もつにこみ

穏やかな日常を素直に書く”平熱”のエッセイスト。モンブランが好き。妻と子(9歳・4歳・…

もつにこみ

穏やかな日常を素直に書く”平熱”のエッセイスト。モンブランが好き。妻と子(9歳・4歳・1歳)。引越業→地方公務員(市役所)。読むより書く側の人間。

マガジン

  • 創作大賞2024【応募作品・読みたい作品・創作大賞感想】

    創作大賞2024に応募した作品、読みたい作品、感想文を収録しています。

  • もつと旅

    旅の記録をつらつらと。毎週月曜日に更新しています。 早く行くならひとりで行け、遠くへ行くならみんなで行け。 (異国のことわざ) 投稿についているサムネイルは、infocusさんによる作品です。

  • うれしい記事のマガジン

    敬愛するみなさんの記事に、僕の記事を引用していただきありがとうございます! (2021年3月にマガジン作りました) ほんとうに素晴らしいクリエイターさんばかりなので、よろしければぜひ読んでみてくださいな。

  • 使ってくれてありがとう!

    みんなのフォトギャラリーから、僕の写真を選んでくださったクリエイターさんの記事を載せています。ありがとうの気持ちをこめて。

  • 『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン

    • 4,144本

    メンバーシップ『エッセイのまち』の仲間が見つけたステキなエッセイを保存しています。メンバーの方は、他の方、もしくはご自身のエッセイを自由に追加してください。(エッセイ以外は掲示板の方にお願いします)。どなたがマガジンに追加してくださったのか気になる方は、ともきちまでお問い合わせください。

最近の記事

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市役所壁画 1

1.市役所にある壁画 2022年 絵画教室の先生 「せんせー!描けたよー!」 「せんせー、みてみて!」 今日も教室には子どもたちの声が響く。 教室といっても広くはない。自宅の一角、もともとアトリエだったところを開放して、週末に子どもたちのための絵画教室を行っている。 「はいはい、あら、きれいな色で塗ったねー!」 「すてきな絵を描くのねー」 褒め上手だなんてよく言われるけれど、これは私の本心から出る言葉。子どもだからって、何もできないわけじゃない。いまこの時にしか描け

    • 電車に乗れるよ

      こんなことで⁉︎と思われるかもしれませんが、子どもたちの成長した姿を見た気持ちになったので、わざわざ書いておきたくて書きはじめました。 電車で移動ができるようになった、のです。 我が家は現在、車を持っていて旅行や実家への移動の多くはその車を使用しています。でも、その車は二番目の子が生まれるのをきっかけに買ったので、上の子は電車移動は何度も経験していましたし、新幹線にも何度か乗っていました。 しかし、二番目の子はほとんど車移動でした。折りあしく、感染症が広がっている時期で

      • 60分かかります #創作大賞感想

        「えー、うどん苦手ー。」 上の子が、まだ幼い頃に言った。こんなに食べやすくて、甘じょっぱい麺類、なんで苦手?と思ったが、そもそも離乳食でも与えていないし、食卓にもほとんど上らなかった。 僕が好きで、駅やら出先で食べていただけで、子も食べていると勘違いしていた。(妻もうどんが苦手なので、一緒に食べたことがほとんどなかった) そんな子が、最近「待ってもいいから、うどんがいい」と言う。待ってもいいとは、うどんの調理時間なのだけれど、レシピ通りに作ると、それは60分だった。

        • 100文字の世界

          100文字しかないか100文字もあるか、きっちり100文字で書く。 残したい瞬間を写真のように。 覚えておきたい時間を映像のように。 読み始めたら、すぐに読み終わってしまう世界。(タイトルは文字数に含まず) 子どもと100文字 衷心より申し上げる 抱っこ紐で抱えたままスマホを見つめる 目が合わないから不機嫌になってきた子 手が伸びて顔を引っかかれるかも しかし伸ばした先はスマホのケース 手のひらで持ち上げパタンと閉じた 子と僕の視線が交わって曰く おちまい

