【読書感想】本谷有希子『生きてるだけで、愛』
2020/01/07 読了。
本谷有希子『生きてるだけで、愛』
寧子、25歳。鬱病からくる過眠症で同棲している彼の家で引きこもり生活。
まあ、面白い。面白いなんていうと寧子にぶん殴られそうだけど、寧子の思考や行動が私のツボで笑いまくった。
ディズニーの七人の小人の置物が通行人から見えるように並べられている一軒家の表札めがけて、雪玉を投げつける寧子。
「何が『MURAKAWA』だ。日本人のくせに名前にアルファベット使ってんじゃねえ」、と寧子は心で絶叫する。
私はここで、寧子にズキュンときて、ここから何があっても寧子を応援するぞと決めた。ジェットコースターの頂点に登る途中みたいな状態がずっと続くのが本谷有希子なので、刺したって刺されたって愛するくらいの覚悟がないと読み進められない。
彼氏の元カノの紹介で、家族経営のあったかいレストランで働くことになった寧子は、思う。 「こんな健やかな心を持った人達と本当にうまくやっていけるのだろうか」と。
うまくやろう、うまくやろう、と思う寧子も、ほんのちょびっと否定されただけで爆発してしまう寧子も、私は他人とは思えない。
「あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生。いいなあ、あたしと別れられていいなあ」
こんな悲しい別れ台詞きいたことないわ。
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