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アルゼンチンの桜

「元気のでる色」。 アルゼンチンで還暦を迎えた母はそう言って、 鮮やかなピンクとレモンイエローの毛糸を刺繍針で刺した。 その刺繍は「ボルダド」といって、アルゼンチンの家庭で親しまれている。 目が覚めるほど強いエネルギーを放つ、カラフルな花柄の模様。 毛糸は刺繍台の上でぷっくり膨らんで、つい触りたくなる。 アルゼンチンでは桜が咲かないから、母は、 日本の家族や友人から送られた写真を集めて、 スライドショーを作ったという。 中目黒から、大阪の長居公園、三重の赤目の滝、福島の石

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