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読書や詩作、武術、芸術を通じて強さや美しさ、愉しさを探求しています。強く影響を受けた人…

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読書や詩作、武術、芸術を通じて強さや美しさ、愉しさを探求しています。強く影響を受けた人物は桜井章一、執行草舟、成瀬雅春、野口晴哉、狩撫麻礼。 https://twitter.com/kmbxd991

最近の記事

令和6年6月読書③

『永田鉄山~昭和陸軍「運命の男」』 早坂隆 (2015/06) 文藝春秋 「陸軍の至宝」「永田の後に永田なし」とまで言われ、日本陸軍史上最高のエリートであった永田鉄山の評伝。 「東條ではなく、この男だったら太平洋戦争は止められた」と言われるほどの能力、そして人望もあり(後輩である東条英機もも慕われていた!)、軍の要職についていた永田であったが、ある日、陸軍中佐、相沢三郎に襲われ、斬殺される。 本書では、その事件の背景にあったものが、永田生涯を通じ、記されており、当時の軍

    • 令和6年6月読書②

      『幕末 戦慄の絆 ~和宮と有栖川熾仁、そして出口王仁三郎』 加治将一 (2016/04) 祥伝社文庫 副題の「和宮と有栖川熾仁、そして出口王仁三郎」がなんともそそり、買ってしまった。 明治維新最大の禁忌、明治天皇すり替え説。 孝明天皇暗殺があったことは多くの識者が語ることから、史実であろうことは理解しているのだが、その息子である明治天皇まで暗殺され、すり替えられたか否かまではまだ、判断することはできないでいる。 本書はすり替え説を採択していた歴史ミステリー。物語として

      • 令和6年6月読書

        『昭和 写真家が捉えた時代の一瞬』 クレヴィス(2013/10) 木村伊兵衛や土門拳など、昭和を代表する名カメたちによる昭和を生きた日本人の暮らしを収めた192点が収載。現代と比較し、写真が重い。そして、昭和を生きた人々の陰影が濃ゆい。 目次 1 戦前―束の間の平穏なとき 2 戦時下の日本 3 敗戦から占領時代 4 復興への道をたどる 5 政治の季節 6 村の暮らしと人々 7 大衆消費社会の到来 8 所得倍増計画 9 昭和元禄 特に42~43Pに写る戦災孤児たちの姿が

        • 疫病2020・医師が教える新型コロナワクチンの正体

          『疫病2020』門田隆将 産経新聞出版(2020/06) 『医師が教える新型コロナワクチンの正体』内海聡 ユサブル(2021/06発売) 両書ともにコロナ騒動の最中に出版され、もう数年が過ぎ去っている。 当時の喧騒は現在、もう、なかったかのようでもあり、あらためて検証を行う人の少なさに辟易もするが、振り返るうえでも、ひさびさに紐解いてみた。 両書ともに共通するのはテレビや大手マスコミでは報道されない不都合な事実であり、長年、ジャーナリストして丹念な取材を積み重ねた門田隆将

        令和6年6月読書③

          言語の本質

          『言語の本質』~ことばはどう生まれ、進化したか  今井むつみ/秋田喜美 著 中央公論新社 (2023/5) 「本屋大賞」ではなく、「新書大賞」なるものが存在することを最近知った。 各年1年間に発行された新書の中から、書店員、書評家、各社新書編集部、新聞記者にオススメの新書を挙げてもらい、全員の得点を合計して、1位から20位までの順位を決め、1位の作品がその年の大賞となるとのことで、2008年に設立されており、出来てからすでに10年以上も経過している。 その2024年度の

          言語の本質

          世界で一番わかりやすい おいしいお酒の選び方

          『世界で一番わかりやすい おいしいお酒の選び方』 山口直樹  ディスカヴァー・トゥエンティワン (2016/07) ソムリエであり、バーテンダーである著者が旨い酒の選び方を教えてくれるのが本書。 といっても、すべての酒類ではなく、本書では「ワイン」「日本酒」「カクテル」の3種類に絞って紹介されていた。 カクテル、ワインは普段それほど飲まないので、参考になったが、ほぼ、毎日飲んでいる日本酒の選び方は著者と同じであった。 最近、買い替えを行った冷蔵庫では一升瓶が冷やせる収

          世界で一番わかりやすい おいしいお酒の選び方

          アメリカ人だから言えた戦後日本教育の不都合な真実

          『アメリカ人だから言えた戦後日本教育の不都合な真実』 ケント・ギルバート  (2018/07) イースト・プレス 目次 第1章 リベラルに翻弄された戦後日本教育の正体 第2章 日本では教えられない「国際社会の常識」 第3章 消去された日本人の「自尊心」 第4章 中国人と韓国人が嫉妬する日本人ヒーロー 第5章 日本人が「本来の強さ」を取り戻すために 終章 自立心を持った人間を育てる「七カ条」 こういった親日家の含蓄のある言葉に日本人はもっと耳を傾けなければならないと改めて

          アメリカ人だから言えた戦後日本教育の不都合な真実

          中流危機

          『中流危機』NHKスペシャル取材班 2023/08刊 講談社現代新書  【プロローグ】稼げなくなった中間層 第1部 中流危機の衝撃 第1章 幻想だった中流の生活 第2章 夢を失い始めた若者たち 第3章 追い詰められる日本企業 第4章 非正規雇用 負のスパイラルはなぜ始まったのか 第2部 中流再生のための処方箋 第5章 デジタルイノベーションを生み出せ 第6章 リスキリングのすすめ 第7章 リスキリング先進国ドイツに学ぶ 第8章 試行錯誤 日本のリスキリング最新事情

