仲俣暁生

寄稿者&作品紹介07仲俣暁生さん

昨年10月に「失われた「文学」を求めて【文芸時評編】」(つかだま書房)を上梓した仲俣暁生さん。同書には「出版人・広告人」での連載文芸時評(2016年10月〜2020年6月号まで)が時系列順に収められています。取り上げた作品でいうと「コンビニ人間」(村田沙耶香/2016.7)「ジニのパズル」(崔実/2…

○今日は 仲俣暁生 先生のお誕生日です! おめでとうございます!0209

※この記事は2019年09月25日に書かれたものです。 仲俣暁生○失われた娯楽を求めて~極西マンガ論~の正体 ■「CITY ROAD」「WIRED日本版」 「季刊・本とコンピュータ」などの編集部を経て、 現在「本と出版の未来」を考えるウェブサイト 「マガジン航」の編集発行人を務め 武蔵野美術大学、横浜国立…

「公正さ」は日本の小説を世界と連帯させる|藤井太洋と深緑野分|仲俣暁生

 新たな元号への改元を前に、平成年間に書かれた小説を読み返す旅も、私の担当回はこれで最後となる。それにふさわしい作品を今回は紹介するつもりだ。  平成の30年間(とりわけその後半)はグローバリゼーションとIT化の時代だった。前者が意味するのはたんにモノや経済の国際化だけではなく、価値…

「就活」というリアルとアンリアル|朝井リョウと加藤シゲアキ|仲俣暁生

 平成という時代を象徴する小説家を一人だけ挙げようとすると、この時代のどの時期に着目するかによって大きく変わってくる。前半はまだ「J文学」などというくくりも可能だったが、後半になるにつれ小説ジャンルの幅も広がり、掲載媒体もウェブを含めて多様化していくが、逆に出版産業の市場は急速に…

娯楽作品は「戦争」と「軍隊」をどう描いたか|福井晴敏と百田尚樹|仲俣暁生

 平成元年は第二次世界大戦が終わってから44年目の年だった。昭和天皇が崩御したこの年、20歳で終戦を迎えた世代はまだ64歳。戦場体験のある人たちがこの頃の日本社会には大勢存在した。しかし30年の年月を減るうちに、「先の戦争」の記憶は次第に薄れていく。  その一方で、平成年間は自衛隊がはじ…

「本」の世界を描いたラブコメが広大な読者層を獲得した理由|有川浩と三浦しをん|仲俣…

 平成の30年間は、出版産業が急速に市場を縮小させていった時代として後世に記憶されるだろう。だからこそというべきか、書店や古本屋、出版社や図書館など本にまつわるものを題材にした小説が数多く書かれた。これらをひとまず「本についての小説」と呼ぶことにしよう。  「本についての小説」は、…

青春ミステリーは「豊かで平和な時代」の外へと誘う|米澤穂信と桜庭一樹|仲俣暁生

 子ども向けの読み物と大人向けの読み物の中間段階、いわば階段の踊り場のようなものとして、かつてはジュヴナイルというジャンルがあった。アメリカではヤング・アダルト(Y・A)などとも呼ばれる、おもに十代向けの物語である。日本ではその市場を、ある時期から「ライトノベル(ラノベ)」と呼ばれ…

「語り」と「ダンス」が小説に動きをもたらす|町田康と古川日出男|仲俣暁生

 小説の世界に他のジャンルの表現者が参入することは、いまではもう珍しくもなんともない。音楽家や美術家、劇作家やマンガ家、さらにブロガーやAV女優や社会学者までが小説を書く時代である。しかしそうした「参入組」が、小説の世界にあらたな豊かさを持ち込めたかどうかは、厳しくジャッジしなけれ…

「システムにからめ取られない自由」をもとめて|阿部和重と伊坂幸太郎|仲俣暁生

 平成はインターネットに代表される情報通信技術が急速に発展し、社会のあり方が大きく変わった時代だった。オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた平成7年はウィンドウズ95が発売された年でもあり、パソコンからインターネットへの接続が容易になった。また平成11年にはNTTドコモが「i-mode」の…