした。例えば、須賀川の牡丹園、平田村の芝桜、双葉のバラ園、夜ノ森の桜。

どの場所も印象深いが、特に記憶に残っているのは、夜ノ森の桜だ。

夜ノ森の桜は、人々の暮らしの中にあった。街の中に桜の木々が立ち並び、淡く色づく花びらが、優しげに彩りを添える。

人出の賑わいの只中でも、和煦の昼下がりはどこかのどかに。

日が傾き、辺りが夕闇の色をまとい

もっとみる

それはこんな暖かな日だった。

函館空港へ飛び立つのは、これで五回目だ。

五年前に学校を卒業したあと、私たちは物理的に疎遠になった。毎日顔を合わせていたあの頃と比べて会う頻度はずいぶんと減ったけれど、関係は変わらず続いている。

そういうわけで今年もまた会いに行くけれど、北国の春は寒い。向こうへ着いたらまずスーツケースからコートを出すことになるだろう。マフラーも必要かもしれない。

けれど、そんな日もこれで最後だ。

今日、自

もっとみる
励みになります
4

和煦

春が煙る。
どこからか大道芸の音楽が聴こえてきて、人々はみな、笑っている。
美術館と博物館、そのあいだを桜が一面、ぶわあと風を受けて舞う。
すべてが青空の下でゆらゆらとしあわせそうに溶けてしまって、これは現実なのだろうか。

受験番号を記した紙を右手にきゅっと握りしめて、リュックを背負いなおす。
決戦のときは制服で歩いた、冬の枯れ木道。
今はむせかえるような生命と新しい季節を讃える上野公園。

もっとみる
ありがとうございます!お礼に、うちの庭のバラを。
15

『待ち合わせの心は踊る』 #旅する日本語

春の日の暖かなことを漢字2文字で和煦と言いまして、読むのも書くのも難しいんですけれど、なんせ“客席が沸く”と言って縁起が良い。

ワクと言えば窓枠ってのが私の席のすぐ横にあって、自分で言うのもなんですが、窓際族って言われる私だからこそ見える景色があるんです。

毎年恒例の社内行事に「春のお花見」があって、阪急苦楽園口を出てすぐの夙川沿いで、満開の桜を見ながら酒を酌み交わします。

3時間も経つと、

もっとみる
スキ、ありがとうございます♪
34

春の日、2駅の旅に出た

そうだ、桜を見に行こう。

転入手続きを終えて区役所を出ようとしたとき、思いついた。入り口に桜の名所の地図があったのだ。

一人暮らしを始めたばかりの街から2駅。地図を頼りに行ったそこは、広い公園だった。

白っぽいモコモコした桜は満開で、その華やかな光景に圧倒される。

初めて見るソメイヨシノだった。私が生まれ育った北の街では、桜といえばエゾザクラ。細い枝にぽつりぽつりと花が咲く儚げな姿こそが、

もっとみる
こんなんでも生きてます
34