森智哉

森智哉(モリトモヤ) ロックバンド NO JOBs 飯を食いうんちする 1999年 7…

森智哉

森智哉(モリトモヤ) ロックバンド NO JOBs 飯を食いうんちする 1999年 7月生まれ 獅子座 卯年 O型

記事一覧

小粒納豆の銃弾

小さい頃橋の上から唾を吐いて、川面にできた波紋が面白くて何度も唾を吐いたことがある。そして、唾だけでは飽き足らず、小石から始まり、より大きくて重いものを川に投げ…

森智哉
2年前
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行きずりの街

横浜、冬にはお化粧程度の雪が降ることも慣れてきた。あの街は全く雪が降らなかったから、冬の思い出といえば、河川敷の草の色が寂し色(※さみしいろ:勝手に俺が作った色…

森智哉
2年前
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タイトル

隙間風がひらり、1人でいる暗い部屋、たまたま今日はビートルズの最後のアルバムを聴いていました。嫌だから酔っ払っていて、偉そうにお香の赤い点だけがこの部屋にありま…

森智哉
2年前
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つちのつち

少し前の誕生日に、100均のワイングラスを買った、俺を祝う変な女がいて、そのグラスのせいで酔っ払い、一生ワインが飲めるように赤いスプレーで塗り潰してしまったグラス…

森智哉
2年前
1

めくらのオケラ

オケラよオケラ。 深い底の中で生きることに執着する。遥か遠くで光る一筋の光がうざったくて仕方がない。 オケラよオケラ。 クラウチングスタートの様な体勢で、ひたすら…

森智哉
3年前
2

銭湯と機関銃

壁に大きく描かれた富士山を背に、湯船から上がる真っ白な湯気を目で追うと、天窓を流れる雲が見える。日本一の富士に目も暮れず、それより高い空を悠々と泳ぐ雲に見惚れる…

森智哉
3年前
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夏の置き手紙

夏の置き手紙、最近で一番気に入ってる歌詞。 これの最初の詩は19くらいの頃に網戸で扇風機回しながら寝てたら朝超寒くて起きた時に降ってきた、朝露みたいな詩の断片が元…

森智哉
3年前
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日の出町ブルース

曇り空がやけに似合う京急本線横浜駅から2駅。遠くにみなとみらいの観覧車や高層ビルが輝いている。そんな夢の対岸に質の悪いセメントで塗りたくられ、色落ちした金髪のよ…

森智哉
3年前
4

冬は風呂に入らなくてもいい

冬の寒さは川のほとりに腰掛けて、水面の模様を書き写す。画板に置いた模造紙に次々と帰ってくる優しい思い出達。一人一人に話しかけるようにしんしんと降る小雪。 と、昨…

森智哉
3年前
3

なんで詩が好きでロックンロールが好きで酒を飲むのが好きで女が好きで海が好きで煙草が好きで両親が好きでギターが好きで友達が好きで、傷つくのは少しだけ好きで、歳を越…

森智哉
3年前
2

東京タワー

秋の風に吹かれて、丁度ススキの様に猫背の俺は、ロングコートを靡かせて歩く。小一時間ほどの道のりを決して足跡の残らぬよう、漂うように進む。漂泊の旅に習慣は必要ない…

森智哉
3年前
6

っすね

海岸沿いの国道を進めば左手に廃ホテルがある。天使の舞うオーシャンビューの中に不気味に佇むそれは、近づき難い雰囲気を醸し出しているがその場所に不釣り合いと言うわけ…

森智哉
3年前
2

Time for old friend

快晴を背負った飛行機の小窓から見える風景は海と空の区別もなく不思議な感覚になる。 海を泳ぐ子供の雲、空に張り付いた大きな雲。 限りない地平線とその間を飛ぶ金属の塊…

森智哉
3年前
5

歩く夏燃える少年

午睡の後、歩くアスファルトのまぶたは限りなく重く溶ける。 下校中の小学生の一群を前に、汗で強張った髪をかき上げながら歩く。「ドイツはいま夜だよ」黒いランドセルを…

