さがらもりを

ドイツ語おもしろ万葉採録帳  毎日ドイツ語と接触している人間が、接触する中で日々思う…

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ドイツ語おもしろ万葉採録帳  毎日ドイツ語と接触している人間が、接触する中で日々思うことを記載していこうと思っています。

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  • ドイツ語政治関連用語

    ドイツの政治に関連した言葉を集めています。

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    暦や季節、または行事に関連するドイツ語を集めています。宗教関連では別のマガジンを作っています。

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    とりわけ、キリスト教に関連する言葉を集めています。

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    ドイツ語の植物名を集めています。

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    スポーツ用語、ドイツはサッカーが盛んなので、とりわけ、サッカー用語になるでしょう。

最近の記事

「邦(くに)から遠い」(2) staatsfern(シュターツ・フェアン)(2)

 前回の投稿で、表題のstaatsfernという言葉がメディア関連で使われると書いた。であるので、それでは、まず、ドイツのマス・メディア、とりわけ、放送部門の状況から説明しよう。  ある放送事業体を財政的経営基盤の観点から分類すると、それは、国営放送、公共放送、民間放送の三つに分けられるであろう。共産主義国家、独裁国家、或いは、権威主義的国家には、一般的に言って、国営放送という形態が「適している」。自由主義的資本主義体制においては、資本がものをいう訳で、民間放送が数多く存立

    • 「邦(くに)から遠い」(1) staatsfern (シュターツ・フェアン)(1)

       まず、der Staat(デア シュタート)という男性名詞と、das Land(ダス ラント)という中性名詞と、どちらも場合によっては「国(くに)」と訳すことができる二つの言葉が、それでは、それぞれの言葉のニュアンスとして、どう異なるのかというところから始めよう。  「日本」をいつもJapanヤーパンとだけ記述するのは芸がないので、日本のことを書くドイツ語の新聞記事には、よく、言い換えとして、訳して、「日が昇る国」という言い回しが出てくる。この時の「国」は、ドイツ語で「L

      • 「技術支援工作隊」THW(テー・ハー・ヴェー)

         THWとは、略語である。元々は、Technisches Hilfswerk(テヒニシェス ヒルフス・ヴェアク)という。「Technisches」は、Technik技術という名詞が形容詞化したもので、Hilfswerkが中性名詞なので、technischに語尾の-esが付いたものである。英語からすぐに推察できるように、「テクニカル」と訳せる言葉である。  一方、名詞である「Hilfswerk」という言葉は、二つの名詞が複合されてできた中性名詞で、真ん中のs字は、「~の~」と

        • 「年と年の間に」Zwischen den Jahren(ツヴィッシェン デン ヤーrレン)

            das Jahrとは、中性名詞であるから、定冠詞dasが付く。j字は、ヤ行発音になり、h字は長母音になる記号と考えてよいので、まずは、「ヤー」とする。さらに、r字は音節の〆になるので、殆んど発音されないが、気持ち「rル」の感じで、喉の奥を狭めて発音する。この単語の複数形が、Jahreヤーrレとなり、第二音節が「-re」であるので、今度は、はっきりと「rレ」と発音する。  複数形の単語に付く定冠詞は、「が、の、に、を」で変化する場合は、それぞれ、「die、 der、 de

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        記事

          聖ニコラウス [2] St. Nikolaus(ザンクト・ニコラオス)[2]

           前回の、2023年12月11日の投稿の同名の記事では、St. Nikolausなる聖人の存在が、ドイツ社会において、どんなものであるかを説明した。  まず、クリスマス・プレゼントをサンタクロースが配って歩くというイメージは、北アメリカ文化圏からのものであり、元々は、北アメリカに17世紀に入植したオランダ人達がヨーロッパから北アメリカに伝えたものであること。ドイツでは、同じ日の12月24日にクリスマス・プレゼントを配るのは、生まれて間もない「幼子のキリスト」になっていること

          聖ニコラウス [2] St. Nikolaus(ザンクト・ニコラオス)[2]

