夏川賀央

1968年、東京生まれ。大手出版社など数社を経て独立。会社経営のかたわら作家として活躍…

夏川賀央

1968年、東京生まれ。大手出版社など数社を経て独立。会社経営のかたわら作家として活躍中。人材プロデューサーとして各分野の才能を発掘しつつ、ネットワークを通じた“非組織プロジェクト”で多くの企画を手がける。ライター、プロデューサーとして本の編集・制作に携わっている。

最近の記事

武士道入門38 外国人たちが見た武士たち

『武士道』12章の『「切腹」と「仇討ち」の制度』で、新渡戸稲造さんは4ページにわたる長い引用を載せています。 それはまさに「切腹」を生で見て、文章に残した記録。アルジャーノン・ミッ トフォードという英国人外交官が書いた『Tales Of Old Japan』という本から の掲載です。 「彼は短刀をおもむろに取り上げて、嬉しげに、まるで愛情をこめるような眼 差しで見つめた。そして一瞬の間、最後の集中をしているようだったが、やが て左の腹を深く刺して静かに右に引き回し、また元

    • ブログ240910 やっぱり「本づくり」は面白い

      この2日間くらいで、 リアルでも、リモートでも、 本の打ち合わせが続いています。 これから出る本についてですが、 ようやくそういう機会に多く参加できるように なってきた。 非常にありがたい話です。 非常にありがたいのだけど、 経済的には、いつ売上が確保できるかわからない。 とても気の長い話ではあります。 だから将来的にはともかく、 現状の問題は解決されない。 業界の構造上、仕方ない部分はあるのですが、 「未来」の問題と、「今」の問題を、 私も同時並行で考えていかねばなり

      • 賢者の言葉54 ただ、自分を見つめてみる、「禅」の教え

        「仏道をならふといふは、自己をならふなり」 こちら鎌倉時代の僧侶で、 「曹洞宗」の開祖。 道元禅師の言葉ですね。 「永平寺」を拓いた有名なお坊さんです。 旧暦ですが、8月28日は、 その道元さんの命日だったそうです。 1253年のこと。 没後、771年になりますね。 道元さんといえば、その教えは難解ですが、 要するに 「ひたすら坐禅をする教え」を説いた方。 だから「世の中のため」というよりは、 「個々が修行をするための仏教」で、 永平寺なども、そういった 世を離れてひ

        • ブログ240826 カマキリの世界の男女同権

          先日、買い物から帰ってきて家に入ろうとしたら、 「えっ、ドアが開けられない……!」 この虫が嫌いな人は、申し訳ありません。 でも、なんてところにいるんですかね。この子は。 ドアを開ける私の指を狙っているのか? まあ、ともかくも近くを叩いたら、 脇の方に飛んで行きました。 体格ある人間様をあまりナメてもらっても困る(笑) でも、いるんですね。東京のど真ん中でも。 しかも私の家は森の中にあるわけでもない。 周りにも些細な植え込みがあるくらいです。 それでもこの大きさまで、

        武士道入門38 外国人たちが見た武士たち

          本の紹介39 『貞観政要の教え』……リーダーは決して「偉い」存在ではない

          大河ドラマで『鎌倉殿の13人』が放送されていたとき、 この人物と『貞観政要』の組み合わせは、 何度か紹介しました。 北条家・3代目執権の北条泰時、 日本で初めて武士の存在を法制化し、 その役割を定義した人物。 その法令こそ、 『御成敗式目』と呼ばれるもので、 叔母の北条政子の勧めもあり、 彼がバイブルにしていた中国の古典に 影響を受けたもの。 その古典こそ私が現代語訳した 『貞観政要』だったんですね。 (夏川賀央の公式ブログ:https://www.kenjabook.