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        市役所壁画 1

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          1000むすび・縁むすび #創作大賞感想

          おむすびが三角形なのには、色々な説があるが、そのひとつに山の形、山岳信仰から来ているという説がある。古来、神は山に宿る(天から山に降りる)とされており、その山の形に倣って三角に結んでいるらしい。神と結びつきたいという思いから”おむすび”という名がついたとも言われている。 そのおむすび、1,000個食べるには、一体どのくらいかかるだろう。平日の昼ごはんに2個として、1週間で10個、1年50週で500個。およそ2年かかる計算になる。コンビニ以外のおむすび専門店で、となると、結構

          1000むすび・縁むすび #創作大賞感想

          市役所壁画 4 【最終話】

          第1話はこちら   第3話はこちら 4.完成した壁画と30年後の発見 1993年 川崎市役所職員 第三庁舎に、猪熊さんの制作した壁画のパネルが運び込まれる日が近づいていた。壁画全体がかなり大きいため、11枚並べた列を5段に重ねた55枚のパネルで構成されている。作品は完成したと、事務局からの連絡も受けていた。 第三庁舎の建物は、すでに春に外装は完成し、その高さで周囲の建物を圧倒していた。銀色や灰色のようなメタリックな色味の、細長いフォルムは、近代的で新しさを感じさせた。

          市役所壁画 4 【最終話】

          仕事柄、お伝えしたいこと

          公務員として、市役所で働いています。公務員ってどんな仕事してるのか、仕事で見つけた気づきなど、生活に役立つこと、仕事柄、お伝えしておきたいことをまとめました。(仕事にまつわる過去のエッセイをまとめました) 家を探すときに家を探すときに、優先順位が低いけれど、とても大切だと思っていることを書いておきます。 それは、公園です。 仕事がら、公共の場がいかに大切か、毎日の体験とともに多くの人に伝えたいと思っているので、少し書いてみます。公園は、当たり前のようにそこらにある割には

          仕事柄、お伝えしたいこと

          発音 #毎週ショートショートnote

          「続いてのニュースは、地域の話題です。明日、海のピを迎える茅ヶ崎市の海岸では…」 …やってしまった。いくらなんでも、こんな噛み方をするなんて。さらっと流したから、視聴者にはバレていないかもしれないけれど、プロとしてどうなの。 ーー 翌日 ーー 「おはようございます。7月15日月曜日、海のピです。」 「そらタロー、海のピの天気はどうかなぁ〜?」 「海のピの今日、高速道路は混雑が見込まれています…」 「本日の中継は、海のピ本番を迎えた、江ノ島の海岸です!」 ……いや

          発音 #毎週ショートショートnote

          市役所壁画 3

          第1話はこちら第2話はこちら 3.新しい庁舎 1988年 川崎市役所職員 「川崎市助役へ一億円の利益供与疑惑」 朝日新聞のその見出しに、市民にも職員にも激震が走った。助役が未公開株の供与を受け巨額の利益を得ていたというスクープ記事だった。かわさきテクノピア計画の一端である、幸区堀川町地区の開発にあたり、民間企業に便宜を図ったとの報道であった。 当初は、自治体幹部と民間企業の贈収賄事件として報じられたものの、次第に疑惑は広がり、首相経験者を含む政治家たちが紙面を騒がせ

          市役所壁画 3

          探し物はなんですか #創作大賞感想

          我が家を買うにあたり、とある神社に何度か通っていたことがあった。家探しは、住むまち探しであり、物件の周囲の施設、住人、雰囲気も含めて、何かと気になることがあるものだ。 あるとき、その神社のあるまちにも、候補物件があって、いま買わなければすぐに予約が入る、という常套句に慌てた僕たちは、おみくじを引いた。 転居 「いそぐな」 単なるくじ、されどおみくじ。我々は素直にその言葉に従って、その物件を諦め、もう一度地元から見直した。 1か月ほど経って、毎朝の通勤経路沿いにあり、予