          聖ニコラウス [1] St. Nikolaus(ザンクト・ニコラオス)[1]

           St. は、Sanktの略であり、ドイツ語で「ザンクト」と発音する。英語の「セイント」、フランス語の「サン」に当たる言葉である。ドイツ語で、音節の頭にくるs字は、有声音で発音するので、それで、「ザ」となる。  ドイツ語表記のNikolausは、男性の名前にもなるものであるが、ラテン語では、Nicolausと、英語では、Nicholasと綴る。但し、元々は、ギリシャ語から来ているので、これをラテン文字に書き換えると、Nikolaosニコラオスとなる。因みに、ドイツ語では、複

          聖ニコラウス [1] St. Nikolaus(ザンクト・ニコラオス)[1]

          「マルティンの行列」 der Martinsumzug(デア マルティンス・ウムツーク)

           まずは、der Umzug(デア ウムツーク)という男性名詞から始めよう。der Zug自体が一つの名詞で、その訳語の一つである「列車」という意味からも分かる通り、これは、「何か一列に並んだもの」を意味する。ゆえに、列に並んで空を飛んでいる渡り鳥の一行(いっこう)も、この言葉を以って表現し、一列に並んで行進する兵隊の隊列から来るのであろう、軍隊の編成組織の「小隊」を、ドイツ軍では、der Zugと呼ぶのである。  このZugの前にあるum-とは何かと言うと、これは、元々は

          「マルティンの行列」 der Martinsumzug(デア マルティンス・ウムツーク)

           「ツヴェッチュゲ」 Die Zwetschge(ディー ツヴェッチュゲ)

           今回は、表題のドイツ語の発音の仕方からではなく、まずは、筆者の経験談から始めさせていただく。  筆者は、日本人以外の人に日本語を教える時に、いわゆる、早口言葉を使うことがある。その第一弾が、「すもももももももものうち」である。「も」が、まとめて八回も出てくること、「す、も、の、う、ち」の五音しか出てこないこと、言葉の構造が簡単であること、「~も~も」の言い回しが登場すること、「~の~」という修飾語の典型的構造があることが、この早口言葉を取り上げる理由である。因みに、「外国

           「ツヴェッチュゲ」 Die Zwetschge(ディー ツヴェッチュゲ)

          「一般学生委員会」 der AStA(デア アスタ)

           der AStAとは、定冠詞derが付いているので、男性名詞のように見えるし、実際、独自の複数形があり、die ASten(ないし、die AStAs)と書く。しかし、この単語は、本来は、日本人同様、ドイツ人も好きな略語である。正式な名称を書くと、der Allgemeine Studierendenausschuss(デア アルゲマイネ シュトゥディーrレンデン・アオスシュス)である。allgemeine(「一般的」の意)は、形容詞であるが、AStAが殆んど固有名詞化して

          「一般学生委員会」 der AStA(デア アスタ)

          ジャーマン・カモミーレ german chamomile

           今回は例外的に英語の日本語訳を表題に挙げた。chamomile、英語で「カモミーレ」、或いは、「カモマイル」と発音する、この言葉自体は、このように記載された感じでは、植物分類体系において、より上位の分類名に相当するように思われる。それで、ウィキペディアで調べてみると、種の上の名称は、カテゴリー(この言葉はドイツ語で、Kategorieと書き、日本語では哲学用語になるが、ドイツ語では日常語の一部でもある。)としては、確かに、「属」名である。英語では、この言葉のラテン語学名が、

          ジャーマン・カモミーレ german chamomile

           「ヨハネ雑草」 das Johanniskraut(ダス ヨハニス・クrラウト)

            この言葉の前半Johannisは、別名Johannesヨハネスで、洗礼者ヨハネのドイツ語版である。後半のKrautは、主に木本に対する「草本」を意味する中性名詞で、本稿の題名としては、わざと「雑草」と「悪い」文脈の単語で訳したのであるが、ある昆虫や植物が「有益」であるか、「害悪」であるかは、立場によって変わることもあり得るので気を付けたいところである。  「サワー・クラウト」という言葉は、料理好きの方であるなら、一度は聞いたことがあろうが、白キャベツの塩漬けである。漬物

