水谷元/建築家
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加速度的な体現の感覚
仕事でもプライベートでも、目の前の問題を解決するために考え事をしてしまうことは多い。しかし、考えれば考えるほど問題を複雑にするばかりで一向に解決に向かうこと気配を感じない。
実家や親切のお付き合いで歌舞伎役者とお話をすることが、これまで何度かあり、ある歌舞伎役者から「稽古が本番で、舞台は祭り。」と聞いたことがある。
建築設計の世界にも似たような感覚がある。訪れた街や建築をディテールまで観察した
dot architects『POLITICS OF LIVING』/TOTO ギャラリー間
dot architectsと家成俊勝さんと赤代武志さん5月18日からギャラリー間(以下ギャラ間)で始まった”ドットアーキテクツ展 POLITICS OF LIVING ⽣きるための⼒学”のレセプションにご招待頂き、展示の内容を拝見してきた。
大阪の北加賀屋を拠点とした身の丈のまちづくり。毎日の暮らしと活動の延長にシームレスに繋がる、超平面系プロセスの建築。日常的なエンタメが建築に昇華されるまで
福岡の小規模複合施設のコンバージョン③
新築とは異なる改修工事の難しさリノベーション(改修工事)は、設計も工事も新築よりずっと難しい。いちから構想可能な新築工事の場合、金銭的条件、法的条件、敷地条件さえ押さえれば基本的には何を作ろうが自由である。
改修工事の場合、床下や屋根裏などの現地調査が可能でも、いざ工事が始まって解体してみると見えていなかった様々な下地や設備の劣化や損傷が発見される。結果、限られた意匠のための予算は工事開始と同時
福岡の小規模複合施設のコンバージョン②
3つの建物をひとつの施設に認識してもらうための工夫商業的な施設の場合、建築はメディアの役割を担う必要がある。オーナーが所有する3つの建物は、木造アパート、鉄骨のビル、実家の木造家屋とそれぞれ異なった形式で意匠はバラバラだった。異なった形式の建物をひとつの建物として運用していくわけだから、利用する側に新しい白金のカルチャーを発信するひとつの施設として認識してもらうために意匠を統一する必要がある。
福岡市立平尾霊園合葬式墓所
2019年に福岡市で行われた建築設計プロポーザルで選定された木下昌大さんの主催するキノ・アーキテクツの設計による合葬式墓所。
私も応募した建築学会九州支部主催による建築九州賞の現地審査のために木下さんが来られるついでに現地をご案内頂けるということでお言葉に甘えた。
少子高齢化による人口減少が進む中、全国的に墓所の需要が増えると同時に、親族との繋がりの無さや核家族化によるお墓の管理不行き届きが日
「言語」と「強い建築」
表現の世界には作品の世界観を創る「言語」がある。映画やアニメ作品などの映像作品が分かりやすい。ひと目見て「この作品だ!」だと鑑賞者に理解させたり、作品の世界を体験しているかのように引き込むための装置のようなもの。エレメント(要素)などとも言われることもあり、作品世界の構成要素のことを「言語」という。
例えばディズニー映画なら、特徴的なキャラクターデザインとクネクネした独特の動きがディズニー映画と
季節の変わり目と啓蟄の作用
春・夏・秋・冬…はっきりとした季節よりも、その間、季節の変わり目が好きだ。
特に二十四節気でいう啓蟄※1の季節は、生き生きと芽吹いてくる草花の様子にこちらも共鳴する。
気温が低く安定している年末年始に今年の目標は?と聞かれれば答えることはできても体も頭もどこかハッキリとせずに曖昧に答えてしまうが、春を目前にした季節には気持ちも高ぶり、前向きになる。今年はなにをやろう?どんなことがあるのだろう?