          本の紹介39 『貞観政要の教え』……リーダーは決して「偉い」存在ではない

          本の紹介38 歳を重ねるたび、誰しもが考えるべき「簡単なこと」

          新しく発売された こちらの本の紹介です。 医学博士・高田明和先生の 『心と脳と体が20歳若返る習慣』 という本。 知的生きかた文庫にて、本体847円で 8月19日発売です。 出版の業界で仕事をしていると、 ときどき無茶苦茶、若々しい人に 出会うことがあります。 80代、あるいは90代なのに、 まったくお年寄りには見えなかったり。 60代とか70代で、 自分よりもずっと健康的だったり……。 そういう人に「若さの秘訣」を聞くと、 「何もやっていないんですけど」なんて、 本

          本の紹介38 歳を重ねるたび、誰しもが考えるべき「簡単なこと」

          本の紹介37 「勝っているとき」こそ、最も危険なとき

          画像は私が現代語訳した クラウゼヴィッツの『戦争論』ですが、 ウクライナの戦争が始まった2022年に 考察する意味を込めて出版した本。 悲しいことにその戦争がいまだ終結せずに 続いているわけですが、 先日、新しい局面を迎えたようです。 ウクライナ側がロシアの国境の街に逆侵入し、 いくつかの拠点を制圧したというんですね。 十数名とはいえ、民間人の犠牲者も出ている戦況です。 賛否あるだろうし、喜ぶことなどはできない。 でも、これが交渉のとっかかりになり、 戦争を早く終わらせ

          本の紹介37 「勝っているとき」こそ、最も危険なとき

          賢者の言葉53 「自分のためでなく人のため」は、正しいのか?

          「医療の道を志すものは、 人のために生きるべきである。 自分の利益のために生きてはならない」 こちら幕末の医師であり、蘭学者、 緒方洪庵さんの言葉ですね。 天然痘のワクチン治療、つまり「種痘」を 日本で初めて実施した医師として知られています。 8月13日は、その緒方洪庵さんの 生まれた日(正確には新暦7月14日)。 今から214年前のことになります。 夏川賀央の公式ブログ→https://www.kenjabook.com/ 厳格な利他主義を貫いた洪庵さん、 「自分ら

          賢者の言葉53 「自分のためでなく人のため」は、正しいのか?

          本の紹介36 世阿弥の教え……「咲いては散り続ける花」となる

          こちら私が現代語訳した 『風姿花伝』(致知出版社)ですが、 8月8日(新暦では9月)は世阿弥の命日だったそうです。 1960年のこと、彼の菩提寺だった 奈良県の補巌寺で、 命日を8月8日と記した納帳が発見されたとのこと。 年号の記述はありません。 以前にも書きましたが、晩年、政争に巻き込まれ、 佐渡島に流刑になっていた世阿弥。 その納帳が奈良で見つかったとなると、 あるいは都に戻れたのか? (夏川賀央の公式ブログ→https://www.kenjabook.com/)

          本の紹介36 世阿弥の教え……「咲いては散り続ける花」となる

          ブログ240811 「小玉スイカ」の仕事術

          画像は、少し前にいただいた 「小玉スイカ」。 普通より小さいスイカですが、 800〜1000円で買えますが、 結構スーパーとかで売っていますよね。 久しぶりに食べてみると、 「あれっ? こんなに甘かったっけ?」です。 種も少ないし、非常に食べやすい。 人気も出るのはよくわかる。 でも、小玉スイカって、こんなに普通に スーパーで売っているものだったっけ? あまり子供の頃に食べた記憶はありません。 「いつ頃に誕生したものなのだろうか?」 と調べてみたら、 意外に「昭和34

          ブログ240811 「小玉スイカ」の仕事術

          本の紹介35 江戸のプロデューサーから学べる「たくさんのこと」

          夏川賀央の公式ブログ→https://www.kenjabook.com/ 新しく発売される お友だちの本の紹介です。 車浮代さんの 『蔦屋重三郎と江戸文化を創った13人』 (PHP文庫、990円) 8月5日の発売ですね。→こちらアマゾン 蔦屋重三郎といえば、江戸で出版社を興し、 成功した人物。 著名な作家たちのほか、 絵師の喜多川歌麿や写楽を大成させた 名プロデューサーとして知られています。 来年の大河ドラマの主人公でもありますね。 横浜流星さんが演じます。 そし

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          歴史入門50 久しぶりに原点回帰をしてみた!?

