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読書感想 吉本ばなな キッチン

言わずと知れた名作です。
吉本ばななさんは大好きな作家のひとりです。
彼女の一人称の心理描写は本当に魅力的です。胸を打たれます。

そして、吉本ばななさんの作品は、孤独に寄り添うようなテーマが多い気がしますね。


何度も何度も読み返したくなるような、素敵な文章を書く作家さんだと思います。

私は心が辛くなると、この本を本棚から取り出しては読んでしまいます。

そうすると、ほんのり心が温まるような感覚を覚えます。

そういう本と出逢えることは、本当に本当に幸せな事だと私は思うのです。


このお話の主人公、みかげは早くに両親を亡くし、祖母と二人で穏やかに暮らしていました。

ところがその祖母が亡くなり、途方に暮れていたところ、
生前祖母が親しくしていたという雄一となぜか同居することになります。

雄一とその母(もと父、性転換手術をして女性になった)えり子さんと暮らすうちに、
みかげの心には少しずつ光や風が入ってくるようになります。


しかし……


ネタバレで大変申し訳無いんですが、えり子さんが亡くなられてしまうのです。


「足を進めることを、生きてゆくことを心底投げ出したかった。きっと明日が来て、明後日が来て、そのうち来週がやってきてしまうに違いない。それをこれほど面倒だと思ったことはない」

みかげはこう思うのですね。


こういう風に思う時って、きっと誰でも
一度くらいはありますよね……。


絶望の淵に立たされたとき、そこからいかに希望を見つけ出すことが出来るか。
そこが人生の分岐点のような気がします。

ひとは希望がないと生きていけないですもんね。


「幸福とは、自分が実はひとりだということをなるべく感じなくていい人生だ」

キッチンではこのような深い言葉がところどころサラッと出てきます。 


いつもそばにいてくれる家族や友人の存在を当たり前とは思わずに、
感謝していきたいと思いました。












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