森智哉
4年前
1

H&Mで婚約指輪を買った話

その子、高校の同級生で当時は殆ど喋らなかったけど、現代子らしく携帯のやりとりは何回かしてた子、居たでしょ?そんな感じのなんとなくスクールフレンド、略してスクフレ…

森智哉
4年前
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小粒納豆の銃弾

小さい頃橋の上から唾を吐いて、川面にできた波紋が面白くて何度も唾を吐いたことがある。そして、唾だけでは飽き足らず、小石から始まり、より大きくて重いものを川に投げ入れたくなり、終いには大型トラックを一台川に投げ入れたことがあるとかないとか。
今でも、唾こそは吐きはしないが、橋の上から川を覗いては、おかしな動きをする川の水を見つめるのはやめられない。

他人事は勝手に動くし、自分の話は思い通りにはいか

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行きずりの街

横浜、冬にはお化粧程度の雪が降ることも慣れてきた。あの街は全く雪が降らなかったから、冬の思い出といえば、河川敷の草の色が寂し色(※さみしいろ:勝手に俺が作った色)になること、風が乾燥して肌に当たると痛いこととか、酒をやってそのまま外で寝て死にかけたり、秋と春との境目の曖昧な冬の思い出ばかりで、降る雪を見慣れた自分に、少し背が高くなったような気がして心地が良くなった。
そういえば、小学生の頃、冬の朝

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タイトル

隙間風がひらり、1人でいる暗い部屋、たまたま今日はビートルズの最後のアルバムを聴いていました。嫌だから酔っ払っていて、偉そうにお香の赤い点だけがこの部屋にあります。余計に最後になりました。平気で死ねました。
匂いのする赤い一点を見つめていると、「“もしも”株式会社」と自称する商人達が話しかけてきます。彼らは暗闇の中を得意げな顔で、捲し立てるように仕事をします。僕は名刺代わりに涙を流して、挨拶がわり

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つちのつち

少し前の誕生日に、100均のワイングラスを買った、俺を祝う変な女がいて、そのグラスのせいで酔っ払い、一生ワインが飲めるように赤いスプレーで塗り潰してしまったグラスがある。時には筆立てとして使い、たまに、煙草の灰を落としたりしてる。今はポケットに入っていた小銭達をそのグラスに入れて、貯金をしている、老後のために、そして今酔っている

めくらのオケラ

オケラよオケラ。
深い底の中で生きることに執着する。遥か遠くで光る一筋の光がうざったくて仕方がない。
オケラよオケラ。
クラウチングスタートの様な体勢で、ひたすら生きる希望なんて探してみても、所詮虫けら、俯いたまま心の中を掘り進める。
オケラよオケラ。
暗闇ばかりに好かれてしまった憐れなあいつ。盲目の短距離走こそが人生の全てだと思い込み、命懸けで走る、とことん走る、足の裏の皮が爛れ、骨の定義が破壊

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銭湯と機関銃

壁に大きく描かれた富士山を背に、湯船から上がる真っ白な湯気を目で追うと、天窓を流れる雲が見える。日本一の富士に目も暮れず、それより高い空を悠々と泳ぐ雲に見惚れる。

築50年を超えた風呂無しフォークソングなヤサに引っ越して3ヶ月ほど経った。もう一つの家(前に住んでたアパート)にシャワーを浴びに行くか、銭湯に通う日々を過ごしている。
銭湯は歩いて5分とかからない場所にあって、夏の今の時期は蝉のトンネ

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夏の置き手紙

夏の置き手紙、最近で一番気に入ってる歌詞。
これの最初の詩は19くらいの頃に網戸で扇風機回しながら寝てたら朝超寒くて起きた時に降ってきた、朝露みたいな詩の断片が元になったはず。よく覚えてない、責任なんか取りたくないから詳しくは当時の俺に聞いてください。

季節をこねくり回すの大好きだけど、夏の詩は書いたことない気がする。これなんかタイトルに「夏」って堂々と入ってるけど夏って感じじゃないよね、俺もな

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日の出町ブルース

曇り空がやけに似合う京急本線横浜駅から2駅。遠くにみなとみらいの観覧車や高層ビルが輝いている。そんな夢の対岸に質の悪いセメントで塗りたくられ、色落ちした金髪のような街。やるせない気持ちが胸を覆う。

