脱臼(outofjoint)

好きなことを書いています。生来の「生きづらさ」を克服どころか、年を重ねる毎に悪化させて…

脱臼(outofjoint)

好きなことを書いています。生来の「生きづらさ」を克服どころか、年を重ねる毎に悪化させて慢性化してます。その割に長生きしているのは「生きづら」くても「生きる」ことに固執しているからなのかもしれません。文学、哲学、音楽、映画を好みます。素人の戯れ言を超主観的に書きます。

最近の記事

【散文詩】あの日の約束は行方不明

合わせ鏡の狂乱に巻き込まれ 輝く肌の張力に無意識に溺れて 大きな大きな忘れ物を見失い 毎度毎度の悪事の果てに 小さな小さすぎる掌から流れ落ちる砂のように 間遠になるニコイチの白河夜船 切り裂かれた心が肝硬変のように 滑らかなシーツと碧い下着の場末に墜ちた理由 答えがあるはずもなく 欄干に佇立するのは影のみ 実体は何処に

    • 【散文詩】老猫の掌を頬に当てる

      使い切った肉球の痩せた感触が 癒やされた道のりの残像 命はすべてを貫通して隔てがないから 出ていくちからも枯渇した 思い出の溢れ出した部屋の片隅 ゴロゴロ鳴らしてお喋りな喉もとが 愛情はすべてに通い合って隔てがないから 末期の言葉に感謝を返し柔らかく抱く とめどない喪失感は「いのち」は「いのち」同じこと。 解けない彼此を別つ契機の唐突

      • 【散文詩】FANG FANG FANG

        はぐれないように強く握ったふたり 噛み切りたいのにちぎれない なんども聴いた「夏祭り」 どっちがいいかはゆずったけど 須らくオリジナルを尊重派 耳元で歌っても太鼓に溶けたソフトクリーム 早めに抜け出した丘の上 体育座りで顔をうずめる コーンをパリパリ食む食む食む 寂しそうなのは誰を反芻してるの 詰まらなさそうなのは隣にいるのがぼくだから 軟骨のような否定文に苛つくぼくは 優しさと無慈悲の混交を反復していたから ひとりねこの額を指先で撫でる 冗談を弁

        • 【散文詩】「またね」

          校舎の非常階段から突き落とした感情は 凱旋帰身することのない久遠の糸を切る 噛んだ唇から伝わる青い血潮が 背中に落ちた音が聞こえたのは嘘 似合わないタトゥーは失敗した傷痕のせいで 「なにひとつ楽しくなかった」と下手くそな 「出会えたこと以外は」と役者のせりふのような倒置法 小さなからだに大きな夢を詰め込んで 仰ぐ空の返事はなくても「またあおう」と囁いた

        【散文詩】あの日の約束は行方不明

          【散文詩】逃げだす理由はある

          物知りの雑学王なのかな まっいっか笑顔なら 贅沢が身の丈に馴染まず 逃げろ逃げろと押される背なか きみではなくすべてに 逃げろ逃げろと しあわせは蜜の詰まった瓶の蓋を絞めること ひとなめしたら 瓶を壜に替えて手首まで ひとなめしたら 振り落とされたしあわせが ひとなめしたら逃げろ逃げろ

          【散文詩】逃げだす理由はある

          【散文詩】夢さへ嘘をついている

          遠吠えの犬のまん丸の目が赤くとろけだす 断末魔のひと鳴きにすべてを覚る子犬たち 惨めに縊られ揺れている勘違いの自己評価 思い込みだけで爆上がる空虚な病識はまるでなし 根拠は薄い奇行と血飛沫が 導入部だけで踏み込めない策士の業 生き方だけは勝手に決めた 離れていくのは脆弱と誤謬で象る仮の魂 跳べない羽を決意と交換して 決意は平均寿命まで

          【散文詩】夢さへ嘘をついている

          【散文詩】駝鳥並みの馬鹿

          小さな不和が木っ端を微塵に撒き散らす 歪む認知がかろうじて支える自我 隙間を埋める手練手管を盗み出して できないことをやりたくないと言い換える 弁明という名の言い訳 言葉は伝達手段ではなくて祈り 自分を守るための祈り 大切な人を呪うための祈り 裏切りと嘘言と健忘を指で刺す