          ヤマトタケルの日本史

          『ヤマトタケルの日本史』 井上章一 中央公論新社  本書、表紙がまず、よかった。 青木繁の「日本武尊」の油彩画とクリムトの「ユディット」そして、牛若丸の挿絵から成っていた。 副題には「女になった英雄たち」とあり、ヤマトタケルをはじめ、源義経、そして、南総里見八犬伝の犬坂毛野ら、女装エピソードのあった日本を代表する英雄たちについての論考が本書ではまとめられていた。 以下、目次となるが、海外ではジャンヌダルクに代表される男装のヒロインはあっても、その逆の女装のヒーローはほと

          ヤマトタケルの日本史

          青い煮凝り

          『青い煮凝り』 エドワード・ゴーリー 河出書房新社 (2024.04) アメリカの絵本作家、エドワード・ゴーリーの日本語版最新刊をゲット。 オペラ界の歌姫カヴィッリアと、その熱狂的ファンの男、ジャスパーの悲しい愛の物語。 本書カバーには「台本もスコアもないままに報われない愛の悲劇を描いたオペラ本」を記されていたが、ほんと、その通りだよ。 「青い煮凝り」の意味は最後まで意味不明であり、不穏さと不気味さに満ち溢れた安定のゴーリー節で、今後もまだ、日本語版が出版されていないゴ

          青い煮凝り

          チリンのすず

          『チリンのすず』 やなせたかし フレーベル館(1978/10) アンパンマンの作者、やなせたかしの絵本の最高傑作ではなかろうか。 子羊、チリンの成長の物語であるのだが、やがて、チリンの師となる狼のウォーとの関係がなんとも切ない。 また、成長したチリンの姿も。 アンパンマンと同時に子供たちに読み聞かせたい物語であった。 『さよならジャンボ』 やなせたかし フレーベル館(1987/03) 「チリンのすず」と同時に読んでいたのが本書。 こちらはやなせたかしの予言の書ではなかろ

          チリンのすず

          ライフライン

          『ライフライン:ネット・電力・水 』 ダン・ノット  河出書房新社(2024年2月刊) 副題は「見えないシステムから知る世界のなりたち」とあり、我々の生活になくてはならい3大インフラの「インターネット」「電気」「水」のシステムが分かりやすいイラストと共に記されており、こういった経路で我が家まで届いているのかと感心することしきりであった。 中でも世界中をつなげているインターネットであるが、400本以上の海底ケーブルで実際につながれており、その長さは総延長で130万kmに達す

          ライフライン

          天才たちの日課

          『天才たちの日課』 メイソン・カリー著 フィルムアート社(2018/08) 161人の作家、詩人、画家、映画監督、作曲家、発明家、学者らの日常生活のルーティーンを追ったのが本書の内容。 ゲーテやモーツアルトは当然として、ニコラ・テスラやデビッド・リンチ、自分の好きなグレン・グールドの日常の習慣を垣間見ることができ、面白かった。 総じて天才たちの生活パターンは大きく二種類に分かれていた。 規則正しい生活環境の元、創作を行うタイプと自分のインスピレーションのまま、不規則な生

          天才たちの日課

          私が正義について語るなら

          『私が正義について語るなら』 やなせたかし ポプラ新書(2013/11) 言わずと知れたアンパンマンの作者である、やなせたかしが考える「正義とはなにか?」について語った本。 自分のアンパンマンとの出会いは、未就学児の時だったと思うが、本屋の絵本コーナーで見つけ、読んだことをいまでも覚えている。 その頃はまだ、アニメ化もされておらず、知名度も、それ程なかったアンパンマンであったが、本屋にいくとシリーズの新作が出ていないかを頻繁にチェックしていた。 のちに作者のやなせたか

          私が正義について語るなら

          日本人なら知っておきたい英雄 ヤマトタケル

          『日本人なら知っておきたい英雄 ヤマトタケル』産經新聞出版(2017/10) 産経新聞に一年にわたって連載されていた「ヤマトタケルのまほろば」をまとめたものが本書。 産経新聞取材班が古事記、日本書紀を手掛かりに全国の神社、大学教授、郷土史家を訪ね、ヤマトタケルの足跡を辿る内容となっていたのだが、いにしえよりヤマトタケルという存在が日本に暮らす人々にとって、特別な存在であったことを知るとともに、現代に生きる人々の中で、ヤマトタケルの存在がどれだけ、稀薄になっているのか改めて

          日本人なら知っておきたい英雄 ヤマトタケル

          物理学者が解き明かす思考の整理法

          『物理学者が解き明かす思考の整理法』 下條竜夫 ビジネス社 前著、『物理学者が解き明かす重大事件の真相』の続編。 本書、著者の専門とする、物理学だけでなく、歴史、天文学、占星術、金融工学、人工知能、文章術、そして、 STAP細胞にまで多岐に及び、著者の幅広い見識と思考の深さが味わえた。 以下、目次であるが、あれほど、捏造疑惑で世間を騒がせた、STAP細胞は実際にあったこと。そして、その背景には理化学研究所とハーバード大学との間で特許に絡む利権争いがあったことが本書で明かさ

          物理学者が解き明かす思考の整理法