ホッピー、199円、ホルモン、ロック座、マッサージ。まるで行きずりの女のような看板たち、それを横目に酔いの回った足取りは次の酒を探す。
戦後、赤線やスラムのあったこの土地に染み付いた生々しい人間の匂い

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冬は風呂に入らなくてもいい

冬の寒さは川のほとりに腰掛けて、水面の模様を書き写す。画板に置いた模造紙に次々と帰ってくる優しい思い出達。一人一人に話しかけるようにしんしんと降る小雪。

と、昨日の朝方メモしたままで寝て、昼過ぎに起きてコンビニに行こうと外に出たら暖かかった。本当に寒い日ばかりだったからたまにこんな気候の日があると嬉しい。そんで、坂の多いところに住んでいるから坂や階段に陽の光が斜めに当たっていてすごく良い。

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なんで詩が好きでロックンロールが好きで酒を飲むのが好きで女が好きで海が好きで煙草が好きで両親が好きでギターが好きで友達が好きで、傷つくのは少しだけ好きで、歳を越すのは嫌いで、好き嫌いの狭間にいる閻魔大王に全てを問い正したい。滝に打たれる修行僧のように酒の中に身投げしても返事をもらえないことは知ってる。ここまでこの文章真面目な顔して見てるやつはたぶん嫌い。
思っても見ないことって1日のうちにたくさん

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東京タワー

秋の風に吹かれて、丁度ススキの様に猫背の俺は、ロングコートを靡かせて歩く。小一時間ほどの道のりを決して足跡の残らぬよう、漂うように進む。漂泊の旅に習慣は必要ない。

赤坂に諸用があり、揺れる気持ちで目的地へと向かう。時計と次停車する駅の名前を交互に見比べながら曖昧な約束に間に合うか簡単な計算を重ねる。天才的な数学者は含みのあるこの問いに頭を抱え部屋の中をぐるぐると歩き回るかもしれないが、この計算を

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っすね

海岸沿いの国道を進めば左手に廃ホテルがある。天使の舞うオーシャンビューの中に不気味に佇むそれは、近づき難い雰囲気を醸し出しているがその場所に不釣り合いと言うわけでもなく、ごく自然でありきたりな印象すら与える。

海に用事なんて無い。助手席でプラコップに入った混ぜ物だらけの酒を片手に無意味に波打つ夜の海を見つめる。激しく脈打つ脳味噌は月暈の美しさや窓が夜を弾く残像にしか意識を向けない。さっきまで初め

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Time for old friend

快晴を背負った飛行機の小窓から見える風景は海と空の区別もなく不思議な感覚になる。
海を泳ぐ子供の雲、空に張り付いた大きな雲。
限りない地平線とその間を飛ぶ金属の塊。
地上に根を張って生きている僕ら人間は嘘をつかれている気すらする。

狭い機内の読書灯の照らす文字に疲れを感じ厚手の文庫本を閉じた。数秒間、表紙のタイトルを見つめて今までのストーリーを噛み砕く。
友達はどれくらいの期間会わなくなったら旧

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歩く夏燃える少年

午睡の後、歩くアスファルトのまぶたは限りなく重く溶ける。

下校中の小学生の一群を前に、汗で強張った髪をかき上げながら歩く。「ドイツはいま夜だよ」黒いランドセルをこちらに向け、後ろ向きになりながら学友へ話しかける少年が、そんなことを言っていた。習いたての時差のことを振り返ってでも友達に披露したい、そんな、幼心の純粋な美しさに永遠を感じつつ太陽に隠れて歩く自分。ランドセルの向こうの少年の目はきっと夏

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H&Mで婚約指輪を買った話

その子、高校の同級生で当時は殆ど喋らなかったけど、現代子らしく携帯のやりとりは何回かしてた子、居たでしょ?そんな感じのなんとなくスクールフレンド、略してスクフレ。「酔ったときだけ連絡してこないでよ」のノリ。そして、俺その子とそんな喋ったことないのにCDとか貸してたっぽい。めっちゃ痛い。物貸して接点作ろうとしてんのめっちゃくちゃださい。これカッコつけて純文気取ってる髪長いやつのテンプレ、油に揚げてし

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