          【散文詩】駝鳥並みの馬鹿

          【散文詩】ほんとうはいえないけど

          窓際の机に顔を埋めて 腕の隙間から横目でみてる 茜に染まる半分が嘘をつく 押っ取り刀で立ち上がり 手を取り教室から走って 校庭を走って、走って、疾駆して 荒い呼吸にペットボトルを荒く飲む 気持ちが腑に落ちるのがこわくて いえなかった本当を抱きしめた笑顔に もしも増えた本当が心にみちたら 本当をいってもいいかなと問合せ中

          【散文詩】ほんとうはいえないけど

          【散文詩】心の自死

          腐されても 落書きされた背中も ゴミでいっぱいっぱいの机も 下駄箱の刃物も 待ち伏せの一斉投石も 「いつの話だよ」と一笑にふされ あきらかに嘘の告白 肯定されたことがないから 心が踊ってしまう自分が嫌いになって 感情は痛覚もまるめて捨てた 喜怒哀楽を放擲した生き物は心の自死 春の出会いも 夏の羽目をはずした冒険も 秋の深まりに青い反省を経験しても 冬の寒さに人の温もりを知ることもなく 屍未満は「無」ですらない

          【散文詩】心の自死

          【散文詩】狼髪と刺青

          碧い髪が茜に染まって ボロ雑巾は側溝を流れ吐き出される 公転と自転の三叉路で捻り潰された 狎れ狎れしく嘲笑う家畜の瞳で裏切る言葉 逆さまの誤答に歯止めをかけて号泣して 大切な人に傷痕を 謝罪は違う 交わる血脈の不死鳥

          【散文詩】狼髪と刺青

          【感想】坂口安吾と「知性」(風博士の哄笑を求めて)

          「堕ちよ。生きろ」と坂口安吾が叱咤激励したのは何故だろうか。 敗戦後の昭和21年4月発行の雑誌に『堕落論』は掲載された。 『堕落論』の要諦は「堕ちよ」にあるのではなく、人間は「堕ちきる」ことなど出来ないだろうという安吾からの挑発にある。つまり煽りだ。 安吾は文学史的には太宰治や織田作之助らと共に「無頼派」と称されている。 そのため「堕落」と「無頼」とが混同されて、守旧的な常識の殻を抜け出して「自由」に生きることを慫慂しているかのように誤解されてしまいがちである。 しか

          【感想】坂口安吾と「知性」(風博士の哄笑を求めて)

          【散文詩】こだわらないで

          泥濘むアスファルトの粘着に裸足で挑む 焼け付く足裏の生者はミクロレベルで死屍累々 クワガタに抱きしめられたねこさんは鳴き叫びながらツノ以外は完食 蝉は難無くバリバリと野良のように 灼熱は巨大化させる 酷寒は消耗を気にして小さくなる 男はワンピースが嫌いだと呪のように頑なに 狂信者は受け容れないから 風に吹かれるTシャツのラグラン スイープ嫌いのリクエストはインサイドの「ノンレガート」をご所望なり 強迫観念を行動前に気化させるセッションは カウチではなくて バ

          【散文詩】こだわらないで

          【散文詩】まんまで

          目覚めの挨拶 施錠の確認から追いつく階段 川沿い駅まで歩く 別れてターミナル 背伸びして背中を追う ひとり乗り込む満員電車 思い出す瞬間もないがむしゃらに それでも会いたい気持ちがネオンを潜って先走る

          【散文詩】まんまで

          【現代詩】つべこべ言わずに

          愛だの恋だのそんなことではなくて ありのままを抱きしめて 口を開いて舌を出して調整する体温は 露出狂と同じ感性を言い訳と嘘で乗り越える 独りでなければぬいぐるみにだって告白する 埋めたい空洞は何処にあるのか 指針はからだが決める 特化した機能はいつでも供給過多のワンコイン 四の五の言わずに命を差し出す

          【現代詩】つべこべ言わずに

          【散文詩】茜棚の咲く庭園

          季節が茜にかわる月 暦を指折り 俤を抱く 小さい命を交わし合うのは 蜜の涙の雫に酔う 小舟の抜け殻を俯瞰する瞳 茜に映える夕日の山嶺

          【散文詩】茜棚の咲く庭園

          【散文詩】落とし穴に嵌まれば

          明けない夜はない そんなことはない 永遠の夜を信じて進む 辛苦にまみれて 心もからだも壊れ物 毒も吐くし 成功する方法を知る前に チャンスを手にするのも 理由はひとつだけ 死と死の隙間に生きている 宇宙の殆どはなにもない 無に滴らせる一滴の奇蹟

          【散文詩】落とし穴に嵌まれば