ALL REVIEWS 友の会 公式
最近の記事
ALL REVIEWSが単行本発行のきっかけに!~高遠 弘美 × 鹿島 茂、市河 晴子(著), 高遠 弘美(編)『欧米の隅々: 市河晴子紀行文集』(素粒社)を読む~
ALLREVIEWSに再録した「恋文」が出版のきっかけに高遠さんは2006年、偶然神保町の古本屋で手にした市河三喜・晴子著『欧米の隅々』に心を打たれます。高遠先生は英語学者の市河三喜のことは知っていたが、晴子のことは全く知らなかったそう。それでも、晴子が書いたエジプト紀行の部分を立ち読みし、心を打たれ、本を購入した直後の教授会の最中も夢中で読んだそうです。そして、2008年に雑誌「國文學」に市河晴子に関する、恋文ともいえる文章を発表します。この文章はのちにALLREVIEWS
文化人の家に育った2人が作った夢の雑誌~シミズヒトシ × 鹿島 茂、矢崎泰久, 和田 誠 『夢の砦 二人でつくった雑誌「話の特集」』(ハモニカブックス)を読む~
カストリ雑誌を手にドヤ顔の鹿島さん記者出身の矢崎泰久さんとイラストレーターにして文筆家等多彩な顔を持つ和田誠さんが1965年に立ち上げた「話の特集」。表紙のイラストはまだ無名だった横尾忠則。鹿島茂さんはリアルタイムで横尾忠則の鮮烈な表紙の雑誌を覚えています。そしてさらに、その前身のいわゆるカストリ雑誌だった「話の特集」も知っています。写真は、カストリ雑誌「話の特集」を手に、得意満面の鹿島さん。和田さんは「話の特集」という雑誌名が嫌いだったとのことですが、このカストリ雑誌の記憶
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お薦めはスコットランドの島めぐり~中村 隆文×鹿島 茂、中村 隆文 『物語 スコットランドの歴史』(中央公論新社)を読む~
ハイランドにうっそうとした森はない?スコットランドといえば、ブリテン島の最北端に位置していることは皆さんご承知おきのとおり。そしてスコットランドは大きく分けて、北のハイランドと南のローランドにわかれます。エジンバラやグラスゴーはローランドに属します。一方、ハイランドは、日本ではネッシーのいるネス湖で有名。講演では、大画面モニターに映し出された地図が大活躍します。 課題本『物語 スコットランドの歴史』はスコットランドの歴史をほぼ年代順にまとめています。冒頭、紹介されたのはピク
ミクロの歴史を知るには現代の世界情勢を知ること~星野 博美×鹿島 茂、星野 博美 『世界は五反田から始まった』(株式会社ゲンロン)を読む~
大画面で見る「大五反田」マップトップ写真でわかるとおり、本講演では、モニターに大五反田の地図が投影さています。地図の操作をするのは、ゲンロンのスタッフ。あたかもタッチパネルのように操作をしていきます。配信ビデオでは地図を使った講演の面白さをご堪能ください。 戸越銀座から五反田駅を通り清正公(覚林寺)あたりまでを直径とする、星野さんの定義による「大五反田」。ここには白金や武蔵小山も入ります。美智子妃ゆかりの池田山から、今、ブームの戸越銀座やタワマンがたつ武蔵小山まで。話は多岐
古本屋の醍醐味は自分で仕入れ、値付けをすること~中山 信如×鹿島 茂、中山 信如 『古本屋的! 東京古本屋大全』(本の雑誌社)を読む~
古本屋がめちゃくちゃ儲かった時代があった!鹿島さんがまず驚いたのは、本書、冒頭、下町の老舗古書店、「岡島書店」へのインタビュー。これによると、ともかく古本はめちゃくちゃ儲かった。オイルショックで古紙の値段が暴騰し、チリ紙交換が儲かる、そのチリ紙交換が儲かる時代と古本が儲かる時代は時を同じくしています。 70年代からバブル崩壊まで、岡島さんは週3日はキャバレーで豪遊。鶯谷だけでなく銀座にも飲みにいっていたそうです。 『奇譚クラブ』10冊で1週間飲めた時代。 バブル崩壊後、急速に
『ブレードランナー』をみてわかった気になるな、小説『電気羊』はエモくて泣ける!~柴崎 友香 × 豊崎 由美、フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『流れよわが涙、と警官は言った』(早川書房)を読む~
今起きている現実をあなた向けにカスタマイズします(By Twitter)柴崎さんが今回ディックを取り上げたのは、現在がディック的な社会になっているのではないかと思ったから。柴崎さんは2012年頃からTwitterを始めたそうですが、2014年頃、朝、Twittterをあけると「今起きている現実をあなた向けにカスタマイズします」という文言が目に飛び込んできます。この文言を読んで、柴崎さんは、「まさにディック的な世界」と感じました。 SNS上でそれぞれが、自分向けにカスタマイズさ
発売前の新刊の読みどころを先取り!古屋 美登里 × 豊崎 由美、エドワード・ケアリー著 古屋 美登里訳『呑み込まれた男』(東京創元社)を読む
日本オリジナルの短編集『飢渇の人』『呑み込まれた男』が発売前ということもあり、まず紹介されたのが、昨年発行された短編集『飢渇の人』。ケアリー初の短編集、実は日本でしか発売されていません。訳者の古屋美登里さんはケアリーの伝道者でもあり、ケアリーの短編集を出すことを考えました。古屋さんは過去のケアリーの作品を集めた上で、直接本人に相談し、なんとケアリーは新作短編を複数提供。日本オリジナルの短編集が出来上がりました。 扉にはケアリーの筆(鉛筆?)による古屋さんの似顔絵が。でもケアリ
浪曲で語る『物語』の魅力~玉川 奈々福 ×杉江 松恋|「読む」と「聴く」の違い 浪曲師・玉川奈々福さんにお聞きする物語の魅力
ノンフィクションを浪曲に!『悲願千人斬りの女』筑摩書房の編集部で、井上ひさしなど綺羅星のごとき著者を担当していた奈々福さん。浪曲協会で三味線を習ったことをきっかけに浪曲の世界に入ります。会社員の世界から、浪花節の世界へ。全く違う世界にいた奈々福さんだからこそ、伝える浪曲の魅力があります。 奈々福さんが浪曲の世界に飛び込んだ経緯は、ご自身の著書に詳しく書かれています。 落語と比べても、大変古い世界が残っている浪曲の世界。奈々福さんはプロデュース力を発揮し、師匠玉川福太郎の『徹