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読書会に最適、原稿肥大化の時代の「覚悟の短編集」~斎藤真理子 × 豊崎由美、グアダルーペ・ネッテル『赤い魚の夫婦』(現代書館)を読む~
薄い本に短編5編『赤い魚の夫婦』は150ページ強の本に、動物(うち一編は菌類)をモチーフとする短編が5本入っています。豊崎さんは「パソコンで書くことが世界中で普遍的となり、原稿が肥大化していく傾向の中で、短く収める作者の覚悟を感じる」といいます。 また、表題作の『赤い魚の夫婦』と『北京の蛇』はパリが舞台で、登場人物もフランス人。韓国でも外国を舞台にした外国人だけが登場する小説が増えている、と斎藤さん。 一方、話の展開は意外と普通で、設定からして独特のマジックリアリズムのような
定価1800円(税抜)に書肆侃侃房の覚悟が伝わる~ 佐々木 敦 × 豊崎 由美 エンリーケ・ビラ=マタス『永遠の家』(書肆侃侃房)を読む~
月刊ALLREVIEWSフィクション部門2021年9月の課題本はエンリーケ・ビラ=マタス『永遠の家』。スペインの奇才ビラ=マタスが1988年に発表した連作短編集ですが、邦訳が出たのが2021年7月。出版社は福岡の書肆侃侃房。 ビラ=マタス、邦訳は『バートルビーと仲間たち』(2008年、新潮社)、『ポータブル文学小史』(2011年、平凡社)、『パリに終わりはこない』(2017年、河出書房新社)(()内は邦訳出版年)と3作出版されているのですが、出版されている出版社が全部違う。つ
40年ぶりに読んだ『族長の秋』は読みやすい!~柴崎 友香 × 豊崎 由美、ガブリエル・ガルシア=マルケス『族長の秋』(鼓 直訳、集英社)を読む~
2021年5月の月刊ALLREVIEWSフィクション部門のゲストは柴崎友香さん。課題本はガルシャ=マルケス『族長の秋』。書かれたのは1975年、日本語訳が出たのは1983年。豊崎さんは初訳が出たときに読んでいるので、今回、ほぼ40年ぶりに読み返したそう。そして、思ったよりも読みやすいことに驚きます。21世紀の私たちは、ラテンアメリカ文学や他の世界文学に慣れ、ガルシア=マルケスが読みやすくなっている! 奇しくも、前の日には、鹿島さんがドゥルーズを40年ぶりに読み返し、腹落ちした
ブラジルを西洋と考える知識人の誇り~柳原孝敦 × 豊崎由美、クラリッセ・リスペクトル『星の時』(福嶋伸洋訳/河出書房新社)を読む~
書評家、豊崎由美さんがホストの2021年4月の月刊ALLREVIEWSフィクション部門のゲストは柳原孝敦さん。課題本はブラジルの女性作家クラリッセ・リスペクトルの『星の時』。本作は1977年にブラジルで刊行されましたが、日本で翻訳が出たのは2021年3月。40年以上の時を経て出版された背景には河出書房新社の編集者、竹花進さんの尽力があるそうです。豊崎さん、柳原さんに加え訳者の福嶋伸洋さんも参加。贅沢な読書会となりました。 ※対談は2021年4月29日に行われました。 ※対談動
わからない本をわかるために語る!~山本 貴光 × 豊崎 由美、バレリア・ルイセリ『俺の歯の話』(松本健二訳、白水社)を読む
今月の月刊ALLREVIEWSフィクション回はメキシコの作家ルイセリの『俺の歯の話』。かなり複雑な、教養の詰まった小説です。このとっつきにくい本に食指が動くように解説をするのが山本貴光さん。写真でみるとわかるとおり、お二人ともマスクをしながら、楽しそうに語ってくれました。 ※対談は2021年4月4日に行われました。 ※配信アーカイブが購入可能です。 成り立ちからして複雑な小説課題本『俺の歯の話』はメキシコの女性作家バレリア・ルイセリがメキシコのジュース会社が経営する現代美術