水谷元/建築家
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映画『PERFECT DAYS』のレビュー
1週間無料公開記事です。
『PERGECT DAYS』を鑑賞したのは1月20日なので、もう随分時間が経ってしまったが、ずっと何かしらの感想を書きたいと思っていた。SNSでも今だに感想を見かけるので、その思いを少々募らせていた。
東京都渋谷区の公共トイレ建設プロジェクト『THE TOKYO TOILET』で建築された公共トイレの清掃員が主役の映画である。役所広司が演じる主人公は毎日決まったルーテ
THE MIRROR/松川ボックス
1971に竣工し、1979年に建築学会作品賞を受賞した宮脇檀の設計による松川ボックスがアート・ギャラリーとして利用されていると聞いて訪れた。
1960年代から1970年代の前半に掛けて、日本は高度経済成長期を迎えて無秩序に都市開発が進んだ。「日本に都市計画はない」とよく言われるが、他の先進国に比べて計画的に街区が整備された場所は京都や札幌などを除いて、とても少ない。松川ボックスが立地する西早稲田
加速度的な体現の感覚
仕事でもプライベートでも、目の前の問題を解決するために考え事をしてしまうことは多い。しかし、考えれば考えるほど問題を複雑にするばかりで一向に解決に向かうこと気配を感じない。
実家や親切のお付き合いで歌舞伎役者とお話をすることが、これまで何度かあり、ある歌舞伎役者から「稽古が本番で、舞台は祭り。」と聞いたことがある。
建築設計の世界にも似たような感覚がある。訪れた街や建築をディテールまで観察した
dot architects『POLITICS OF LIVING』/TOTO ギャラリー間
dot architectsと家成俊勝さんと赤代武志さん5月18日からギャラリー間(以下ギャラ間)で始まった”ドットアーキテクツ展 POLITICS OF LIVING ⽣きるための⼒学”のレセプションにご招待頂き、展示の内容を拝見してきた。
大阪の北加賀屋を拠点とした身の丈のまちづくり。毎日の暮らしと活動の延長にシームレスに繋がる、超平面系プロセスの建築。日常的なエンタメが建築に昇華されるまで
福岡の小規模複合施設のコンバージョン③
新築とは異なる改修工事の難しさリノベーション(改修工事)は、設計も工事も新築よりずっと難しい。いちから構想可能な新築工事の場合、金銭的条件、法的条件、敷地条件さえ押さえれば基本的には何を作ろうが自由である。
改修工事の場合、床下や屋根裏などの現地調査が可能でも、いざ工事が始まって解体してみると見えていなかった様々な下地や設備の劣化や損傷が発見される。結果、限られた意匠のための予算は工事開始と同時
福岡の小規模複合施設のコンバージョン②
3つの建物をひとつの施設に認識してもらうための工夫商業的な施設の場合、建築はメディアの役割を担う必要がある。オーナーが所有する3つの建物は、木造アパート、鉄骨のビル、実家の木造家屋とそれぞれ異なった形式で意匠はバラバラだった。異なった形式の建物をひとつの建物として運用していくわけだから、利用する側に新しい白金のカルチャーを発信するひとつの施設として認識してもらうために意匠を統一する必要がある。
福岡市立平尾霊園合葬式墓所
2019年に福岡市で行われた建築設計プロポーザルで選定された木下昌大さんの主催するキノ・アーキテクツの設計による合葬式墓所。
私も応募した建築学会九州支部主催による建築九州賞の現地審査のために木下さんが来られるついでに現地をご案内頂けるということでお言葉に甘えた。
少子高齢化による人口減少が進む中、全国的に墓所の需要が増えると同時に、親族との繋がりの無さや核家族化によるお墓の管理不行き届きが日