           「ヨハネ雑草」 das Johanniskraut(ダス ヨハニス・クrラウト)

          「遠隔一騎打ち」 das Fernduell(ダス フェrルン・ドゥエル)

           das Duellという中性名詞は、英語との近さや、Duettドゥエットという言葉からも、直ぐにこの言葉の持つ意味が類推できるであろう。Duettが「二重奏」であるから、その意味には、「二」の数が必要であり、西部劇で言えば、「決闘」となり、ヨーロッパや日本の中世においては、騎士や武士の敵味方一騎同士の「一騎打ち」となる。   Fernduellの前半の単語fernは、元々は形容詞で、「遠い」、「遠方の」、「遠くの」などの意味のある言葉で、r字の所では、喉の奥を狭めて、少し

          「遠隔一騎打ち」 das Fernduell(ダス フェrルン・ドゥエル)

          ヨーロッパ日 der Europatag(デア オイrローパ・ターク)

            発音としては、euという複合母音は、「オイ」と発音し、Tagのg字は、音節の〆になるので、清音として発音する点が、この言葉で気を付けることであるが、後でする説明で必要となるので、Europaの形容詞をここで述べておく。europäischオイrロペーイッシュという。ä字は、aのウムラウト、つまり変音であり、日本語的に「エ」と発音して構わない。-schの綴り字は、形容詞によくある語尾であるが、発音は、「シュ」である。  さて、この言葉は、元々は、Europaという固有名詞

          ヨーロッパ日 der Europatag(デア オイrローパ・ターク)

          イワミツバ der Giersch(デア ギーアシュ)

           複母音ieは、長母音「イー」と長く発音する。さらに、-ierのr字は、音節の〆として、例の通り、ここでは、「ア」と表記する。語尾の綴り字schは、「シュ」と発音する。  この男性名詞Gierschは、既に11世紀までに文献で確認される、古高ドイツ語に見られる言葉で、元々「雑草」の意味である。この言葉は、方言的に使われていたので、この植物名は、地域ごとに様々な名前で呼ばれており、例としては、Ziegenkrautツィーゲン・クrラウト、「ヤギの雑草」などの俗名がある。  

          イワミツバ der Giersch(デア ギーアシュ)

          「超過懸垂委任」[その3] Das Überhangmandat (ダス ユーバーハング・マンダート)[その3] 

           前々回の、2021年11月8日付けの、同名の投稿を読まれると、Das Überhangmandat (ダス ユーバーハング・マンダート)が、なぜ「超過懸垂委任」というふうに直訳されるのか、また、ドイツの選挙制度もどのようなものであるかをよく理解できるはずであるので、前々回の投稿をまず読まれてから本稿を読まれたい。  それから、前回の、2021年11月16日付けの、同名の投稿では、ドイツの選挙制度の問題点と、その問題解決のための、素人ながらの、筆者の提案も挙げてあるので、こ

          「超過懸垂委任」[その3] Das Überhangmandat (ダス ユーバーハング・マンダート)[その3] 

          ヒョウたち Leoparden(レオパーrデン)

           動物を分類するための体系としては、動物界(ラテン語の学名:animalia)から下降して、「門、綱、目、科、属、種」という区分の仕方をする。今回のテーマであるヒョウ(豹)に絡めると、まずは、これは、分類体系の下から三レベル目の「ネコ科」に分類される。その上の分類のレベルである「目(もく)」は、「食肉目」となり、これに対応するドイツ語を直訳すると、「強奪動物」、日本語的には、「猛獣」という感覚で訳される名称である。さらに、「食肉目」の上位のレベル「綱(こう)」は、「哺乳綱」と

          ヒョウたち Leoparden(レオパーrデン)