          夏川賀央の公式ブログ→https://www.kenjabook.com/ 久々に訪れた、こちらの場所です。 以前、ここを訪ねた後で、 ベストセラーが出た!……なんてことがありました。 その意味ではお利益ある場所ですが、 埼玉県にある「鷲宮神社」ですね。 さほど大きな神社ではありませんが、 じつは「関東最古の神社」と呼ばれる場所。 東京に多くある、同名の神社や、 大鳥神社の本家にあたるような場所です。 その祭神は、 「天穂日命(あめのほひ」という神話の古い神様と、 そ

          歴史入門50 久しぶりに原点回帰をしてみた!?

          本の紹介34 世阿弥にとっての「黄金の島」

          「素晴らしいではないか、 私のような逸れ者でも気ままに住ませておき、 人の生きる道から外れることもなく、 山はそのままで高く聳え立ち、 海はそのままで深く水を湛えている。 山雲海月の心というように、 海は情緒深く、山は見渡す限り、青々としている。 その名を問えば、佐渡という。 この黄金の島は神秘的な場所である」 こちらは、『金島書』という詩ですが、 『風姿花伝』の著者である 世阿弥が書いたとされるもの。 能の大成者とされる世阿弥ですが、 晩年には室町幕府をめぐる政局に巻き

          本の紹介34 世阿弥にとっての「黄金の島」

          ブログ240730 「日本昔ばなし」のイラスト集

          紹介しているのはかなり 「ゆるい」画像ですが(笑)、 イラストレーターのWatanabeが久しぶりに インスタグラムで紹介を始めている作品群。 なんでも公募用の風呂敷のデザインとして 描いたものだそうですが、 7つの昔話作品をモチーフにした絵柄です。 描くと同時に作品を深掘りするため、 物語の背景なども軽く調べたりしたので、 そちらも含めて順次紹介していく……とのことでした。 物語は、 ・一寸法師 ・ウサギと亀 ・金太郎さん ・猿カニ合戦 ・河童 ・ぶんぶく茶釜 ・桃太

          ブログ240730 「日本昔ばなし」のイラスト集

          賢者の言葉52 「未来を託してくれた人」へ感謝!

          「現在は彼らのものかもしれないが、 未来は私のものだ」 こちらの言葉は私の本 『君はこの言葉を知っているか?』(主婦の友社)で 取り上げています。 クロアチア生まれのセルビア人科学者であり、発明家。 ニコラ・テスラさんの言葉ですね。 7月10日はその誕生日。 生誕168年になるそうです。 私の本は、成功者たちに刺激を与えた 偉人たちの言葉を紹介したもの。 このテスラさんに刺激された方といえば、 会社名にもしていますね。 テスラ社のCEOであり、 宇宙ロケットを飛ばし続

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          歴史入門49 表参道でできる「善光寺参り」

          画像の、こちら。 久しぶりですが、「善光寺参り」をしてきました! ……といって、 長野県にある善光寺ではありません。 表参道の交差点のすぐそばにある 「青山善光寺」というお寺。 「まさかそんなお洒落な場所に善光寺があるの?」と、 思うでしょうが、 れっきとした長野県の善光寺の 「東京支店」のような位置付けになる場所。 そもそもは江戸開闢後、 すぐ谷中に創建されたお寺が火事で焼けたあと、 今の表参道に再建されたわけです。1705年のことでした。 お寺はそれほど大きくはあ

          歴史入門49 表参道でできる「善光寺参り」