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読書感想文

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#読書

読書感想 又吉直樹 東京百景

読書感想 又吉直樹 東京百景

芥川賞作家又吉直樹さんのエッセイです。
又吉さんのなかの「東京」が色々な側面から鮮明に描かれています。エッセイなのにとても文学的な匂いがする作品です。

言葉の選び方や文章のリズムが、たくさんの文学に触れてきた人のそれだなあと感じました。
(あくまでわたしの個人的な感想です)
又吉さんは売れない時代にたくさん読書をしたみたいですね。

こういった作品に触れると、語彙力というものは読書によって培われ

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読書感想 村上春樹 蛍 納屋を焼く その他の短編①

読書感想 村上春樹 蛍 納屋を焼く その他の短編①

図書館に行ったらこの本が置いてあったので、久しぶりに再読しました。
村上春樹さんの短編集です。


納屋を焼く
踊る小人
めくらやなぎと眠る女
三つのドイツ幻想  

上記五つの短編小説が集録されています。

私はこの中では
「蛍」と「踊る小人」が好きです。

「蛍」は、「ノルウェイの森」の下書き?下敷き?らしいです。

「蛍」、好きなんですよね…。
昔本屋に行くたびに立ち読みしてました。
(買

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読書感想 芥川龍之介 奇怪な再開

この作品、好きなんですよね…。
ミステリーっぽい不気味な伏線が織り込まれていて、なおかつ主人公の寂しく冷たい感情がしっかりと描かれているというか。

舞台は日清戦争後の東京のようです。
軍人に妾宅で囲われている妾のお話です。
(ようは愛人さんです。)
もとは中国の妓館で客をとっていた女性なのですが、軍人に気に入られたことで祖国を捨てて日本で暮らすことになります。

この女性は、祖国に好いた男性がい

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読書感想 貴志祐介 クリムゾンの迷宮

読書感想 貴志祐介 クリムゾンの迷宮

Kindle Unlimitedで読み放題になっていたので再読しました。

KindleUnlimited、月額980円で、200万冊以上の書籍が読み放題です!!!

なんかの間違いなんじゃないかって言うくらいコスパ良すぎです!!

読書好きの方、オススメですよ!!

それはさておき、ホラー作家の貴志祐介さんですが、数年前にハマり何冊か拝読しました。

私はその中でこの作品が一番面白いなぁと思いま

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読書感想 夢野久作 ドグラマグラ

読書感想 夢野久作 ドグラマグラ

「黒死館殺人事件」「虚無への供物」と並び日本三大奇書と言われています。

読むと一度は精神に異常をきたすと言われています。

でも!じぇんじぇんそんな事はありません!
至って健全なミステリ小説です!

面白いです!

でも確かに、ダークな題材を扱っているうえに一部難解な部分があるので、
そういうキャッチコピーをつけたくなるのもわかる気がしますね。

この作品、一度読んだだけでは全体像を理解できず、

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読書感想 村上春樹 国境の南、太陽の西

読書感想 村上春樹 国境の南、太陽の西

村上春樹さんは大好きな作家の一人です。

作品はほぼ全て拝読しました。

どれもみんな素晴らしいのですが、
その中でも特に好きな作品をあげるとするならば、
私はこの「国境の南、太陽の西」、
「羊をめぐる冒険」、「スプートニクの恋人」
あたりかなぁ…と思うのです。

あーでも、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、「ねじまき鳥クロニクル」
も捨てがたい……

でも、年齢を重ねたあとに再読し

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読書感想 吉本ばなな キッチン

読書感想 吉本ばなな キッチン

言わずと知れた名作です。
吉本ばななさんは大好きな作家のひとりです。
彼女の一人称の心理描写は本当に魅力的です。胸を打たれます。

そして、吉本ばななさんの作品は、孤独に寄り添うようなテーマが多い気がしますね。

何度も何度も読み返したくなるような、素敵な文章を書く作家さんだと思います。

私は心が辛くなると、この本を本棚から取り出しては読んでしまいます。

そうすると、ほんのり心が温まるような感

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読書感想 宮沢賢治 銀河鉄道の夜

読書感想 宮沢賢治 銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜という作品名は知ってても、実際に読んだことがあるって方は意外に少ない気がします。

保育園の年長のときに、テレビでアニメ化されたものをチラッと見てから、子供心にいつか読んでみたいと思っていました。

ちなみにアニメも非常に良いです。原作に忠実です。
良ければぜひ一度ご覧になって下さい。

銀河鉄道の夜を初めて読んだのは小学校の高学年のとき。
読んでもさっぱり意味がわからなかったです。笑

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読書感想 芥川龍之介 一塊の土

読書感想 芥川龍之介 一塊の土

芥川龍之介の晩期の小説です。
足かけ八年寝たきりであった息子が亡くなり、嫁と孫と三人で暮らすことになった農家の姑のお話です。

姑は嫁に再婚をすすめますが、嫁はいっさい聞き入れず、野良仕事に精を出し女手ひとつで一家の暮らしを支えます。

やがて嫁は家の仕事は全て姑に押し付けるようになり、精神的に姑を追い詰めていきます。

このお話は、姑のお住の目線でお話がすすんでいきます。お住の心の動きが繊細に描

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読書感想 夏目漱石 門

読書感想 夏目漱石 門

夏目漱石の「門」は、
「三四郎」「それから」のあとに続く作品で、三部作の最終回のような存在です。

実際にはそれぞれ独立したお話で、登場人物や設定は多少異なります。

「門」は、友人の内縁の奥さんを奪って結婚した主人公が、家族や親戚に絶縁され、大学も退学となり、妻と二人だけの寂しい生活を送るお話です。

人生を諦めきった夫婦のお話です。

とっても暗いお話です。

そのせいか、前のニ作品に比べると

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