クラウゼヴィッツ

『戦争論』第二篇第三章「戦争術か戦争学か」

『戦争論』第二篇第三章「戦争術か戦争学か」

 第二章では戦争の理論化についての歴史が考察された。第三章では戦争の理論化は「術」と「学」のいずれの領域において可能なのかということが検討されている。「術」をものを作り出す能力を目的とするもの、「学」を純粋な知識を目的とするものとする。  クラウゼヴィッツは当初、戦争は「術」の領域にあると考える。いかなる知識も術と関係しないものはない。思惟はすべて術であり、論理学者は認識と判断の間に一線を画すが、分離することは困難である。  しかし、クラウゼヴィッツは次のように主張する。

『戦争論』第二篇第二章「戦争の理論について」
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『戦争論』第二篇第二章「戦争の理論について」

 この章は、これまでのギリシャ・ローマ時代からの戦争術の歴史を整理して「戦争の理論化というものが可能か、またどのようにして可能であるか」、という視点で書かれている。いわば、用兵思想史のさきがけのようなものであるといえる。また第一篇と深く関連しており重要な文章である。  この章を理解する上で押さえておかなければならないのは第一章の整理区分を前提に話を進めていることである。  以下要約を行う。  かつて、古代及び中世の戦争において戦争術は戦争のための準備(①)を重視しており

備忘録「クラウゼヴィッツ "戦争論"」
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備忘録「クラウゼヴィッツ "戦争論"」

「戦争は相手に我が意志を強要するために行う力の行使である。」 「戦争論」(第1編第1章2) 「目的とは、戦争によって達成しようとする戦争目的、すなわち政治的目的のことであり、目標とは、戦争において達成しようとする戦争目標 、すなわち軍事(作戦)目標のことである。」 「戦争論」(第8編第2章) 「戦術とは、戦闘における戦闘力の使用に関する規範であり、戦略とは、戦争目的を達成するための戦闘の使用に関する規範である。」 「戦争論」(第2編第1章) クラウゼヴィッツは

『戦争論』第二篇第一章「戦争術の区分」
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『戦争論』第二篇第一章「戦争術の区分」

 クラウゼヴィッツは第一篇の緒言において次のように述べている。  いまここで考察の対象となるのは、まず戦争を構成している個々の要素であり、次にこれらの要素の集まりから成る個々の部分であり、最後に内的連関を保つところの全体としての戦争である、つまり単純なものから複雑なものへ進むわけである(上28p)  つまり、クラウゼヴィッツは戦争を、要素-部分-全体という関係性で認識しており、彼がまず第一篇において取り組んだのはまさに「全体において戦争とは何か」ということであった。  

『戦争論』において完成しているのは第一篇第一章のみか

『戦争論』において完成しているのは第一篇第一章のみか

一般にクラウゼヴィッツの『戦争論』は未完成であると言われている。クラウゼヴィッツについて書いている著作のほとんどはこのことを指摘しており、またその根拠としてクラウゼヴィッツの以下の言葉を挙げている。  要するに完全と見なされるのは、第一篇第一章だけである、少なくともこの章は、私が本書全体に与えようとした方向を指示するのに役立つと思う。 (篠田英雄訳『戦争論 上』17p)  確かにクラウゼヴィッツは『戦争論』を書き終えることなく病死しており、未完である。またベアトリス・ホイ

クラウゼヴィッツ『戦争論』第一篇における問題設定について

クラウゼヴィッツ『戦争論』第一篇における問題設定について

 クラウゼヴィッツが著書『戦争論』において各章においてどのような問いを提示し、それに答えたのかをまとめたもの(逐次更新) 第一篇 戦争の本性について 第一章 戦争とは何か 問:「戦争という問題を考究するにあたり、全体としての戦争の本質とは何か」 答:「戦争は三重性(三位一体)を備えており、複雑で変化しやすいもの」 第二章 戦争における目的と手段 問:「戦争の三重性が戦争の目的と手段にどのような影響を与えるか」   「戦争が政治的目的を達成するために適切な手段であるため

思想の書

思想の書

西洋を代表する四つの典籍です。1.資本論2.君主論3.戦争論4.政治論 東西を代表する四つの書です。1.聖書 2.コーラン 3.論語 4.老子 資本論:カール・マルクス著。資本主義経済の本質について書かれた書。ヘーゲルの弁証法を批判的に継承したうえで、資本の運動諸法則等を明らかにした。序論は、商品価値の詳述から始まっている。使用価値、貨幣、金(きん=Gold)、剰余価値、などと続く。全体として、資本主義経済の、生産、矛盾、相克、発展、について述べている。 君主論:ニコロ

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古今東西人物列伝

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古今東西人物列伝 マルクス カール・マルクス(Karl.Heinrich.Marx/1818~1883) 個人的な評伝:マルクスは、悪筆だった。 著書 資本論:資本主義経済の本質について書かれた書。ヘーゲルの弁証法を批判的に継承したうえで、資本の運動諸法則等を明らかにした。序論は、商品価値の詳述から始まっている。使用価値、貨幣、金(きん=Gold)、剰余価値、などと続く。全体として、資本主義経済の、生産、矛盾、相克、発展、について述べている。 兵器のような非人道的な

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【ゆっくり】戦争論【10分ちょい】
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【ゆっくり】戦争論【10分ちょい】

クラウゼヴィッツの著書『戦争論』です 異世界転生をする予定の皆様はご視聴ください

非正規軍の作戦が成功する条件とは、クラウゼヴィッツの分析を紹介する

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戦争の主体は国家の指揮下にある正規軍に限定されていません。国家の指揮下にはない武装勢力であっても、戦いを遂行する能力を有していれば、戦争の主体として考えられます。ゲリラ、パルチザン、レジスタンス、テロリスト、民兵、軍閥、私兵など、非国家主体の武装勢力はさまざまな名称で呼ばれますが、以下ではまとめて非正規軍(Irregular army)と呼ぶことにします。 非正規軍は一元的な指揮系統に基づいて編成されているとは限りません。それぞれの部隊が独自に指導部や指揮系統を持ち、緩やか

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