読書感想 芥川龍之介 奇怪な再開

この作品、好きなんですよね…。
ミステリーっぽい不気味な伏線が織り込まれていて、なおかつ主人公の寂しく冷たい感情がしっかりと描かれているというか。


舞台は日清戦争後の東京のようです。
軍人に妾宅で囲われている妾のお話です。
(ようは愛人さんです。)
もとは中国の妓館で客をとっていた女性なのですが、軍人に気に入られたことで祖国を捨てて日本で暮らすことになります。


この女性は、祖国に好いた男性がいて、
旦那のことがあんまり好きではないんですね。

彼女がだんだん精神を病んでいくお話です。
病んでいくといっても、うつになっていくという感じではなく、目に見えない世界に呼ばれてそこに片足をつっこんでいくという雰囲気なんですかね。

でも彼女にはその不思議な世界がはっきりと見えているんですよね。

芥川龍之介の作品はそういったデリケートな題材を扱ったものがチラホラあります。

芥川龍之介は実母が統合失調症を患っていて、自分もいつか発病するのでないかと相当おびえていたようですね。

怖かったでしょうね。
辛かったでしょうね…


この作品、ミステリー好きには結構グッとくると思います。

でも!でもね、

私は、胸につっかかるような不思議な読後感を好むタチなので、
「謎がとけてスッキリ!すごいトリックだった!あぁ面白かった!」
という作品が好みの方には決しておすすめ出来ないです……あしからず。

人の好みは千差万別ですね。
それは当然あって然るべきことです。

暗いお話OK!という方、
心揺さぶられる作品なので良ければぜひ読んでみてくださいね。






























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