          探し物はなんですか #創作大賞感想

          あなたの住む土地のはなしをしよう #書もつ

          タイトルを見て、さてどんなエッセイなのだろうと考えた。帯には「地名から喚起され、想起された世界を描くエッセイ集」とあった。筆者の名前は見かけたことがあるし、この筆者の描いた小説を原作にした映画も観たことがあった。 趣味の旅を楽しむエッセイなのかな?と思って読み始めたけれど、全く違っていた。地名について、掘り下げつつ、旅を楽しんでいる様子がある。掘り下げ方が、相当深い。まるで調査報告のようだ。 風と双眼鏡、膝掛け毛布 梨木香歩 塩の道、というものが古くから発達していたらし

          あなたの住む土地のはなしをしよう #書もつ

          市役所壁画 2

          第1話はこちら       第3話はこちら 2.画家と弟子 1938年 猪熊弦一郎 フランスの南東にある街ニースに、彼がいると知ってからどれだけの月日を過ごしたのだろう。 今日、ようやく念願叶って彼に会うことができる。緊張と興奮で、子どものように夜も寝られなかった。30歳を過ぎて、ようやくフランスに出て来て、毎日が夢のように過ぎていく。 雑誌や誰かの作品で見ていたフランスの街並みは、やはり自分の目で見ると全く異なったものになる。 日本とは違った気風の面々にも、当初は

          市役所壁画 2

          舞台袖、それとも客席 #創作大賞感想

          本を読んでいると、目の前にある文章が頭の中で映像になって動き出したり、周りの音が聞こえなくなったり、自分が何をしているのかさえわからなくなることがある。 それが、没入である。 僕の場合、本だけでなく、それは観劇のような機会にも起きる。目の前の舞台を観ているだけなのに、いつのまにか物語の世界に入り込み、傍観しているような気分になる。 何度も同じ演目を観ているのに、演者によって少し解釈が変わったり、より世界観が増長されるような演技や歌にハッとしたり。 でも、ハッとしても、

          舞台袖、それとも客席 #創作大賞感想

          きっとあること

          昨日、ある方の投稿を読んで、驚いたと同時に、きっとみんないつかはあるよね、と妙に納得してしまった。 毎日投稿していたり、noteの街に毎日顔を出していると、いつのまにか会えなくなってしまったり、挨拶をされて卒業していく方を見送ることが多い。 noteはSNSだけれど、特に書いている人ならば、ほかのSNSとは違うと感じている人も多いかも知れない。とにかく時間がかかる。書くのも読むのも、自分の人生の時間を切り分けている感覚になる。 だから、ある意味ではトレードオフする存在が

          きっとあること

          暑い日のミュージアム

          暑い日を過ごすのに最適な公共施設といえば、図書館や美術館などがあります。先日、子どもたちの習い事もなくぽっかりと空いた休日に、美術館に行きました。夏休み期間になると、子ども向けの企画をしていたりするものですが、今回は通常営業の週末でした。 図書館にも行ったことがありましたが、まだ1歳の子は動きたいし、4歳児は本を読んでほしいし、9歳児は自由に読みたい…それぞれの思惑が違うため、家族で動けないのでした。 たいてい美術館では、企画展と常設展示を行っています。企画展は入場料が必

          暑い日のミュージアム

          授業参観 #創作大賞感想

          以前、赤ちゃんの脳を研究している先生のお話を伺った時、読み聞かせは0歳から3歳の子にとても有効で、言葉や表情、色の概念を理解するのに役立つと聞いたことがある。 そんなこともあって、一番上の子には読み聞かせを毎日していた。しかし、二人目となるとどうか、さらに3人目には…と考えていくと、同じようにできていないことに気がついてしまった。 それぞれの子の成長の度合いは違う。親も子たちに同じものを与えているわけではないのだから、そりゃそうか、なんて思う。子どもたちには、もっと読んで

          授業参観 #創作大賞感想